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セールスフォースのクラウドと「TeamSpirit」を使い倒す魂のBlog

2014/12/05 12:58:36

『アプリ開発、コンテンツ制作会社で必要なプロジェクト原価管理』 株式会社スカイアーク 代表取締役 小林晋也 氏

早くも第3回を迎えたチームスピリットセミナー。11/19(水)、「アプリ開発、コンテンツ制作会社で必要なプロジェクト原価管理」と題して開催されたセミナーの模様をお伝えします。

アプリ開発やWeb制作などプロジェクト型ビジネスが増えていますが、そういったビジネスに取り組む企業では、プロジェクトごとの利益を向上させることが重要な経営課題です。そのためには原価管理が重要であり、プロジェクト型のビジネスにおける原価管理とは人材を適切にマネジメントするための指針だと語るのはCMSの受託開発を行う株式会社スカイアーク・代表取締役 小林晋也氏。同社が達成した売上1.3倍、粗利益率44%から64%への改善は、TeamSpiritを使いこなすことで見えてくる数字がカギを握っていました。

株式会社スカイアーク 代表取締役 小林晋也 氏

1.スカイアークの紹介

弊社は、株式会社スカイアークという、北海道帯広市に本社を置く会社です。「帯広から世界」を目指すITベンチャー企業です。2004年の設立で、現在、帯広本社、札幌ソリューションセンター(受託開発拠点)、東京営業所の3拠点で事業を行っています。従業員は30名強です。事業内容は、主に大企業に向けて、CMS(MovableType)を使い、ホームページの更新を簡単にする技術を提供しています。

2.「企業競争力」強化に向けクラウド経営を導入

今日のテーマは「原価管理」です。私は原価管理とは、人材を適切にマネジメントするための指針だと考えています。利益を出すためには原価管理は重要です。立てた計画通りに人間がきちんと動いているのかを確認するための指針。それが原価を確認して管理していく手法だと考えています。

(1)増収増益のカギは「企業競争力」

企業は増収増益をしない限り、競争に負け、淘汰されてしまいます。増収増益のためには競争力をつける必要があります。それを私は「企業競争力」呼んでいます。「企業競争力」のポイントは「生産力」と「営業力」の2つです。品質、コスト、安定供給をきちんとマネジメントして、製品をデリバリーできる体制を作る。そして、営業力と生産力が、高いレベルでバランスが取れている。それが「企業競争力」です。

例えば、生産力があっても営業力がなければ、生産過剰かつ在庫を大量に抱えることとなり、余計なコストや資金が必要となります。逆に、営業力があっても生産力がなければ、売るべきものがありません。「生産力」と「営業力」をきちんとマネジメントすることが「企業競争力」のポイントです。

「企業競争力」を強化するにはどうすれば良いでしょう。私は増収増益のための方程式を考えました。

【増収増益のための方程式】
戦略/計画×実行=増収増益

スカイアーク増収増益の方程式

つまり「戦略/計画を実行すること」です。実行すれば戦略は実現に近づき、それによって増収増益となります。戦略は良いのに実行が伴わない会社は沢山あります。社長が良いアイデアとビジョンを示して実現されれば共感するお客様は買ってくれますが、実行されなければ売れません。良い戦略を正しく実行することが重要なのです。実行なくして成果はありません。

(2)「企業競争力」を強化するために必要なこと

[1] 行動の可視化
ここで重要なことは人の行動を可視化することです。実行力を高める時に一般的に使われるのはKPIです。KPIを使うには、まずデータを入力する必要があります。データを入力するから見えるようになり、見えるから対策を取って改善することができます。
これが情報システムのあるべき姿です。データを入力できないシステムは使い物になりません。また、データを入力しても可視化できない、分析が出来ないシステムも意味がありません。さらに、その後の対策と改善(これらはマネジメント側の問題)も大事です。これらをぐるぐると回すことで、改善サイクルが回り、利益が出るようになります。

[2] データに基づく適切な意思決定
もう一つ重要なことは、入力されたデータから、適切な意思決定をすることです。しかし、そのためにKPIで行動を可視化して進捗を確認しようとしても、現場がデータを入力してくれないといった問題はよく起こります。データが入力されなければ分析ができません。また、入力されたとしても紙やエクセルなど様々なフォーマットがあるためデータが繋がらず、分析に厖大な時間がかかります。入力されたデータ同士が繋がり、さらにその繋がりが見えなければ、適切な意思決定は困難です。
特に見えにくいのが人に関わる情報です。一人の社員がどれだけ生産的な活動をしたか、会社の全稼動時間のうち会議に使った時間が何%を占めているか、答えられる会社はどれぐらいあるでしょうか。人の情報が見えなければ、重要なはずの適切な意思決定が難しくなります。人は財産です。人がいなければ経営はできません。その情報が見えず、適切な意思決定ができない。これでは「企業競争力」はつきません。

