2016.10.19

長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本(6)
~フレックスタイム制・1週間単位の変形労働時間制~

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フレックスタイム制

フレックスタイム制は、1ヶ月に一定期間(清算期間)における総労働時間をあらかじめ決めておき、労働者はその枠内で各日の始業および終業の時刻を自主的に決定して働く制度です。

清算期間として定められた期間を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲で1日8時間・1週40時間を超えて労働させることができます。

一般的には1日の労働時間帯をコアタイム(必ず勤務すべき時間帯)と、フレキシブルタイム(その時間帯のなかであればいつ出社または退社してもよい時間帯)とに分け、出社・退社の時刻を労働者の決定に委ねるケースが多く見受けられます。ただし、必ずしもコアタイムを設ける必要はありません。
デザイナーや研究職、設計業務など1日や1週の労働時間の拘束を受けながら仕事をするよりも、本人の裁量で業務効率が上がるように働いたほうが成果が出やすい仕事に向いている制度です。

◎フレックスタイム制における時間外労働の考え方

フレックスタイム制の場合、割増賃金の対象となる時間外労働は、単純に清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間になります。

清算期間における法定労働時間の総枠は下記の通りです。

清算期間の暦日数法定労働時間の総枠
(1週40時間の場合)
法定労働時間の総枠
(1週44時間の場合)
28日 160時間00分 176時間00分
29日 165時間42分 182時間12分
30日 171時間25分 188時間30分
31日 177時間08分 194時間48分

注意しなければならないのは、清算期間における実際の労働時間が法定労働時間の総労働時間に足りなかった場合です。フレックスタイム制には、「総労働時間(総枠)」に不足があった場合に、不足分を翌月に繰り越すこともできるという特別な調整方法が認められています。

もしくは、不足分に相当する賃金をその月の賃金から控除してもかまいません。

◎フレックスタイム制を導入する際の手続き

フレックスタイム制を導入するためには、必ず労使協定を締結し、これを労働基準監督署に届出ないといけません。

労使協定には、5つの事項を定めます。

①フレックスタイム制を適用する労働者の範囲
②1ヶ月以内の清算期間とその起算日(※4)
③清算期間中に労働すべき総労働時間
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム、フレキシブルタイムを設ける場合はその開始・終了時刻

(※4)
平成27年4月に国会に提出された労働基準法の一部改正案には、フレックスタイム制の「清算期間」の上限は1ヶ月から3ヶ月に延長するという「フレックスタイム制の要件緩和」が含まれていました。平成28年4月1日から施行予定となっていたものの、国会未審議のまま通常国会が終了してしまったため、秋の臨時国会以降にまた審議されることになりそうです。

フレックスタイム制における時間外労働の考え方については、こちらのコラムもご参照ください。
https://www.teamspirit.co.jp/catalyst/work-style/flextime.html

またこちらの資料でも、フレックス制度の細かい内容が解説されています。

東京労働局 フレックスタイム制の適正な導入のために
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/2014318104110.pdf

1週間単位の非定型的変形労働時間制

「1週間単位の非定型的変形労働時間制」は、

  • 常時使用する労働者が30人未満の
  • 小売業/旅館/料理店/飲食店の事業者

に限って適用することができる制度です。

1週40時間の範囲内で1日10時間まで労働させることができます。

この制度を導入するためには、事業場の過半数労働組合、もしくは過半数労働者の代表者との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出なくてはなりません。また、従業員には翌週各日の労働時間を文書で通知することが必要です。


労働時間管理に関してどのような制度を採用するかは、単に残業時間を短縮するだけではなく、働く人のモチベーションやサービス戦略とも密接に関係しています。したがって、企業の事業戦略の方向性に合わせて、労働時間管理の方法も俊敏に変更できるような体制を整えておくことが重要です。

厚生労働省 が発表している「平成27年就労条件総合調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf)によると、変形労働時間制を採用している企業数の割合は52.8%だそうです。種類別で見ると、「1年単位の変形労働時間制」が 30.6%、「1か月単位の変形労働時間制」が20.3%、「フレックスタイム制」が4.3%となっています。

「変形労働時間制」は、労働時間の短縮や割増賃金コストの削減には大変効果があると考えられますが、正しく運用するにあたっては手間がかかります。社内システムとしては、ある一つの方法のみを対象にした勤怠管理のシステムを構築するのは簡単ですがそれでは柔軟性に掛けてしまいます。やはり、あらゆる勤務体系に対応できる専用のサービスを活用することが、成功の鍵となるのではないでしょうか。

次回は「みなし労働時間制」を中心に解説したいと思います。



長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本

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