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2017/07/03 11:23:40

【イベントレポート04】TeamSpirit Day 2017:カルビー株式会社 松本晃会長 経営戦略だから、カルビーの「働き方改革」は"やめられない、とまらない"

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2017年5月9日、東京コンベンションホール(東京・京橋)で開催されたTeamSpirit Day 2017。当日は、製造業から不動産、小売業やITベンチャーなど、様々な企業の人事部や総務部、役員や経営者など約400名の方々がご来場くださいました。

今年のテーマは「『働き方改革』その先に〜"新ニッポン"の扉を開く」。少子化と高齢化が同時進行する人口構成の課題と、AIやIoTなどの新しい技術の発展に伴う経済構造変化の動きがめざましい今日の日本において、「働き方改革」はこれからどうなっていくのか、数々の知見や見通しから考えてみよう、というのが会の趣旨となっていました。

「働き方改革」といえば、長時間労働の是正やダイバーシティなど、様々な論点が含まれます。本イベントで特別ゲスト講演にご登壇いただいたカルビー株式会社の松本晃会長兼CEOも、「働き方改革」についてこれまで様々な問題を提起されています。

さて、本イベントではどのようなことが話されたのか? 講演の様子を踏まえつつ「明日からでもできる『働き方改革』の参考例」になりそうなポイントをレポートしたいと思います。

<この記事のポイント>

・「働き方改革」は、経営にとって「Change or Die」と言える死活事項
・カルビーで行われた働き方改革とは?
・経営視点で「働き方改革」をするということ

ぜひお付き合いください!

Change or Die〜私たちが「働き方改革」をしなければならない理由〜

登壇早々、「馬鈴薯が不足していまして......ポテトチップスはオークションで10万円にもなっているそうです」と、会場の緊張感を和ませた松本会長。

続けて、「私自身がなぜ『働き方改革』を推進しているかというと、すべては『成果を出すため』です。日本経済や世界情勢の変化する中、労働のあり方についても変化していることを理解しなければ未来はない。経営には、いま『Change or Die』が突きつけられています。だから『働き方改革』をしなければならないのです」と、講演の全体像を示されました。

昨今、「働き方改革」の方法論や取り組みの内容は様々なところで話題になっていますが、「なぜ、それをしなければならないか」という点についての議論はやや少ないように感じられます。

しかし、そのことを突き詰めてこそ、自社や自分たちのチームにとって最適な「働き方改革」のあり方を見出すことにつながるはず。

これから「働き方改革」を実践する、または再始動させるには、いま一度「何のために改革するのか?」という問いに向き合い、ブームに乗るのではなく、自分たちのための「働き方改革」とはどういったものなのか、考える必要がありそうですね。

改革実践編:まずは、誰もが実感できる変化を

では、「成果を出すため」に行われているカルビーの「働き方改革」とはどのようなものなのでしょうか? それは、職場の挨拶を「おはようございます、こんにちは」とし、「おつかれさま」と声を掛け合うことを止めたことと、呼称を役職名ではなく「さん」に変えたことだったそうです。

これを聞いて、中には「挨拶を変えることが『働き方改革』なの?」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、挨拶という日常的なことを変えることの"影響力"を改めて考えてみると、深い理由が推察されます。

それというのも、こうした日常の事柄こそ「変化が体感しやすい」からです。また、「できた! 変わった!」という成功の実感もされやすいものだと考えられます。

多くの場合、「働き方改革」に取り組むことは大きな変化を起こすことだと考えがちでしょう。もちろんそれは必要なことですが、場合によっては社内規則を変更したり、労基法と照らし合わせて実現が可能か確認したり、といった下準備が必要になり、時間もコストもかかりがちになってしまいます。そうしているうちに、改革への意欲がトーンダウンしてしまうこともあり得るでしょう。

しかし「挨拶を変える」だけならば、ひとつの号令だけで済みますね。これは、明日からでも会社や部署で実践できることではないでしょうか!?

