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2017/06/13 12:03:47

【イベントレポート03】TeamSpirit Day 2017:パネルセッション後編 「働き方改革」その先は...? 人間復古(ルネサンス)の時代に踏み出そう

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東京コンベンションホール(東京・京橋)で開催されたTeamSpirit Day 2017。
「先進事例から学ぶ実践のポイント」と題したパネルディスカッションレポート、前回の続きをお届けします!

- 人材に合わせたマネジメントのあり方を考える

この記事を読まれている方の中にも、「社員全員に画一的なマネジメントをすることが最適なのか?」と疑問を抱いていらっしゃる方は多いことでしょう。そうした疑問を野田教授はクリアに整理してくださいました。では、彼が示した4つの人材像それぞれに対して、どのようなマネジメントをすればいいのでしょうか? 議論は深まります。前回のレポートもご参照ください。

パネルディスカッッションの写真

野田:長崎さんの所属するソフトバンクでは、やんちゃ人材や体育会系人材が多いのではないでしょうか? 彼らへのマネジメントにはどのようなものが最適だと思われますか?

長崎:個人的な考え方ですが、彼らは「働かされている」という考え方はなく、働くことが楽しいと感じるのではないかと思います。こういう人に対しては、一律の労働規制を適応したり時間の使い方を押し付けたりするのではなく、その枠組みから外して考えるべきなのではないか、と思います。

野田:イノベーターやクリエイター版のエグゼンプションですね。この部分は政府による制度設計が必要だと思いますが、そうした取り組みは可能なのでしょうか?

間中:政府の「働き方改革実現会議」では、高度な技能を身につけた方の働き方について提言をされた方もいますし、ホワイトカラーエグゼンプションや同一労働同一賃金についての議論はなされました。今後、その議論を深めていく必要はあるでしょうし、逆に、ホワイトカラーエグゼンプションによって企業が労働搾取をするような悪いことをしないか、極めて厳しく監督することも必要になると思います。

一方、官と民の間にいる立場としては、政治の側にいると明確にしづらい部分もあるのですが、たとえば楽天株式会社の三木谷浩史氏(同社・代表取締役会長兼社長)が会社を設立する時に「会社に寝袋を持ち込んで仕事をしていた」というようなエピソードを聞くと、それはそれで大切なことなのだと感じます。

島田:私も、1番目の会社がベンチャー企業だったので、働く時間を気にすることなく必死に働いていました。今は安定してきてそんなことはないそうですが、企業の成長段階によって働き方が変わる、必要な人材が違う、という考え方はよく分かります。ただ、どの段階でも例示されたような性質の人たちはいるので、働き方についてもダイバーシティがあるのだな、と感じました。

同じ日本人でも誰一人として同じ経験や環境で育った人はいないですよね? このイベント会場のお隣の人とすらダイバーシティがあるわけです。全員が違うので、それぞれが持っているチカラをどう引き出して開花させるかがマネジメントとして重要だと思います。

もちろん、会社の成長の度合いによって必要な人材は異なるわけですが、会社にいるみんなが重要なのだ、ということを意識する必要があると思います。

現在、「働き方改革」の議論は様々な場面でなされています。長時間労働の是正やテレワークの実現といったことは、確かに大切なことでしょう。しかし、最も重要なことは「どのような働き方を実践してもらうことが、働く人それぞれの実力を最も発揮し、満足して働けるか」という点を考えることではないでしょうか?

労働生産性から創造生産性の時代へ
「働き方改革」その先は、人間ルネサンス時代の幕開けになる

いよいよ、このパネルディスカッションのクライマックスです。ディスカッションのテーマである"「働き方改革」その先に"、登壇者たちはどのような姿を見たのでしょうか?

野田:先ほどもありましたが、「長時間労働の是正」から始まった「働き方改革」の議論は、今後「生産性の向上」さらには、「労働生産性の時代から創造生産性の時代へ」という変化を捉えたものにしなければならないと思います。

しかし、創造生産性と言った瞬間に、たとえば8時間労働を徹底する、といった単純なものではなく、より高度で複雑な議論に変わるわけです。では、次世代の「働き方」とはどのようなものでしょうか? みなさんのご意見をお聞かせください。

島田:私には「生産性」という言葉が、企業側から見た言葉のように聞こえます。この言葉が社員にとって適切なのか? いつも疑問を感じています。

そのため、「自分の生産性が上がっているかどうかは自分で分かるものだと思うので、感覚値でも良いから生産性が上がっているかどうか考えてみて」と社員に聞くようにしています。

働くことを自分に照らし合せて考えることは、自分にとっての幸せは何か、を考えることでもあると思います。そしてそれは数値では計れないものだと思います。感覚として測る、という新しい尺度を持つべきなのではないでしょうか? このように、ぜひ「生産性」について新しい定義をしたいですね。

