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セールスフォースのクラウドと「TeamSpirit」を使い倒す魂のBlog

2013/11/28 22:23:44

【Dreamforce 2013レポート】Customer Companyを実現するための新たなプラットフォーム「Salesforce1」が登場、Salesforce.comが起こしたこの変革に追随できるか!

慈善事業のモデルがSalesforce.comのコアだ

2013年11月18日から4日間にわたり、Salesforce.comの年次イベント「Dreamforce 2013」が、米国サンフランシスコ モスコーン・カンファレンスセンターで開催された。今年は13万5,000人もの人が、このイベントに事前参加登録をしたとのこと。実際サンフランシスコの街は、大混雑。私自身、予約していたホテルがダブルブッキングとなり、1週間のうちに3カ所のホテルを渡り歩くはめに。

Dreamforceは年々、その規模を拡大している。いまやサンフランシスコの街で開催されるカンファレンスイベントとしては最大レベルだ。19日朝に行われたSalesforce.com CEO マーク・ベニオフ氏のキーノートセッションは、自分がこれまで参加したいくつものキーノートセッション中でも、もっとも混み合うものだった。このようなイベント規模の拡大だけを見ても、Salesforce.comのビジネス、そしてクラウドサービスというものが、確実に市場に受け入れられ大きな広がりを見せていることが実感させられる。

大盛況のキーノートセッションでマーク・ベニオフ氏は、自身がいまもっとも注力している慈善事業についてまずは語った。「自分にとってもっとも強力なドラッグは慈善事業です」とちょっと過激な表現をするくらい、同氏はいま社会貢献活動に没頭している。

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Salesforce.comのビジネスは、四半期で初めて売り上げ10億ドルを突破し、年間で50億ドルを超える見込みだ。ベニオフ氏は事業がこのように好調になって初めて、社会貢献活動に取り組んだのではない。創業時から「1/1/1モデル」を設定し、就業時間の1%、製品の1%、株式の1%を社会貢献活動に費やすと決め、それをずっと実践し続けているのだ。

この1/1/1のモデルは実際成功しており、GoogleやVMwareなどがSalesforce.comに続いてこれを採用している。彼らもまた、ビジネスが成功し大きな社会貢献活動へとつながっている。ベニオフ氏は「慈善事業のモデルが、我々のコアだ」と言い、ビジネスとともにこういった活動を行うことの重要性を強調する。実際、以前に同社の社会貢献担当役員に取材をした際にも、こういった取り組みをしていることでより良い人材を獲得することにも貢献しているという話を訊いた。つまりは社会貢献活動が、企業価値そのものを高めているのだ。

「みなさんもこのモデルを是非導入して下さい」とベニオフ氏は参加者に語りかける。会場には経営者もたくさんおり、さらにこれから起業しようとしている人もいるはず。彼らすべてが、1/1/1モデルを採用すれば、社会は大きく変わるとベニオフ氏。たしかに、そうなればビジネスと社会貢献、ひいては社会のあり方そのものに大きな変化をもたらすだろう。

社会貢献と一体となった経営は、米国におけるビジネスの成功モデルだ。それが、確実に定着しつつあることが感じられた。日本においては、まだまだ社会貢献と企業活動は切り離されている印象が強い。ベニオフ氏のメッセージを、日本からの大勢の参加者も聴いていたはず。それが、何らか変化のきっかけになればいいなと思うところだ。

Salesforce1は、Internet Everything時代のCustomer Companyのために必須のプラットフォーム

慈善事業も大事だが、キーノートセッションの本題は「コンピュータの第三の波」の話題。東京で行われたCustomer Company Tourでも、これについては語っていた。携帯電話やスマートフォンが数多く市場に導入され、さらにあらゆる「モノ」がネットワークに接続する時代がやってくる。それがInternet Everythingであり、まさにいま進行中だとベニオフ氏は言う。

その際もっとも大事なのが、「接続されるモノの後ろには、必ず顧客がいる」ということ。あらゆるモノがつながり、さまざまな情報が共有される。さらに顧客は、さまざまなことをソーシャルネットにすぐにつぶやくようになる。また、製品やサービスに何らかトラブルが発生したり新たな要望が生まれたりした際にも、すぐにメーカーやベンダーとつながり、それを解決して欲しいと考える。こういった状況に、企業は顧客より先回りをして対処できなければならない。

