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セールスフォースのクラウドと「TeamSpirit」を使い倒す魂のBlog

2012/12/25 17:54:23

【寄稿Cloudforce Japan 2012レポート】日本でベンチャー企業がうまくいかないなんて都市伝説、起業で成功したければまずは強いビジョンを持って

ベンチャー企業が成功しないは都市伝説だ

Cloudforce Japanのセッションでは、Salesforce.comの活用といった話だけでなく、セールスフォース・ドットコムが日本のビジネス市場に対してどのような活動を行っているかを紹介するセッションもいくつか見られた。その中の1つが『クラウドで起業 ! 日本におけるセールスフォース・ドットコムの投資プログラム』と題して行われたパネルディスカッションだ。株式会社セールスフォース・ドットコム コーポレートディべロプメント シニアディレクター倉林 陽氏の司会の元、参加したのは、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナーの仮屋薗 聡一氏、株式会社ホットリンク 代表取締役CEOの内山 幸樹氏、株式会社チームスピリット 代表取締役の荻島 浩司氏、そして米国セールスフォース・ドットコム コーポレートディベロプメント &ストラテジ-担当 シニアバイスプレジデントのジョン・ソマージェイ氏。司会の『WIRED』編集長の若林 恵氏のリードで、起業にまつわる環境はいまどのような課題を抱えているのか、そして実際に起業して成功するにはどのようなアプローチをとっていけばいいのかについてディスカッションが行われた。

冒頭、仮屋薗氏は、ベンチャーキャピタリストの立場から「日本ではベンチャーはダメ、起業家は少ないのでは、ベンチャーに対して大手企業が協力的ではないのでと、実態はよく分からないのにネガティブな発言をよく耳にし、ある意味で都市伝説化しています」と語った。実際のところは、セールスフォース・ドットコムを始めとしさまざまな大手企業がベンチャーに対しては協力的だし、ここ1、2年で状況はかなり変化しているとのこと。「これから日本は、間違えなく面白くなります。その時のキーワードは、ソーシャル、クラウド、モバイルです」と仮屋薗氏は言う。

この発言を受け、実際に起業していまビジネスを大きく拡大しつつありチームスピリットの荻島氏は、「2008年くらいからのクラウド化、ソフトウェアのサービス化は、本当に大きなものがあります」と言う。クラウド化という流れの中で、自分たちは何ができるのか。それを考え実行することが、起業に対する大きな後押しになると言う。そして、セールスフォース・ドットコムのクラウドプラットフォームが出てきて、サービスを提供する環境がかなり安く手に入るようになったことは、起業をする上ではかなり大きなインパクトがあるとのことだ。

投機的な投資だけではないベンチャー企業への支援が重要

とはいえ、日本の投資家には課題もあると発言したのはホットリンクの内山氏だ。日本の投資家は、どうしても短期の利益に注目する。とはいえ「ソーシャルとかは、最初は儲かりません」とのこと。ソーシャルで儲かるようになるまでには、情報を蓄積しそれを活用できるようになるまでの期間が必要。その期間は、あまり儲からない。そうなると投資家からは、そのビジネスが「儲からないビジネス」ととられがちだ。なので、利益的に厳しい時期を支えてくれる、新たな投資家の存在は重要となる。

たんに投機的な目的だけで投資するのではない投資家が必要。たとえばセールスフォース・ドットコムのように、同社のパートナーのエコシステムを作りそれを活性化するために投資するという存在は重要となる。仮屋薗氏は、「投資する側にセールスフォース・ドットコムが入ることで、ベンチャー企業の戦略が変わり、広がります」とのことだ。一般にBtoBのビジネスでは、セールスチャネルの開発が難しい。それがクラウド化することで敷居が下がり、さらにセールスフォースが投資することで、大きく広がる可能性が出てくるとのことだ。

この儲からない時期に資金を調達することは、ベンチャーにとっては苦労する話ではないのかという質問に対し荻島氏は「資本調達を辛いと思ったことはありません。資本の調達は、表現は悪いかもしれませんが『経営の知的なゲーム』をしていく上では当たり前であり普通にやるべきことです」と言う。自分たちのいいところを投資家に見てもらう。そのためのさまざまな工夫は、経営の中では特段苦労というものではないと説明した。

起業家は強いビジョンを持つべきだ

それではいったい、セールスフォース・ドットコムではどのようなベンチャー企業に対して投資を行うのだろうか。ソマージェイ氏は「強いビジョンを起業家が持っているのは、我々が投資することに対してはアドバンテージがあります。そういう起業家とこそ協力していきたいと考えています」と言う。そして、クラウドは日本のスタートアップ起業にとっては、いいツールになるとのこと。さらに、モバイルに関して日本は世界の先を行く存在であり、それを活かすことができれば成功につながるとアドバイスする。

また仮屋薗氏は「ビジョン、ミッションは日本では軽く見られている面もあります。これらをきっちりと持っていることは、ベンチャー投資においては必要条件です」と言う。ベンチャー企業にとっては、ビジネスがどのようにして儲かるものなのかを考える前に、どういうビジョン、ミッションで会社を運営していくのかということを、きっちりと考えておくべきだと言えそうだ。

もう1つ、クラウドなので、グローバル化はある意味容易。ベンチャー企業は、グローバル市場をどのように捉えればいいのかという点についても話題になった。内山氏は、最初からグローバル市場を意識したサービスを考えていたと言う。これに対し荻島氏は、アプローチが少し異なる。「グローバル市場については、そこに市場があるから出て行くといったものだと考えています。自分たちのビジネスをきちんとやっていく、その結果の先にグローバルの市場があるという考え方です。なので、日本を背負って世界市場に打って出るとかとは、ちょっと違います」とのこと。グローバル市場という特殊なものがあり、それに合わせてサービスを考えるというよりは、まずは自分たちのビジネスの強みを十分に発揮していく、そうすれば、おのずとその先にはグローバル市場があるということになるのだろう。

最後に仮屋薗氏は、ベンチャー企業の成功という面では、有名なシリコンバレーよりも日本はじつは成功しやすい環境にあると言う。「特にクラウドによるビジネス向けサービスについては、それを提供するためのインフラが整ってきています。やるべき人が適切にビジネスを始めれば、かなり成功しやすい環境になっていると言えます」とのことで、もっと起業を積極的に考えてみてはとアドバイスした。また、これから起業をしようと考えている人たちに向け荻島氏も、BtoBビジネスを行うベンチャー企業にとっては、これからの時代は成功する可能性がかなり高いのではと言う。なので、この厳しい経済状況にある日本においても、どんどん起業について考えてみるべきだと会場に向けアドバイスをした。

谷川 耕一取材&文:谷川 耕一
ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

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