2016.05.16

未来の働き方を考える 第15回
ロボットに人間の感情が分かるのか?

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 店頭の商品説明やプレゼンテーションの場などで、「Pepper」をはじめとするロボットが"活躍"し始めています。人工知能(AI)を搭載したロボットはどこまで人間のやっていることを置き換えていくのでしょうか?

 ロボットやAIがどこまで人間の仕事を代替できるかという議論になると必ずといっていいほど出てくる(人間にとっての)楽観論は、「人間の感情に関わることはロボットにはできない」というものです。これは本当でしょうか?

人の心をつかめるか?

 例えばロボットが老人ホームを"訪問"し、高齢者の心を捉え、ロボットが"帰る"間際には、ロボットに感情移入してしまった高齢者が泣いてしまった、という事例があります。果たして私たち人間の何割に、こうしたことができるでしょうか?

 もちろんこれは限られたシチュエーションでの話であり、かつ「ロボットなのに●●●ができる」といったいわば"逆ハンデ"もあるため、必ずしも短絡的に「人間が負けた」という話ではないと思います。ただ、少なくとも「ロボットには人間の心はつかめない」という話への反証として挙げるには十分でしょう。

 人間の感情は数式で表されるほど単純ではなく複雑なものである......確かにそうかもしれませんが、「喜ぶ」「悲しむ」「スカッとする」といった「基本動作」については結構簡単な「ロジック」がありそうです。その証拠の一つに、人気ドラマや映画の基本的なストーリーというのはほぼパターンが決まっています。例えば以下のようなパターンです。

・皆に虐げられている"ダメ"人間が努力の末に大活躍する
・愛する人が亡くなったり、遠くに行ってしまう
・権威をふりかざした偉ぶっている人間が、なんの権威もない弱者にとっちめられる

などです。また同様に、例えば「好感が持てる人」のパターンというのも、ある程度類型化されるのではないかと思います。例えば以下です。

・人の話をよく聞き、昔の話をよく覚えている
・愚痴や自慢を言わない
・自分中心ではなく相手の立場で考えられる

 これは好き嫌いという人間の感情もある程度「公式化」できることを意味しています。

ロボットの方が得意なこと

 実はこのようなパターンを把握して人間の心を"くすぐる"に際しては、むしろ人間よりもロボットの方が優れていることが多々あります。例えば「聞き上手」の人が持っている性質を、ロボットであれば容易に持てます。

・愚痴や自慢を言いたくなる「衝動」がない(あえてそう「教え」なければ)
・同じ話を何度聞いてもまるで初めてのようなリアクションを何度でも取れる
・何時間話を聞いていても疲れないし、飽きない

 こうした性質をロボットが持てるのは、人間が持っている「悪い癖」を持っていないことがプラスに働くからです。

 さらにロボットの頭脳であるコンピュータやAIが持っている「圧倒的な知識量」も優位性を発揮し、様々な形で人間の感情をつかむ上でもプラスに働きます。例えば高齢者の心をつかむ上で、以下のことは原理的には簡単にできるはずです。

・ありとあらゆる方言を駆使する(世界中の方言を「話せる」はず)
・相手の年齢に合わせて、その人の「青春時代」に流行していた曲やファッション、社会現象を瞬時に「思い出せる」
・「カラオケのレパートリー」に関して相手のリクエストに完璧に応えられるだけでなく、相手が思い出せなかった曲まで自発的に提案できる

といったことです。「懐かしさ」というのも、人間の感情を支配する大きな要因と言えますが、ロボットやAIはあたかも同郷の同級生のように振る舞うことができ、簡単に相手の懐かしさの感情をくすぐることができるはずです。

 このように、ロボットの方がむしろ人間の感情を刺激する上で有利な面も多々あり、さらにそれをうまく利用すれば、人間ができなかった形でさらに人間の感情を豊かにすることができるのかも知れません。

 それは必ずしもロボット自身が「人間の感情を理解して」やっているわけではないかもしれませんが、結果として「人間の感情を動かす」ことは十分に可能だといえるでしょう。

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