改革実践編:カルビー株式会社の"仕組み"を棚卸し

すぐに着手できる「挨拶の変化」から始まったカルビーの「働き方改革」。

しかしこれは、「古い仕組みは止める、悪しき文化はぶっ壊す」という変革を進める上でのほんの序章に過ぎなかったようです。

次に松本会長の号令のもと行われたのは、① いいことだから続けること、② いいことだけど出来ていないこと、③ すぐやめたほうがいいこと、という風に「社内の仕組みを棚卸しすること」だったそうです。

同社では今でも年2回、必ずこの"棚卸し"を実施して「やめることを決めること」を行っているとのことでした。

言うまでもなく、会社を機能的に動かすためには"仕組み"は不可欠なものです。

しかし、この"仕組み"は時間が経てば形骸化したり、意味をなさなくなってしまうことも往々にしてあるものです。また、その環境に長く身を置いていると、「何が古い仕組みで、悪しき文化なのか」を気付きづらい、または「気付いていても変えようというアクションをなかなか起こしづらい」というケースもあることでしょう。

そうした状態を放置せず、社内行事として "棚卸し"を行い、仕組みを精査することは、常に機能的で成果を出しやすい職場環境を保つために役立ちそうですね!


改革実践編:社内外に企業姿勢を示すことの重要性

さて、カルビーといえば、2011年3月11日午前に東証一部に上場したことが大きなニュースとなりました。これは企業にとっても、そこで働く人たちにとっても大きな「働き方改革」となったことでしょう。

ここで注目したいのは、「カルビー、上場」という事象そのものではありません。

本当に目を向けるべきことは、企業が"変わったこと"を目に見える形で社内外に伝えた、という点です。現場レベルではなく企業のトップが変革を示すことは、相応の受け止め方を社会に求めることでもあります。

翻って、自社で「働き方改革」を実践する場面を思い描いたとき、取引先や関係各所に協力を求める場面が出て来ることは容易に想像できます。たとえば、「残業時間は最長で22時まで」「毎月最終金曜日は15時で全員退社する」といったこれまでにない制約を設けた際、現場レベルでのやりくりだけでなく、取引先企業にも協力を仰ぐ必要が必然的に出てくる、というわけです。

そうしたときに、前述のように大々的に会社の方針として変化を示すことは大変有効なものと言えるでしょう。これは「働き方改革」を行う上での経営者の責務と言えそうですね。

改革実践編:成果主義を導入するために、経営陣がすべきこと
〜温かく厳しい会社とは?〜

さらに"仕組み"の変革は続きます。次に着手されたのは「成果主義による温かく厳しい会社への変換」です。

では、「温かく厳しい会社」とはどのようなものでしょうか? 松本会長はご自身の経験を踏まえ、次のように表現しました。

「会社は厳しくないとダメです。厳しいというのは、結果を求めるということです。プロセスではありません。バッターボックスに立って、いいスイングができてもヒットを打たないと意味がないのです。温かい、というのは成果を出せるように環境や制度を整えることです」

「成果主義」自体は目新しいものではなく、「実は以前『成果主義』を導入したけれど、上手くいかなかった」という苦い経験を思い起こされる方もあるかもしれません。

そこで、そうならないようにするために必ず経営側が断行しなければならないことが、組織の「簡素化」と「透明化」です。カルビーでは、定例会議をなくし、社内情報を出来得る限り共有するようにしたと言います。

この2つは、社員が本来取り組むべき仕事に注力する(=社内向けの資料作成の時間や下準備の手間をなくす)ことになり、会社の方針を常に知ることができる、という安心感をも醸成することでしょう。

働く人一人ひとりが実力を発揮しやすい環境を整えることは、成果を高め、企業の業績をUPさせる、という好循環にもなり得ます。

しかし、定例会議をなくす、というのは従業員も管理職も、働く人全体に相当な不安をもたらすことになるかもしれません。実際に、質疑応答の際にも「定期的に会議を行わないで意思疎通ができるのか?」という質問が挙がりました。

これに対し、職場でのコミュニケーションは必要最低限で良く、家庭のコミュニケーションを犠牲にしていては退職後に誰も相手にしてくれなくなる、との指摘が......。これには会場一同、水を打ったような雰囲気に包まれました。

