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セールスフォースのクラウドと「TeamSpirit」を使い倒す魂のBlog

2014/12/03 10:13:33

年1000%成長を『クラウド経営』で実現 クラウド活用による顧客満足度98%のカスタマーサポートを支える仕組み作り

社会の成熟化が進む中、伝統的なビジネスの世界においてもイノベーションが求められています。印刷業界では、近年"ネット印刷"と呼ばれる業態が現れ、参入が相次ぎました。

そのネット印刷市場に後発で参入したラクスル社は、圧倒的なカスタマーサポート体制の構築による差別化戦略で、売上1,000%の成長と顧客満足98%を両立させました。顧客との信頼関係をいかに結ぶかは、現代のビジネスで生き残るための最重要課題です。ラクスル社の、売上1,000%成長と顧客満足98%は決して偶然の産物ではありません。

その核を担ったのはTeamSpiritやCRM&ヘルプデスクなどのクラウドサービスです。ラクスル社における取り組み事例を、ラクスル株式会社 マネージャー インターナルシステムグループ 利根川裕太氏にお話しいただきました。

講演テーマ
「売上1000%成長」と「顧客満足度98%」をクラウド型CRM&ヘルプデスクとTeamSpiritで両立してきた物語

「売上1000%成長」と「顧客満足度98%」をクラウド型CRM&ヘルプデスクとTeamSpiritで両立してきた物語

弊社は今年、売上高で昨対1000%以上の成長を達成しました。売上を1年で10倍にしようとすると、その過程で何等かの無理が生じます。弊社は結果的に、そのような犠牲を払わずに実現出来ました。その要因としてはクラウド型CRM&ヘルプデスクとTeamSpiritの役割が非常に大きかったと感じています。

0.クラウド型CRM&ヘルプデスク導入前夜

弊社は印刷のeコマース「ラクスル」を運営しています。自社では印刷機を持たず、全国に印刷会社のネットワークを築き、各印刷会社の得意分野に合わせて、案件ごとに按分し、納品しています。
サイトがオープンしたのは2013年3月ですが、最初の約半年間はシステム上のエラーを潰すことに追われました。「問題なく商売が流れるようにすること」という経営上かつシステム上の課題に取り組んだ結果、約半年後に、小規模ながらもお店の形を作ることが出来ました。
ビジネスのスタートラインに立てた時点で課題となったのが、先行する競合他社との差別化です。

1.立ち上げ期―カスタマーサポートシステムの構築―

(1)クラウド型CRM&ヘルプデスク導入に至った経緯

印刷業は、リピート性の高いビジネスです。1人のお客様の「購入単価」と「リピート回数」の掛け算で顧客価値(LTV)が決まります。また、eコマースの場合、リスティング広告などによって、1人のお客様の「獲得コスト」が計測でき、それによってマーケティングコストが把握できます。我々のビジネスの事業価値を高めるには、これら「購入単価」「リピート回数」「獲得コスト」といった要素をブラッシュアップすることが必要です。
弊社は、このうち「リピート回数」については「カスタマーサポートの向上によって、向上させられるのではないか」という仮説を立てました。

その一方で、Google、Yahoo!などの検索連動広告を始めたのですが、印刷のeコマースは、検索連動広告でお客様を獲得しても、1回の注文だけでは利益が生まれにくい構造です。Googleの検索広告で1人のお客様を獲得するのに1万5千円の広告費が必要だったとします。その際仮に1万円のチラシを受注しても、紙や印刷の原価を差し引くと利益は2千円ぐらいです。何回もリピートしていただかないと黒字になりません。そのためネット広告をやればやるほど会社のキャッシュが減り続ける状況でした。
ただ、ベンチャー企業の場合、将来のロードマップが見えていれば、ベンチャーキャピタルからの資金調達が可能です。そこで資金がショートする前に資金調達することにしました。

資金を調達するには投資家にアピールできる差別化要素が必要です。印刷機を持っていない弊社が競合に勝つには、マーケティングを巧みにやるか、お客様がより満足して使えるサービスを育てるかのいずれかしかありません。そこでお客様とどういう接点を持つのかが価値の源泉であり、「顧客満足をいかに作るか」が差別化の大事な要素だと考えました。とはいっても、資金は減る一方なのでお金をかけて何等かのシステムを開発するようなことは出来ません。予算も時間もない中で判断したのがSaaS型CRM・クラウド型CRM&ヘルプデスクの導入を軸としたカスタマーサポートの立ち上げです。

