「働くこと」が根本から変わろうとする日本において、企業経営とはどうあるべきで、成長戦略に資する働き方とはどういったものか? さらに、その実行策は何かーー。コンセプトとしての「働き方改革」の議論は終わり、職場で具現化していく、いわば「働き方改革Phase2」への移行が求められています。

そこで、株式会社チームスピリット内に組織された「働き方改革研究所」は、2017年7月19日、「働き方改革サマーフォーラム2017」を開催いたしました。

本会には、一部上場企業の人事担当者やベンチャー企業の代表、インディペンデント・コントラクターなど約40名の参加者と共に、エグゼクティブ アドバイザーの竹中平蔵氏(東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授)が参集。
「日本の労働環境における課題」の棚卸しと、「働き方改革」に関してこれから議論すべき道筋を議論しました。

■当日の議論のポイント(抜粋)

  • l日本の労働市場には人材流動性が低い。働く人それぞれが所属する企業の看板なしでも働いていけるようなキャリアを形成することが重要だ。
  • 若い人たちの提案を「前例がないから」と、上司や経営陣が一蹴してしまう場合がある。いまの部長や経営陣たちがどんな風に考え方を変える必要があるのか、ぜひ議論したい。
  • 上司が部下のキャリアプランを導くような教育制度が企業には必要ではないか? そして、「社会ではなにが必要か」ということを学ぶ機会を学校教育においても作っていくべきではないか?
  • 表層的には時間あたりの生産性向上が必要だと言われるが、高付加価値を持ったアイデアを生み出したりイノベーションを生んだりする仕事に携わる者にとっては、そうした議論にとらわれず、働き方の多様性に目を向けて議論を進めていくことも重要だと考えられないだろうか?

■今後の活動に関して

「働き方改革研究所」では、以下をフォーカステーマとして、議論を深める場を8月以降も定期的に設定いたします。

  • 働き方の類型化
  • 高度プロフェッショナル制度の検討と日本の現状
  • 企業における人材育成のあり方
  • 働き方改革を実践している企業の事例発表とそのロジックの解明

なお、8月24日(木)に開催する勉強会では、「残業規制とホワイトカラー・エグゼンプション」をテーマに、その関連性について議論してまいりたいと考えています。

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■当日の議論(その他)

  • 人口減少の時代を間近に控え、労働人口が急減することへの対策は不可避だ。引退時期を伸ばすことも考えなければならず、そのためにも健康寿命を延伸させるために健康を維持するための働きかけを行う仕組みが必要になってくるだろう。
  • 若者の起業を支援すると同時に安定企業が成長を続けるために、M&Aを行うケースがある。そうした時、裁量権をどう考えるかが課題となる。
  • 何が労働なのか、境目が曖昧な時代になってきた。一方で、新規の採用が難しいなど、働き手の確保が困難な時代になっている。企業成長を目指しつつ、職場を守る上で「何を考える必要があるのか」働き手側から提案していくことが重要だ。
  • 女性活躍が叫ばれるが、男性上司が女性の働き手を評価する、となるとどうしても考え方に差異が出てしまい、双方にとって適切な評価がなされない場合が考えられる。
  • "DNA"として長時間労働が美徳だとする人たちが組織の中に存在する一方で、テレワークや長時間労働の是正といった新しい働き方を積極的に行っていこうという人たちがいる。この考え方の違いをどう超えていくか、という議論も深める必要がある。
  • ときには職場を超えて、自分のやりたいことをやることが自身が所属する企業の新しいビジネスを作ることに繋がるのではないか?
  • 働き方改革は個別の企業が制度を改善する、といったことだけでなく、個人がいろいろな知識や経験を使って自己実現を達成し、それが企業や社会にとっても価値をもたらす、という取り組みになれば、と考える。
  • 長時間労働の是正という制度の問題だけでなく、企業と個人の関わり方がどうあるべきか、改めて考える必要があるのではないか?