そこで弊社は2010年、Salesforceを導入しました。しかしSalesforceでは勤怠管理ができません。Salesforceは様々な業務データを統合して、データ同士が繋がって見えるようになりますが、肝心の人のデータを紐づけることができません。そこで色々試していたときにTeamSpiritを見つけ、すぐに導入を決めました。

(3)スカイアーク増収増益の方程式

弊社の売上の50%が受託開発です。残りの50%はサポートや自社製品の販売です。受託開発は、受注したプロジェクトごとに売り上げが立つため、原価はプロジェクトごとに個別の管理をします。このプロジェクトの採算をどう見るかが重要です。

商談が始まってから回収までの流れを説明すると、まず商談開始から受注までのリードタイムが45日。次に、お客様からご注文いただき、モノを作り始めて納品するまで75日(2.5か月)です。そして請求からの平均回収サイトが48日です。全部合わせると168日(5.5ヶ月)です。つまり人件費先行で、5.5か月分、借入をしておく必要があります。固定費を5.5か月借入することは、金利もかかって非常に無駄です。途中でプロジェクトに問題が発生すれば、回収のタイミングが大きくずれる可能性もあります。細かくプロジェクト管理をしないと破たんしてしまいます。

弊社の状況を増収増益の方程式に当てはめて考えてみます。増収増益の方程式はこうでした。

戦略/計画×実行=増収増益

まず戦略です。弊社はMovableTypeを拡販したいという経営戦略を立てています。そして、それがちゃんと正しく進んでいるかどうかを経営レベルで確認しています。

次に実行です。我々が重要だと考えているのは「営業管理」「採算管理」「人材管理」です。この3つの要素がないと、戦略を実施できません。

増収・増益の管理では、バランスシートや損益計算書で、売上限界利益や売上総利益、キャッシュフローなどを確認しています。

これらの中で、特に重要な視点は、営業では「顧客応報件数」「商談件数・金額」です。採算管理は全社なら「プロジェクト」です。業績管理では「人時生産性」で、1時間あたりどれぐらいの売り上げまたは利益を稼いでいるかを重要視しています。以上4つの視点が重要です。

売上から原価を引いたものが利益です。我々の原価は時間単価×工数です。つまり利益をリアルタイムで把握するためには、プロジェクトごとに時間単価をモニタリングすることが重要です。プロジェクトが進むたびにリアルタイムにお金が引き落とされていくイメージです。これを実現しない限りは、プロジェクトごとの原価管理を実現することは出来ません。

そこで、TeamSpiritとSalesforceを組み合わせて、売上のデータや人材のデータを紐づける、全く新しい方法で管理することにトライしました。それが2年前です。

3.TeamSpiritとSalesforceの使い方

入力しなければ見える化は実現しませんが、現場に入力する行動が定着するまでは非常に時間がかかります。そこで弊社は、絶対に入力しなければいけない仕組みを作りました。先ほどの(1)営業管理、(2)生産管理、(3)人材管理の3要素に分けて、弊社がTeamSpirit、Salesforceをどう活用しているのかを説明します。

TeamSpiritとSalesforceの使い方

(1)営業管理

営業マンの仕事の流れに沿って説明します。

[1] 顧客往訪報告
まず、顧客往訪の結果報告には、TeamSpiritのタイムレポートを使います。どの作業に何分かかったかを打ち込んで工数管理をしています。

[2] 営業日報
さらに、TeamSpiritの工数入力欄に日報を書かせてchatterに投げさせています。
タイムレポートで一度打ち込ませたにも関わらず、もう一回書かせているのは何故かというと、社内のコミュニケーションを活性化させるためです。仕事で思ったことをchatterに投げさせ、それに対するコメントを入れてコミュニケーションをとっています。

[3] 営業日報と顧客情報・「商談」の紐づけ
営業日報と顧客情報・「商談」を紐づけるシステムを、Salesforceのルートセールスキットを改造して作りました。このシステムに、営業があらかじめGoogleAppsなどで入力していたスケジュールを表示させます。そして、それぞれの活動結果をこのシステムで打たせます。それが個々の顧客への対応履歴となり、その履歴を数えれば顧客往訪件数を導き出すことが出来ます。つまり営業日報を打ち込めば、誰が何月に何件往訪しているのかということが自動集計されるのです。
逆に誰がどれぐらい行っていないのかも把握できます。例えば弊社の中で一番大きな顧客には、月平均4回訪問するように指示していますが、この一覧を見れば、実際その通りに訪問できているか、いないかを把握できます。できていなければ、営業会議でなぜ行けていないのか、どうやったら行けるのかを議論します。弊社は、顧客往訪を売上につながる行動であると考え重要視しているので、それを見える化するために、営業マンの行動管理をしています。