(2)カスタマーサポート立ち上げまでの取り組み

カスタマーサポート立ち上げ期(2013年7月から年末ぐらいまで)の取り組みは以下の通りです。

Step1. クラウド型CRM&ヘルプデスクインテグレーショントレーニングを受講

Step2. 離脱しそうな優良顧客へ、ポイント付与&架電
導入したクラウド型CRM&ヘルプデスクの営業支援機能を使い、しばらく注文がない優良顧客をリストアップしてアプローチしました。

Step3. CRM&ヘルプデスクの機能からeコマースの見積品を注文できるように
新しい商品を作ってすぐにリリースしたい時、クラウド型CRM&ヘルプデスクで簡単にランディングページや申込みフォームを作ることが出来ます。そこから見積書を発行して、注文してもらうという流れを、短時間で作ることが出来ます。素早く施策を打ちたい時に有効です。

Step4. eコマースからクラウド型CRM&ヘルプデスクへ顧客情報と注文情報を連携
eコマースとクラウド型CRM&ヘルプデスクを繋ぎ込んで、クラウド型CRM&ヘルプデスクにお客様の企業情報、担当者情報、どのようなタイミングでどのような注文があったかという情報を蓄積できるようにしました。

Step5. コールセンターにクラウド型CTIを導入
クラウド型CRM&ヘルプデスク以外にコールセンターシステムを入れ、電話がかかってくると、電話を受けたタイミングで、発信番号をもとにお客様の名前や最近の注文内容などが表示されるシステムを作りました。

(3)取り組み効果

これらの取り組みの結果、次のような効果がありました。

1)優良顧客の復帰率が4倍に
最近注文がなくなった優良顧客に電話した際の復帰率が3%から12%に増えました。

2)見積もり対応の新商材を1週間でリリース
見積書や問い合わせフォームを作る期間が短縮されました。従来は社内のエンジニアが時間をかけて作っていました。

3)受電数・通話時間や新規/既存顧客割合の把握
コールセンターシステムを入れたことで、どんなお客様からどんなタイミングでどれぐらい電話がかかってきているのか、1件の電話は何分ぐらいか、具体的な数値で把握出来るようになりました。

4)受電時の通話時間を短縮
従来はお問い合わせをいただくと、まず10ケタの注文番号を聞いていましたが、電話番号から自動的に注文内容を把握できるようになりました。それによって通話時間が15%短縮されました。

5)資金調達に際して、カスタマーサポートへの評価の獲得
2014年2月、ベンチャーキャピタルなどから14.5億円の資金調達が出来ました。
ご評価いただいた要素は事業モデル全体ですが、その中で競合との差別化のためにカスタマーサポートに重点を置いていることがきちんと伝わったことがあると考えています。限られた予算・時間の中で、手探りで仕組みを構築し、連携方法、アクション、外部アプリケーショなどの最適解を模索してきたという進捗状況を説明したことが、伝わりやすかったのではないかと感じています。

急拡大機―カスタマーサポートチームが3倍に―

2.急拡大機―カスタマーサポートチームが3倍に―

(1)組織拡大期における課題

1)経営上の課題

「調達資金をマーケティングに投入し注文を増やす」
それまで検索連動の広告やアドネットワーク、Facebook広告など、最近流行りのものを試しましたが、調達した資金は、マス広告に使いました。テレビCMも打って、注文がそれまでの5倍に急増しました。

「顧客満足度を堅持するために、カスタマーサポートチームを半年で3倍に」
顧客満足度は維持するために、マス広告で注文が急増する前に、カスタマーサポートチームを増強しました。

2)システム上の課題

「注文が10倍になっても回る仕組みづくり」
我々の場合、一般的なWEBページとは違い、オーダーメイドの要素があるため、従来の仕組みを単純に拡大コピーしてもダメだということが見えていました。

「今後の更なる成長に耐えうる組織の基盤づくり」
正社員が急激に増え、コミュニケーションや意志の疎通などの課題が発生しました。これは人事などが中心的になって解決していく課題ですが、システム部門としても組織が急成長する中でいかにシステムを作るかを課題として考え始めました。

(2)課題解決に向けた取り組み

テレビCMは、2014年10月頃に東京などで放映しました。全社的に不安がありましたが、結果的には良い形になっています。そのテレビCM放映に備えて行ったことは次の4ステップです。