野田:アウトプットは金額換算できないものだから感覚値で測れば良い、ということですね。確かに、おっしゃる通りだと思います。私も、論文やレジュメを書いていて、「これはすごく生産性がいい!」と思っていても、それが評価される(=成果が出る)のはワンテンポ遅れて、ということはままあります。

創造生産性の話については、脳科学を使うと良いのかもしれません。私は音楽を聴きながら仕事をするのが大好きなのですが、その働き方は、脳科学者に言わせると「脳はバッチ処理しかできないので、好きなことの方に集中してしまうから仕事の能率が下がる」そうです。

そこで、音楽をかけないで仕事をしてみたのですが、確かに能率は上がりました。

ただ、その仕事の内容がステキなものであったかどうかはわかりません......。そういう意味でいうと、創造生産性の分野はこれからもっと研究を深めるべきところなのだと思います。

長崎:ソフトバンクでは、働き方についての今後のキーワードは「ITやIoT、AI」だと考えています。テクノロジーの進化でグッと効率化できる仕事は様々にあるでしょうし、テクノロジーが人間の働き方をエンパワーする、という考え方もあると思います。だからこそ、この分野でどれだけ先行していくか、が重要だと捉えています。

野田:人工知能と人間をセットにして考える、AIに人間の仕事を手伝ってもらう、ということですね。その考え方は私にとってはとても共感できるものです。

実は私は「人の顔と名前を一致させて覚える」というのが昔から苦手です。「えーっとあなたのお名前はなんでしたっけ?」と聞くに聞けないときは、「お名前はなんでしたっけ?」と言って、教えてもらった後に、「いやいや、下の名前ですよ!」と切り返す、という技を編み出したほどです(笑)。でも、そういう場面でAIが「●●さんですよ」と教えてくれたら、すごく助かります。

長崎:まさに、そういう時代が必ずくると思っています!

そうしたこともあり、人事総務統括の中で「未来探索室」という組織を立ち上げて「10年後を見据えて、人事部門や総務部門のあり方はどうなっているか、社員の働き方がどう変わるのかを"探索しよう"」と取り組んでいます。

そこでは「まず過去に学ぼう」ということで、20〜25年前を振り返ってみました。当時はメールもなくて、机でタバコが吸えていましたね。それに限らず、あのころの働き方は今とはまったく違っていますよね。

そう考えると、「AIやビッグデータで本当に大きな変化が起きるのか」という意見もありますが、10〜15年後には必ず働き方を変えるものとして活用されているはずです。テクノロジーを使いこなすか否かによって、企業の生産性は変わるだろう、とも考えています。

ソフトバンクには「情報革命で人々を幸せに」という経営理念があります。

だからこそ「このテクノロジーの進化に目を向けて、ど真ん中を走らないといけないだろう」と考えています。そこで、この6月からは先に紹介した「未来探索室」を「未来実現推進室」と変えて、未来の働き方を実践してみよう、ということになりました。

iPhoneが出始めたとき「スマホなんて誰も使わないよ」と言われていました。しかし、10年も経たずに、いまや誰もがスマホを使っています。それと同じようにAIをはじめとするテクノロジーもどんどん活用されるでしょう。ソフトバンクはその先駆者になっていきたいと考えています。

間中:政府が「多様な働き方を実現するために」と言うより、民間企業の方がずっと進んでいるのは確かですが、働き方改革実行計画には実にいろんなことが書かれています。たとえば、「手形決済をやめよう」といったことですね。これは、手形決済のタイムラグが中小企業の経営を圧迫する恐れがあるのでやめよう、という働きかけです。

他には、たとえば、IT人材不足への対応とリカレント教育の実施が議論されています。経産省は2020年にはIT人材が37万人不足すると試算しています。そこで、リカレント教育、つまり社会人の学び直しの機会を創出するために、個人への学費支援を計画して人材育成につなげよう、としているわけです。

こうした取り組みで人々をバックアップするのが国の役割だと考えています。

Q&A:新しい時代において「会社」の役割とは?