[4] 商談内容の登録から請求・回収まで
日報を打ち込んだ後、そのままSalesforceの「商談」に商談内容を登録します。「商談」はフェーズ管理していますが、そのデータは請求まで使い回します。つまり見込み案件が売り上げになり入金するフェーズまでデータが繋がっているのです。
これは特殊な使い方ですが、非常に大きなメリットがあります。見込み案件の段階で入力したデータが、受注に至ればプロジェクトのデータになるからです。リーダーズではプロジェクトを別に作るという考えですが、我々はフェーズを動かしていけばお金の流れが見えるように「商談」の中で全部管理しています。

この時、各プロジェクトを担当するチーム・部門を、予め「商談」に設定します。設定する際にTeamSpiritの「商談」連携オプションを使って、各担当に自動的にリソースを割り振りします。この部分は我々が独自に作っています。例えば5人のチームだとすれば、その5人が自動的にアサインされてTeamSpirit上から工数を選択できるようにしています。入力するのが大変なので「商談」にリソースを追加するのも全て自動化しています。

以上のように「商談」を請求まで使い回すことで、見込み案件から確定案件まで1つのデータベースで管理できます。それによって先々の売り上げ予測も、高い精度で見えるようになり、営業会議もダッシュボードとレポートだけで実施できるようになりました。

「商談」に対して、Salesforceには標準で「見積もり」がついていますが、我々はそれ以外に「仕入れ」をつけています。「仕入れ」を付けないとプロジェクトの原価計算が厳密に出来ません。かつ請求書発行も管理できます。1つのデータを使い回して帳票も全部自動で出るようになっているため、現場の事務作業はほとんど不要です。

(2)採算管理

弊社ではプロジェクトごとの開発時間を、開発担当者が毎日、退社時にTeamSpirit上の日報に打ち込んでいます。

「商談」に原価とTeamSpiritの工数が紐づいているため、開発者が日報に書くだけでプロジェクトの原価計算が自動的に行われ、リアルタイムに売り上げ総利益がわかります。何月にどのプロジェクトが動いて、利益率がどれぐらいだったかがわかります。そのレポートを見ると、どのプロジェクトが不採算かも一瞬でわかります。

発注も「商談」に紐づけているため、発注書も発行でき、売上に対する仕入れ原価もわかります。さらに労務費も、1時間あたりの担当者別の単価をSalesforceで保存しているので、それに工数をかけて自動計算します。「仕入れ+労務費=原価」なので、これで売上総利益がリアルタイムで見ることができます。

以上が弊社の採算管理の仕方ですが、あくまでも現場がやることは日報を書くだけです。それだけで自動的に計算される仕組みです。日報を書いてくれれば計算ができる。そのような仕組みがあれば、現場も入力してくれるようになります。

(3)人材管理

最後に人材管理です。勤怠の可視化は、TeamSpiritの標準機能を使えば可能です。弊社が独自にやっていることは、以下の通りです。

[1] 工数の可視化
例えば全社員の全稼働時間のうち会議にどれぐらい使っているかも把握できます。弊社では直近の8か月間で2829時間使っていますが、これが半分になったら社員1人分の時間が浮く、といった計算ができます。このように工数がかかりすぎていないかどうかをモニタリングしています。

[2] 部門採算管理
弊社では、チーム別に月次の売上総利益を自動集計しています。ただしこれは厳密なデータではありません。例えば残業費を自動計算させるところまでは細かくやっていないため、大雑把なところがあります。しかし正しい行動がとれているかどうかわかればマネメント出来るので、細かく気にする必要はありません。
また、月次の予算達成率や限界利益、人時生産性といったものをモニタリングしています。
人時生産性は、1時間当たりの売上です。優秀なチームだと平均1万8千円ぐらい、ダメなチームだと9千円ぐらいです。1万2千円~1万4千円を達成することが社内の目標です。
さらに詳細の数字に関しては部門別のP/L(損益計算書)で管理しています。P/Lじゃないと正しい売上総利益が出せません。先ほど述べた通り、残業の自動計算がないので、数パーセントの狂いが生じます。ただ、そこでもマネジメントできるので最終的に部門別P/Lに落とし込んで、さらに何が問題だったかを見ています。