Step.1 カスタマーサポートチームの大量採用

CTIを元に人員計画を策定しました。カスタマーサポートの部隊は売り上げに連動した人数が必要です。2014年の明け時点の人数をもとに、どれぐらいの人数が必要かを計算し、コールセンターの人数を増やしました。

Step.2 カスタマーサポート初期教育の体系化

大量の問い合わせを処理しようとすると色々と問題が起こるため、初期教育を体系化しました。体系化するにはまず受電内容を記録する必要があります。コールセンターとCRMをつなぎ、電話に出ると、問い合わせ内容を記録する画面が立ち上がるシステムを作り、記録できるようにしました。そして集めたデータはクラウド型CRM&ヘルプデスクで分析しています。

その分析結果はレポートとして出てきますが、これで満足せずその分析結果に対して、今後どうするのかを考えて実行することが大事です。そこで「8割の電話」に対応できるようマニュアルを作りなおしました。

<従来の教育方法>
入社時に2日間、サイトとFAQを見ておいてもらいます。3日目から、1人の先輩の横に新人2人が座り、実際の対応を見ながら覚えていきます。そして感覚的に覚えてきたかなというタイミングで電話に出てもらっていました。

<現在の教育方法>
まずマニュアルをもとに座学教育をします。次にテストで習熟度を判定し、OKなら電話やメールの対応を始めます。

Step3. カスタマーサポートフォローアップ教育も開始

その後も続きがあります。コールセンターで電話に出た時に立ち上がる画面に、対応した問い合わせ1件ごとに、自信を持って答えられたか否かという自己評価を、3段階で回答できるようにしました。
会社としては、ビジネスの成長に合わせて早く前線に出したいという気持ちがありますし、前線に出すと早く覚えるということがあります。このような自己評価を記録することで、自分の対応が大丈夫だったか、後から振り返ることが出来ます。「不安がある」と答えた対応をクラウド型CRM&ヘルプデスクで一覧化して、コールセンターの画面に表示し、電話対応の録音内容を聞いて振り返っています。クラウド型CRM&ヘルプデスクの標準機能でこのようなことが可能です。

Step4. コミュニケーションにTeamSpiritを活用

ここで、TeamSpiritを導入しました。導入の目的は勤怠管理です。
カスタマーサポートの部隊は、基本的にアルバイトで構成しシフト制を組んでいます。従来は社内でスクラッチ開発した簡易システムを使っていましたが、それでは回らなくなったので、TeamSpirit Leaderのシフト管理ツールを入れました。

TeamSpirit Leaderのシフト管理ツール

また、組織が拡大すると、現場と経営がお互いに見えなくなるという弊害が生まれがちです。そこでもTeamSpiritを活用しています。

1)現場の見える化
勤怠管理で退勤の時に、一言日報を書くことにしました。「お疲れ様でした」というようなことを書くと、経営側から「いいね!」がつくなど、現場と経営の見える化を図っています。

2)経営の見える化
人数が多くなってくると社員の間で「なんで会社はこんなことをやっているんだ」という疑問が生まれがちです。部門間でも「そんな話は聞いていない」など、様々な齟齬が生じやすくなります。そこで経営会議や社員の会議について、「会議サマリー」(議事録)を作り、全社員が見えるようにしました。
特徴的なことは社内Wikiの導入です。「会議サマリー」はWikiにアップしています。それと同時に TeamSpirit でChatterにも流しています。なぜ、そんな二度手間をするのかというと、フロー的な情報とストック的な情報は、共有のされ方として相反する面があるからです。ただ、これには一長一短があって、これがベストだという結論には達していません。まだ何が最適解か手探り状態ですが、一旦課題を解決するために、このような形で共有しています。

また、我々が最近感じているのは、後から入社した方のキャッチアップでの活用です。入社した時にこれまでの会議の内容に目を通しておいてもらうと、「あれは何ですか」と向こうから質問が来るようになります。

(3)TeamSpirit導入効果

TeamSpiritは当初、人数が急激に増え労務管理の必要が出てきたため、やむを得ず導入たようなところもあります。しかし勤怠管理ツールの導入に当たって、システム部門としては、その開発に社内リソースを使いたくありませんでした。何故なら勤怠・労務のシステムでは1円も儲からないからです。システム部門としては、お客様が気持ち良くお買いものをして、また次も使いたいと思っていただくための開発に注力したいという意向がありました。そこで労務だけではなく、経費精算など様々な用途で使えそうなTeamSpiritを入れてみようという判断になりました。