「働き方改革」は、突き詰めると「自分がどう生きたいのか?」を模索することになりそうです。では、そうした時に「会社という組織はどのような意味をもつのでしょうか?」という鋭い質問が会場からは寄せられました。これについて、登壇者たちはそれぞれ次のように意見を述べました。

長崎:個人的な意見ですが、組織や会社が何かを生み出すという価値は変わらないと思います。働く人たちがどんなに独立したとしても、ゴールやビジョンを共有した人が繋がって、価値を生み出すという意味での会社の役割はなくならないでしょう。

オフィスがあって机があって、というリアルな存在か、web上で繋がるバーチャルな存在かは別として、本質的には会社はなくならないものだと思います。

島田:個人でできることが1つだけじゃないと気づき始めたある人が、いろんな会社で働き、それが会社同士をつなげることもあるのではないかと思います。組織にたくさんの人が集まってこそできることはあるので、ビジョンやゴールを共有している人がひとつのものに向かっていって、社会を、世界をより良くしていくんだろうな、と思っています。それが私の考える会社の将来像です。

間中:これからはインデペンデントコントラクター(独立請負人)が増えるかもしれません。では、受け入れる側はそういう存在をどう処遇するか? 考えなければならないでしょう。つまり、同一労働同一賃金の議論ですね。

これを分かりやすく考えるために、良いたとえ話はないかな? いつも考えていたのですが、せっかく長崎さんがいらっしゃるので、福岡ソフトバンクホークスのデニス・サファティ投手を例に挙げてみましょう。

彼は、1回の登板で30球程度しか投げません。年間通して先発登板する他のピッチャーよりも球数は圧倒的に少ないのですが、年俸は高いですね。きっちりと最終回を抑えて勝利に貢献するというパフォーマンスを出しているので、年棒の高さを問題視されることはありません。

これを一般の働き方に当てはめてみると、週2日の労働でもハイパフフォーマンスで企業に不可欠な存在だから週5日勤務の人よりも給与を高くするということもある、というケースが身近なところでも見られるようになる、ということです。

このように、パフォーマンスに応じた処遇と勤務のあり方の議論は、これからしっかりと進めていかなければならないと考えています。

セッションのまとめ

野田:今日は、長時間労働の是正という議論だけでなく、創造性のある働き方や幸せを追求することが「働き方改革、その先なのだ」という、広がりと深みのある議論ができたと感じています。

「働き方改革」のこれからを考えたときに、私の心に浮かんだ言葉は「人間復古、ルネサンス」というものでした

先ほど「この先、会社はどうなるのか?」という質問がありましたが、その指摘はとてもいいことで、私たち一人ひとりが考えを深める必要があると思います。私は、「働く人が、従業員から社員に変わることなのだろうな」と考えました。

法的な意味では、社員とは、役員や社長など主体的に会社で働く人のことを指します。一方、従業員とは、対価の代わりに時間を切り売りする、という働き方の人を指します。「従業員が社員に変わる」ということは、恐らく、これまで従業員として働いていた人たちが自由意志で集って、ミッションを共有して何かを成し遂げ、それに喜びを感じるように意識が変わっていくということなのだと思います。

ただ、そこに至るまでは様々に乗り越えなければならない壁があります。

そのひとつには、働く人たちがそれぞれ「独立した社員として自分の意思で自分の幸福を手にする」という意志を固めることでしょう。

また、会社はむしろそうした存在を支援して、主体的で創造性あふれる社員を一人でも多く増やして、共に成長し、ともに幸福を享受していく、という関係性を構築するように変わっていかなければなりません。

「働き方改革」に取り組むとは、そういうことなのではないでしょうか?

こうした議論について、ぜひ参考にするだけで終わるのでなく、最初の一歩を踏み出して欲しいと思います。何かを始める時には、それなりの道具立てをしたり、準備をしたりすることは必要かもしれません。ですが、他人事にするのではなく、第一歩を踏み出すことで、社会が変わって世界が変わっていくのだと思います。

みなさんのこれからの「働き方改革」の推進と、成長を祈念して、パネルディスカッションを終了したいと思います。ありがとうございました。

*     *

レポートのまとめ

先進企業における「働き方改革」の具体例や、政府がなぜ「働き方改革」に積極的か、といった本論をもとに、生産性を指し示す新しい指標とはどういうものか? 自分にとっての幸福とはなにか? その先の社会で、企業とはどういった意味をもつのか?

といった大変深い議論が繰り広げられました。

「働き方改革」は多種多様な論点を持つものであり、議論は尽きないものです。

しかし、立ち止まって考えるだけでは十分ではありません。常識にとらわれず、まずは何かを変えてみること。これが求められているのでしょう。

野田氏はディスカッションの最後に、「『働き方改革』の議論を他人事にせず一歩踏み出すことで、社会や世界が変えられるかもしれない」と発言されていました。

その言葉を援用すると「人事部や総務部、経営陣が『働き方改革』に向き合うことはもちろんだけれど、彼らに任せきりにせず、働く人一人ひとりがこの議論に参加し、より良い方法を模索しながら『働き方』を考えることで、社会や世界は変わっていく」と言えるでしょう。

ぜひ、この機会に、「働き方改革」の議論を社内やチーム内で行ってみませんか?




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