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エボニック ジャパン株式会社

労基法、コンプライアンス、コスト、英語 〜すべての課題をクリアして、働く人が"使いやすい"と実感できるシステムを導入する〜

事例ポイント

課題

  • 勤怠管理のペーパーレス化を進めたかった
  • 月締め作業終了まで、勤務時間の全体量を人事部で把握できなかった

決め手

  • 英語表記がでデフォルトで使える
  • Salesforceを基盤としており、セキュリティレベルが高い

効果

  • 労働時間がリアルタイムに可視化され、先手の労務管理ができるようになった
  • 労働時間や有休取得情報は社員からも確認でき、自己管理も可能になった

事例概要

機能 勤怠管理, 経費精算, 電子稟議, 社員情報・マイナンバー管理, シフト管理, レポート・ダッシュボード
業種 製造・メーカー
従業員数 100~499人
特徴 自動化による作業時間の削減, ペーパーレス・脱エクセル, コストパフォーマンスの向上, データの見える化・分析, セキュリティ強化

すべての課題をクリアして、働く人が"使いやすい" と実感できるシステムを導入する

エボニック ジャパン株式会社について、その詳細を知る方は少ないかもしれない。同社は、国内では三菱マテリアルやシオノギ製薬、ダイセル化学といった企業との合弁企業を設立し、化学品の研究開発から製造・販売までを行うドイツの企業だ。日本だけでなく、世界の製造業を支える企業のひとつと言えるだろう。

エボニックはスペシャリティケミカルの製造業であり、開発にとても力を入れている会社です。基本的にはニッチなところの一位を取っていく、というビジネスをしています。そのため、セキュリティには極めて厳しい会社と言えるでしょう」という同社。

そうしたこともあり、これまで"外部のシステム環境に自社のデータを置いてはならない"という考え方が貫かれていたという。それでもクラウドシステムである「TeamSpirit」とファミリー製品をフルセットで導入した理由とは? エボニック ジャパン株式会社リージョナル人事部の武内靜香シニアマネジャーに話を聞いた。

働く人たちが困らない勤怠管理システムに変えたい!
~まずは紙からの脱却を、が共通認識だった~

エボニック ジャパン株式会社の社員にとって、国内外を問わず出張は珍しいことではない。様々な企業や分野にフィットする素材を開発したり、製造・販売するにあたっては当然のことだ。しかし一方で、この仕事の仕方が働く人たちの勤怠管理をするにあたって、課題ともなっていたという。

「当時、スタンドアローンの勤怠システムを使っていたのですが、休暇や残業、月間の勤務状況についての申請は全部が紙で行われていました。グループ会社も含めると管理の対象となる人数は多く、月末になると人事の仕事量は増えるし、その情報を管理職の人たちに共有するまでにはタイムラグがありました。たとえば、『この人は超過勤務をしていました』という具合です。
また、『出張などが続くと部下の残業や休暇の申請にタイムリーに対応できない』と、不便さを訴えるケースも多くありました。その上、申請書を紛失してしまう、というケースも散見され、『どうにかならないものか』という状況でした」とは、武内氏の言葉だ。

外資系企業ならではの課題に応えるシステムを

そこで勤怠管理を見直すことになった同社。現在は「TeamSpirit」の勤怠管理と、「TeamSpirit Leaders」のシフト管理、そして「人事マスター」と「マイナンバーエンジン」をご利用頂いている。だが、これらを導入するには、いくつかの課題を超えていく必要があったという。

その1:デフォルトで英語が使えることは必須

今日、外資系企業のみならず、国内企業でも日本語を母国語としないスタッフが管理職として活躍し始めている。そうした流れに伴い、国産のシステムやツールであっても多言語に対応していることがこれまで以上に求められる状況になってきている。

「私たちの組織では、社長ほか本部長レベルには必ず外国人がいます。これが何を意味するかというと、たとえば部長職の方が休暇申請を出した場合、その申請データは英語でなければならない、ということです。そこで、勤怠システムを検討するにあたり、いくつかの会社に『英語版ありますか?』と確認しました。しかし、多くが『ありません』ということでした」と武内氏。「もうシステム化はムリだ」と感じたという。

もしかしたらカスタマイズすれば英語対応ができるのかもしれません。しかし、表示される英語をいちいち私たちがチェックしなければならない、となると、リソースコストがかかってしまいます初期・運用コストが予算に合っていて、デフォルトで英語に対応できているものを探すと、『TeamSpirit』が一番要望に合っていました」と、武内氏は選定当時を振り返る。