改革実践編:長きを以って、貴しとしない〜古き労働慣行を打ち破るカルビーの取り組み〜

「働き方改革」と聞くと多くの方が「長時間労働の是正」を思い浮かべるかと思います。カルビーでもこの問題について解決のアプローチが検討されたそうです。

松本会長は、「成果が時間に比例していた時代は終わりました。これは『働く』のコンセプトが変わったとも言えます。

部下の時間を奪っている不要な打ち合わせや報告は長時間労働の温床になります。上司は部下の時間を奪ってはいけません。不合理なことを言っても許されるのが上司です。『終わったら帰れ!』と言って、1粒で2度おいしい1日を送ることができるようにしましょう。

たとえば14時に帰ったら何ができるか? 学ぶことができます。教養を高めることもできます。もっと子どもと遊んであげたり家族を大事にしたり、健康のためにジムに行ったりテニスをするのもいいでしょう。そういうことをしていると人はどんどん魅力的になります。会社というのは魅力的な人間をつくる場所なんです。そして、その魅力的な人間はいい仕事ができるし、会社は儲かります。そして、会社はそれを個人に返すことができます。それが成長の好循環になります」と、長時間労働の是正がもたらす利点の連鎖が示されました。

「働く」ということが根本的に変化しているのが昨今の労働の有り様です。

それならば、「会社に居なくてもでき、かつ生産性の向上に繋がるのなら、必ずしも出社して仕事をする必要はない」という、これまでの労働慣行を打破するような「新しい働き方」を検討してみても良いのではないでしょうか?

経営戦略からみた「働き方改革」とは?

さて、いよいよこのレポートのクライマックスです。

松本会長は、「経営は中学校2年生のレベルでできること」と言い、経営視点で「働き方改革」を行う重要性を次のように示されました。

「経営は『すべてのステークホルダーを喜ばせること』と表現した人もいますし、『商売は人助け』と言った人もいます。私は、経営における必要条件は『世のため、人のため』という考え方で、十分条件は『儲けろ』ということだと考えています。

儲けないと設備投資もできませんし、社員の給与も出せません。社会貢献もできなければ税金も払えません。ましてや、株主に配当もできません。だから、『儲ける』ことは大切です。

組織や会社をうまく成長させるためには、仲がいい人をただ集めるのではなく、『こんなことやりたい! だから集まっておいで』と声をかけて同じ目標に向かう、観念的な側面を持つビジョンが必要です。そして『どんなもの、どんなサービスをどれだけ?』という具体的なプランが必要です。最後に、リーダーシップが必要だと考えています。いくら良いビジョンやプランがあっても、リーダーがしっかりしていないといけません」

「成果のためになることをやる」ということは、これまでに述べてきた通り、社内の仕組みや場合によっては会社そのものの構造を変えることにもなります。そうした変革は、働く人たちの「働き方を変える」ことと同義ともいえるでしょう。

経営戦略から「働き方改革」を行うということは、経営者が社内外に対して大きな責任を負うということとも考えられますね。

レポートのまとめ

近頃、「働き方改革」を推進すること、特に長時間労働の是正を行うことは、「給与を引き下げ、稼働率を下げる」と言われ、消費にもマイナスの影響がでるのではないか? と、経営側からも働く人たちからも懸念の声が聞かれています。

また、奇しくもTeamSpirit Day 2017が開催された5月9日に厚生労働省から発表された「3月の毎月勤労統計調査(速報値)」によると、1人あたりの現金給与総額(名目賃金)が10カ月ぶりに前年同月に比べて下回った、との結果が出ており、その理由を「長時間労働を見直した影響ではないか?」とする向きもあります。

しかし、カルビー株式会社の例を見る限り、その心配はどこか的外れなように感じられるでしょう。

確かに松本会長ほどの強烈な経営者だからこそ改革を断行できたのだ、との見方もできるかもしれません。しかし、彼ひとりの力だけでは「笛吹けど、踊らず」に終わってしまっていたとは考えられないでしょうか?

経営戦略として、企業として「改革を行う」ということは、「働き方改革」のビジョンを示しそれに社員が共鳴して初めて実践に移すことができるということでもあります。

まず、ビジョンを示す。そして始めてみる。

その最初のアクションは経営側の責任として行われる必要がありますが、同時に働く人もそれを盛り立てていくことが重要なのだ、ということでしょう。

講演の中で松本会長は、「自分たちも途中だけど、皆さんもどれかひとつから始めてみられればいいと思います」とおっしゃっていました。

さて、みなさんはどこから「働き方改革」に着手しますか?


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