2016.10.14

長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本(3)
~休日と休暇の違い~

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「休日」と「休暇」の違いとは?

「休日」と「休暇」――両者とも、「労働を休む」という意味では同じですが、労働基準法では厳密に区別されています。

・休日

「休日」とは、「労働義務のない日」を指し、労働者はあらかじめ申請や報告をしなくても休むことができます。

さて、休日には「法定休日」と「所定休日法定外休日ともよばれます)」があります。

・法定休日

労基法では、使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えるか、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を付与しなくてはなりません。これが法定休日です。

もし法定休日に労働させる必要がある場合には、時間外労働と同じく「36協定」の締結と所轄労働基準監督署への届出が必要です。

・所定休日(法定外休日)

会社が就業規則で独自に決められる休日です。

所定労働時間が7時間か8時間の場合、休日が週休1日(法定休日の最低基準)だと、「1週40時間」という法定労働時間を超えてしまいます。この「1週40時間」という法定労働時間を守るためにはどうしても所定休日を設ける必要があり、そのために多くの企業が「週休2日制」を導入しているということになります。

・休暇

「休日」は「労働義務がない日」でしたが、休暇は「労働義務がある日だが、労働が免除された日」を意味します。

休暇には法定休暇法定外休暇があります。

法定休暇

法律で規定されている休暇。年次有給休暇、産前産後休暇、生理休暇、育児休暇、介護休暇、子の看護休暇、時間外労働に関する代替休暇があります。法定休暇は労働者から請求された場合には、原則として必ず付与しなくてはなりません。

法定外休暇

疾病休暇、慶弔休暇、夏季休暇など、会社が任意に設定できる休暇です。

時間外労働・休日労働を管理する

ここまで労働基準法が定める「労働時間」・「休憩」・「休日」・「休暇」について整理してきました。

労働生産性の向上のためにはできるだけ労働時間を少なくすることを目指すべきではありますが、もし法定労働時間を超えた時間外労働や休日労働が必要となった場合、どのように管理すればよいのでしょうか。

前述した通り、時間外労働・休日労働を命じるには、「36(サブロク)協定」が必要です。そして「36協定」を締結したからといって、労働者を無制限に労働させることはできません。

労基法では労働時間の延長範囲が定められており、この範囲内に収める必要があります。

※「36協定」の詳細については、こちらのコラム(https://www.teamspirit.co.jp/catalyst/work-style/36agreement.html)をご参照ください。

さて、時間外労働と休日労働を管理するポイントは、次の2つです。

ポイント1:どこからどこまでの労働が時間外労働・休日労働の対象となるのかを正確に把握する
ポイント2:該当する労働時間に対して、割増賃金を正しく算出する

【ポイント1】「時間外労働」「休日労働」とは?

時間外労働、休日労働の定義は以下の通りです。

時間外労働=1日または1週の法定労働時間を超える労働
休日労働=法定休日における労働

休日労働の管理で間違いやすいのが、次のようなケースです。

<ケース1>

  • 週の起算日が日曜日
  • 土日休みの週休2日制
  • 土日のどちらか一方の休日に労働した場合

<ケース2>

  • 週の起算日が日曜日
  • 土日休みの週休2日制
  • 平日に「振替休日」を取得
  • 土日両方に労働

※「休日」・「休暇」の詳しい説明、また「振替休日」と「代休」の違いについては、こちらのコラム(https://www.teamspirit.co.jp/catalyst/work-style/working-on-a-day-off.html)をご参照ください。

・深夜労働とは?

深夜労働とは、午後10時から翌日午前5時までの時間帯の労働を指します。時間外労働が深夜労働の時間帯に及んだ場合には、割増賃金の割合が変わるので注意が必要です。

もちろん時間外労働だけではなく、所定労働時間内だったとしても、それが深夜時間帯であるかぎり、割増賃金を支払わなくてはなりません。労働時間のうち、どの部分が深夜労働にあたるのかを正確に把握しましょう。

【ポイント2】時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金を計算する

労働者に時間外労働・休日労働・深夜労働をさせた場合には、労働基準法で定められた割増賃金を支払わなくてはなりません。

割増賃金の算定にあたっては、以下の計算式に従って、基準となる「1時間あたりの賃金単価」を計算する必要があります。

上記で求めた「1ヶ月あたりの賃金単価」に割増率を掛けて、「割増賃金の1時間単価」を計算します。割増率は、

① 1ヶ月の合計が60時間までの時間外労働および深夜労働 ・・・ 25%以上
② 1ヶ月の合計が60時間を超えた時間外労働 ・・・(60時間を超える部分は) 50%以上 (中小企業については経過措置あり)
③ 休日労働 ・・・ 35%以上
④ 深夜時間帯(午後10時~翌日午前5時)の労働 ・・・ 25%以上

です。さらに、時間外労働や休日労働が深夜時間帯に及んだ場合には、それぞれの割増率が合算されます。

①´ 時間外労働(25%以上) + 深夜労働(25%以上) = 50%以上
②´ 時間外労働(50%以上) + 深夜労働(25%以上) = 75%以上 (中小企業については経過措置あり)
③´ 休日労働(35%以上) + 深夜労働(25%以上) = 60%以上

ちなみに労基法の定めではありませんが、「法定時間内残業」や「所定休日」の時間外労働に対して割増賃金を支払っても問題はありません。ダラダラ残業につながらないように工夫する必要はありますが、実際には残業に対して、手厚いケアをしている企業も多くあるようです。

割増賃金の詳細については、こちらもご参照ください。

厚生労働省 東京労働局 パンフレット「しっかりマスター」 労働基準法<割増賃金編›
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/shikkari-master.html


前回と今回は労働基準法の基礎知識として、従業員の勤怠管理に必要な「労働時間」「休日」「休暇」について整理してみました。

従業員の労働時間を管理することは使用者の義務ではありますが、実際のところ、法律を守ろうという正義感や義務感だけで適切な勤怠管理を導入するというのは、なかなか難しいかもしれません。管理する側にしてもされる側にしても、「なぜそれをやるのか」を納得できることがとても重要なのではないかと感じます。

労働生産性の向上を目指す第一歩としての勤怠管理、そしてそのための労働基準法の理解ということで、まずはできるところから始めてみてはいかがでしょうか。

次回は法的に認められているさまざまな労働時間制度について、考えてみたいと思います。



長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本

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