TeamSpiritは、そのような導入前の期待を裏切りませんでしたが、導入効果はそれだけではありませんでした。導入後に気づいた効果の1つが、日報と議事録です。さらに稟議の電子化も行いました。従来、稟議は紙でやっていましたが、人数が増えてくると、「紙がない」「どこで止まっているの」などバタバタする状況が生まれました。それをTeamSpiritで電子化したのですが、その際、エンジニアはほとんど手を貸す必要がありませんでした。総務部門のIT好きな若手社員が主体となって、決してベストな書き方ではありませんが、とにかく業務が回るものが出来ました。そういう意味でも良かったと思っています。

(4)取り組み全体の効果

1)初期教育の効率化
カスタマーサポートに関しては、担当者が増えたこととカリキュラムの効率化によって、新人が電話に出るようになるまでもともとは4週間かかっていたのが2週間に短縮できました。また、以前は1人の先輩スタッフの隣に2人しか座れないため、4人/月ぐらいしか独り立ちできませんでしたが、マニュアルを標準化したことで15人/月ぐらいの人数を前線に送り込めるようになりました。

2)フォローアップ教育の開始
さらに習熟度が低い人へのフォローアップ教育も出来るようになりました。「自信がない」という回答を集めて誤った案内を撲滅する取り組みや、新人が独り立ちした後、教育担当者になるといったキャリアステップや、マニュアルを持続的に改善していこう、といった動きが出来るようになりました。

さらに、結果的に応答率90%を確保できました。

3.今後

現時点で、カスタマーサポートについては競合より少しリッチになってきた感触はあります。今後はさらに圧倒的なカスタマーサポートの提供による競合差別化を図っていきたいと考えています。

そのためのシステム上の課題は次の通りです。
1)カスタマーサポートの更なるブラッシュアップ
2)企業規模拡張に合わせた全社システムの構築
→データマイニング、バックエンドシステムの整備 など

弊社には印刷業界出身の人が1人しかいません。なぜそれで競合に勝てるかというと、他業界で普通にやっていることを印刷業界でやると先進的な事例となり、それが功を奏すということが非常に多いのです。データマイニングやバックエンドのデータウェアハウスの整理といったこともまだ印刷業界ではやっている会社はありません。弊社はそういった部分で、これからもクラウドを最大限に活用したいと考えています。弊社は、エンジニアが印刷業界の中では最大と言っていい人数がいますので、自社でアプリケーションを作る力もありますが、外部の優れたSaaSを使って勝ちに行くということに関しても、引き続きチャレンジをしていこうというのが我々の戦略です。

「売上1000%成長」と「顧客満足度98%」をクラウド型CRM&ヘルプデスクとTeamSpiritで両立してきた物語

4.結び

振り返ると、売上が1年で1000%成長しました。そしてお客様の購入後のアンケートから、顧客満足度98%を実績として維持できました。これはクラウド型CRM&ヘルプデスクやTeamSpirit、その他もろもろのクラウド活用による仕組みの構築をやってきた成果に他ならないなと思っています。オンプレミスでゼロから作っていたら、とてもこの成長速度は実現できなかっただろうと考えています。テレビCMをやるのが半年、1年遅くなったのではないかと考えています。

以上で私からの話は終わらせていただきます。


編集後記

「クラウド経営」に取り組むことで、「競合差別化」という課題を早期に解決し、驚異的な成長を果たしたラクスル社。そこに至るまでの意思決定や行動の速さには驚くものがあります。それはITリテラシーの高さはさることながら、印刷業界の常識と印刷機を持たない同社ならではの柔軟さにも起因しているようです。利根川氏の話を聞きながら「クラウド経営」成功への第一歩は、既成概念を取り払うことなのかなと感じました。

猪狩協弘執筆者:猪狩協弘
学童保育所指導員、雑貨メーカー営業、印刷会社営業、マーケティングリサーチャー、編集プロダクション営業等を経験した後、大阪にて独立。現在は、ベンチャー企業を中心に、コンテンツの取材・執筆を行っている。

スペシャル公演ムービー
ラクスル株式会社 マネージャー
インターナルシステムグループ 利根川裕太氏

ラクスル株式会社 マネージャー インターナルシステムグループ 利根川裕太氏

年1000%成長を『クラウド経営』で実現 クラウド活用による顧客満足度98%のカスタマーサポートを支える仕組み作り

テレビCMでお馴染みのラクスルが語る!
「CRM&ヘルプデスク」だけじゃない!チームスピリットまで使い倒す!2014年11月13日開催のセミナーの模様はこちらからご覧いただけます。

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