そのとき必要になるのが、新たな「カスタマー・プラットフォーム」だとベニオフ氏は言う。そして、それを実現するために提供するのが、新たに発表した「Salesforce1」なのだ。「これは新しいプラットフォームであり、モバイル、ソーシャルに対応し、すべてがSalesforce.comでできています。APIが揃っていて、さまざまなモノとすぐにつながることができます」とベニオフ氏。

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具体的には、このSalesforce1を使うことでiOSでもAndroidでも使いやすいモバイルアプリケーションが簡単に作れる。そこで作ったアプリケーションは、すぐにSalesforce.comのクラウドサービスと連携できる。さらにAPIを使って、さまざまなデータソースやシステムとも簡単に連携できるのだ。今後Salesforce1の上で作るアプリケーションはもちろん、これまでSalesforce.comの上で作ってきたオブジェクトやカスタムアプリケーションも、Salesforce1に載る。既存のものを載せる際に、基本的にはプログラムを新たに作成する必要がないのも売りだ。

今回のSalesforce1の登場で、今後のクラウドサービスは、モバイル・ファーストで構築されることが決定づけられたと言えそうだ。Internet Everything時代には、まずはモバイルで使うことを前提にアプリケーションが設計、構築され、その上でPC画面を考えるくらいの発想の転換が必要になるだろう。

Salesforce1は、Salesforce.com自身が変わらなければいけないと発想し、そこから生まれたものだとベニオフ氏は説明する。Salesforce.com自身がカスタマー・カンパニーにならなければならない、そのために何が必要かを考えた結果生まれたのだ。それがモバイル・ファーストの新しいプラットフォームだったわけだ。

なので、同社のService CloudもSales Cloudも、そしてMarketing Cloudも、すべてがSalesforce1の上で動くようになる。そして、すべてがモバイルですぐに利用でき、ソーシャルネットワークなどとも容易に連携できるようになるのだ。そうなると、Service Cloudの世界では予防保守的なサービスが発展しそうだ。何か問題が発生してから初めて顧客とベンダーが接点を持つのではなく、普段の利用の中でさまざまな接点を持ち、何らか問題が発生する前に対処する。これでより良好な顧客関係が継続する。

Sales Cloudの世界では、営業マンなどのワークスタイルが大きく変化しそうだ。モバイル環境を最大限に利用し、社内外の「コ・ワーカー」と密なる連携で営業活動の効率が大きく向上する。

Customer Companyの実現で大きく変化するマーケティングの世界

Internet Everything時代におけるCustomer Companyの実現で、もっとも変化するのがMarketing Cloudの世界だろう。キーノートセッションでは、最新のSONYプレイステーション4を拡販するために、見込み顧客となる人たちとダイレクト・コミュニケーションを図っていく様子がデモンストレーションで紹介されていた。ここで活躍していたのが、Salesforce.comが買収したExactTargetのソリューション。これがSalesforce.comのサービスに融合され、それを使うことで次世代の1対1のマーケティングが現実のものとなる。

顧客の360°ビューは、マーケティングの世界では以前からその必要性が説かれてきた。これを実現するだけでなく、企業と顧客の関係性を「ジャーニー(旅路)」と捉え、顧客がその旅路のどこにいるかを把握する。そして、そこからその顧客をどこに導いていけば良いかを判断し、よりよい顧客の旅路を実現する仕組みが「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」というわけだ。

たとえば旅路の段階に応じ、その顧客に最適化されたダイレクトメールを送信する。その後の顧客の反応を得て、次なるマーケティングのステップに進むという感じだ。キャンペーンを行い、適切なコンテンツを作り送信するところまでを、ExactTarget Marketing Cloudではサポートしている。個々のマーケティング活動の目標を設定し、それに対しどういう結果となったかを評価、評価結果を踏まえ次のステップに進むことができる。

この一連の活動で、顧客とのエンゲージメントが確立する。これがマーケティングの将来のあり方であり、こういったことが実現していく新たなマーケティングの世界に「とても興奮している」とベニオフ氏は言っていた。

今回のDreamforceでは、なんと言ってもSalesforce1という新たなプラットフォームが登場したことが、大きなトピックスだった。モバイルファーストで、ソーシャルネットワークの取り込みも容易に実現できる。こういった変革は、従来のオンプレミスと対比する形だったクラウドサービスが、確実に次なる段階にたどり着いたことを予感させる。この変化を確実にキャッチアップすることが、今後のクラウドサービスのビジネスで成功する鍵となりそうだ。

谷川 耕一取材&文:谷川 耕一
ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

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