その1:デフォルトで英語が使えることは必須

その2: 厳しいセキュリティレベルをクリアできる日英表記対応クラウドシステムを

エボニック ジャパン株式会社において、最もハードルが高かったのは「クラウドシステムを導入する」という点だったことは先にも述べた通りだ。その理由は、「付加価値やイノベーションは自分たちのビジネスを支えている根幹でもあり、少しでも情報を外部に出すわけにはいかないという考え方があるからです」とのこと。

厳格なセキュリティレベルを保つことによって、自社のスペシャリティを守ろうという姿勢は世界共通のことだ。そのためか、現在でもクラウドシステムの利用に二の足を踏む企業は少なくない。同社でも「やはりクラウドを利用することに対し、グローバルからの拒否反応は強く感じられました」と、武内氏。

そこで一計を案じる必要があったという。「日本のマイナンバーの法規で求められている条件は極めて厳しいものです。それに対して、自社で用意できるシステム環境が法律を遵守できるものかどうか? と、本社に訴えることにしました。
グローバルで利用している既存のシステムでマイナンバーを保管すること自体は問題なく可能ではあるでしょう。しかし、マイナンバーの情報にアクセスできる人が海外にも複数存在してしまう、という問題は残ります。そこで『日本の法規を守るために、データに接触できる人を極限まで限定できるこのシステムを使いましょう』と説得して認めてもらいました。勤怠管理についてはその流れで承認を取った形です」

勤怠管理や人事マスターなどを含めた「TeamSpiritファミリー」が採用しているクラウド環境は、セールスフォース・ドットコムの Force.com だ。エンタープライズ企業でも、最高水準のセキュリティレベルを保ちながら利用できるものとして信頼されている。この点も、導入を進めるうえで説得材料になったといえよう。日本の"特殊性"を逆手に取った進め方とも言えそうだ。

その3:複雑な勤務体系を整理する

導入の道筋が立ってからも、同社ならではの課題があった。通常、企業はある程度画一的な勤務形態があり、それに加えて超過勤務や時短社員の労務管理の条件を設定することで、「TeamSpirit」の勤怠管理を活用することができる。

しかし、同社の場合、24時間体制で工場を安定稼働させるシフト勤務の社員もいれば、専門性の高い研究を行う社員もおり、それぞれに勤怠管理のルールが設定されていた。すべての社員が混乱しないよう、既存の複雑な条件を「TeamSpirit」に設定する必要があった、というわけだ。

「たとえば、24時間勤務体制が組まれている場合、何時から始まって何時に終わりますが、そこから残業する場合があるのでこういう働き方が想定されますよ、という例を挙げて、『だったらこんな風に勤務体系組めますよ』とか、『タイムレコーダーとの情報の処理は、こんな風にする必要がありますね』と、設定を詰める必要がありました」と、武内氏。

システムを活用することで、職場はより良くなる

細かい設定の成果もあり、「TeamSpirit」への移行はスムーズに進んだという。「これまで紙だったので、3段飛びだったと思いますが(笑)社員の皆さんにとても好評です」と、武内氏は声を弾ませる。

『TeamSpirit』は、ユーザーにとっての見やすさや使いやすさを考えて設計されていると思います。そのため、毎日使用する社員の方たちがそれを一番実感できているのでしょう。
導入後、社員は"自分が働いた時間をすぐに把握できる" ようになりました。それだけでなく、いつ有給休暇を申請しているかとか、まだ有給が何日残っているから申請しようとか、まだ代休を取ってなかった、ということをきちんと自己管理できるようになったのだと感じます。調査をしたわけではありませんが、そうした変化から、しっかり『TeamSpirit』を使ってくれてるんだな、と考えていますし、導入して良かったと言えます。
人事という立場で言うなら、勤怠状況がタイムリーに分かることは良い点だと思います。36協定に抵触する前にそうしたケースを早期に発見して早い段階で声をかけて注意を促すことができるようになったことは助かっています」と、武内氏は導入のメリットを語ってくれた。

エボニック ジャパン株式会社

設立
昭和44年11月22日
事業内容
化学品、飼料添加物、塗料等添加物、医薬品の製造・販売
URL
https://corporate.evonik.jp/ja
取材年月
2017年6月