[3] 戦略管理・目標管理
次に経営の管理では、Salesforceの中に「戦略管理」というシステムを作っています。ここには経営戦略の中で重点的に取り組むべき行動目標が入っています。それぞれの行動目標に対してどのようなアクションを実施するのかを、マネージャーが打ち込みます。次にそのアクションを「目標管理」というシステムを使って、現場の担当者ごとの目標として落とし込んでいきます。
その目標の中を見てみると、例えば「採用応募数の増加」というアクションだとしたら、「ブランディング強化に何をした」「採用応募数の増加のために何をした」ということを打ち込ませています。
これはchaterでやりとりが出来るようになっています。目標管理について何か相談があれば、そのままchatterで相談をするような形で、設定されているKPIに対する数字を入れさせて、Salesforceで全社集計をさせています。
先ほどのプロジェクトの採算管理の話と矛盾して聞こえるかも知れませんが、重要なことは現場の行動が正しく行われているかを確認することです。

[4] 人材採用管理
誰がどれぐらい面接のアクションを行い、いつ履歴書をもらって、いつ面談する、という管理を行っています。

以上、「営業」「採算」「人材」という3つの管理について話しました。
私はプロジェクト型の受託産業にとっては、売上と工数は最適な組み合わせだと考えています。売上と工数を割り算するのに、わざわざExcellで計算するのは非常に手間暇がかかります。プロジェクトごとにそれを割り出すとなれば、おそらく専任スタッフが1人必要でしょう。それに対して弊社は、日報を書くだけです。工数だけで商談から自動的に人時生産性や売上総利益の計算が出来ます。Salesforceのような業務システムと連携できることがTeamSpiritの非常に優れたところです。売上や原価のデータに工数を絡めることで、今まで見たくても見えなかった人に関するデータが見えるようになります。TeamSpiritは、ERPのフロントウェアでもあり、SFAのフロントウェアでもあると思います。

4.TeamSpiritとSalesforce導入の成果

TeamSpiritとSalesforce導入の成果

弊社では、TeamSpiritとSalesforceの導入によって、次のような成果を上げることができました。2011年の導入後1年間の数字です。

まず、人数を変えることなく売上は1.3倍になりました。これは商談管理がきちんとできているからです。
次に粗利率(売上総利益)が44%から64%に大幅に改善しました。
さらに、コストも大幅に削減できました。帳票を自動的に出すようにした結果、総務を2人から1人に減らすことができました。しかも半月あれば会計まで出来るようになりました。営業の工数もSFAへの入力時間が増えましたが、全体では相殺されて消えています。その結果、人件費換算で全体的に1年で500万円削減されています。弊社はSalesforceのエンタープライズエディションを使っており、年間300万円から400万円払っていますが、そのコストを吸収して利益が出るぐらいです。さらに粗利率が改善されたため非常に助かっています。

5.まとめ

増収増益の方程式は戦略×実行です。その実行力を上げる上で、SalesforceやTeamSpiritのようなシステムは、どんどん使っていくべきです。特に工数を紐づければ、経営として今まで見えていなかった人のデータがどんどん見えるようになります。
そのためにまず会社として目標を設定することが大事です。弊社の場合は、人時生産性や顧客応報件数、売上総利益率などを設定し、行動が正しく行われているかを見えるようにしました。その上で改善サイクルを回していけば、増収増益は十分に可能です。

今日の話は、弊社の実体験です。使いこなせるようになるまではかなり大変でした。しかし、大変だと言ってはいられません。これだけ競争が激化し、グローバル化すると、優先順位は現場の見える化、利益率の見える化、しかもリアルタイムにアクションを取れるかどうか、スピードだと思います。そう考えれば100万円かけようが1億円かけようが、人間の動きを数値化して、さらに他の経営指針と組み合わせて、新しい指針を作っていくことが非常に重要だと考えます。

我々のような受託産業の場合、業績を細かく管理していくと、プロジェクトの採算管理に行きつきます。そのために必要な数字が、SalesforceとTeamSpiritを使いこなすことで見えてきます。弊社の事例の中には、TeamSpiritを導入していれば明日から実践できるものもあると思いますので、ご参考にしていただければと思います。ありがとうございました。


編集後記

スカイアーク社が取り組むCRMの受託開発を始め、プロジェクト型ビジネスは労働集約型のビジネスであり、「人の動き」が全てです。「人の動きを」マネジメントすることは至難の業ですが、スカイアーク社は、試行錯誤の末、その仕組み作りに成功しました。それを成し遂げた小林氏の「大変だと言ってはいられない」という言葉には凄みを感じます。増収増益を狙うには戦略を実行しなければいけない。そのためには現場に動いてもらわなければいけない。現場の重い腰を上げるには、TeamSpiritが有効に働くようです。

猪狩協弘執筆者:猪狩協弘
学童保育所指導員、雑貨メーカー営業、印刷会社営業、マーケティングリサーチャー、編集プロダクション営業等を経験した後、大阪にて独立。現在は、ベンチャー企業を中心に、コンテンツの取材・執筆を行っている。

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