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2017.01.16

社の一体感はネット+リアル施策で醸成
働き方改革は"働きやすさ"+"働きがい"で実践

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 「働く環境の整備と成長環境の整備。そのバランスが重要だ」。インターネット広告代理店のオプトで、同社の「いい会社プロジェクト」に取り組んできた執行役員 ビジネスサービス領域管掌の近藤佑介氏は、このように指摘する。

 これまで3年近くに及んだ「いい会社プロジェクト」のフィードバックを踏まえ、2016年春からは第二期の新たな取り組みをスタート。近藤氏に聞くインタビューの後編では、制度や福利厚生だけに偏らない“働き方改革”の実践例を紐解いていく。

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 オプトという会社をさらにより良くしていくために2013年8月から始まった「いい会社プロジェクト」。3年ほどが経った2016年春を境に、プロジェクトのバージョンアップを図った。その経緯について、近藤氏は次のように語る。

 「この3年間は、社員満足度を上げることに傾倒しすぎてしまったのかもしれません。そこで、『いい会社プロジェクト』の本質とは何かをもう一度考えてみたのです。その結果、収益性、生産性につながるようなアイデアや議題をどんどん出していくことにしました」

 例えば同社で実施している「経営者育成研修」。受講生は卒業課題として経営に関する提言を作成するが、そこで挙がってきた課題をオプトに当てはめ、「いい会社プロジェクト」で検討するなどしている。また、21時以降の残業を禁止する「残れナイン」も緩和。21時に一度消灯はするものの、3分後には点灯する方式に変更した。こうして、プロジェクトは会社を強くする方向へとシフトしつつある。

「ありがとう」を伝えるツールを独自開発

 それに先立つ2015年からは、独自開発のデジタルツールを用いた社員同士のリスペクト制度「相互尊重」の仕組みを導入。業務上でお世話になったり、励ましてもらったりした社員に対し、1人が3人までに対して「リスペクトスタンプ」と簡単なコメントを送るものだ。

 スタンプの内容は「チャレンジ」「イノベーション」「チームワーク」「グッドアイデア」「ホスピタリティ」「パッション」「ポジティブ」「スピード」「ビジョナリー」の9種類。「我々が働き方として大事にしたいものをスタンプ化した」(近藤氏)とのことで、個性あふれるオリジナルスタンプは役員をモチーフとして、広報部の社員が自らデザインした。また、任意ではあるが上層部に向けても将来キャリアを意思表明できる。

9種類のリスペクトスタンプで感謝の気持ちを伝える

 このスタンプの画面は、社員が毎月勤怠管理を締める際に必ず出てくる。そして誰かにスタンプを送らないと勤怠管理を終了できない仕組みとなっている。ただし誰が誰にどんなスタンプを送ったかといった情報を閲覧できるのは人事部長と役員のみで、人事部門では社員に送られたスタンプの数をカウントしている。

 現在、「いい会社プロジェクト」にはスタンプを送られた数の多い社員が参加する。「『ありがとう』を伝えたいシステムなので、スタンプの獲得数が多い社員に参加してもらうことは、質の良い運用につながる」(近藤氏)との思いからだ。勤怠管理の仕組みと連動しているため、獲得数の多いメンバーが一定期間ごとに変化するのも新鮮さを保つことに一役買っている。さらに送られたスタンプやメッセージを何らかの施策に生かせないか検証もしている。

 「スタンプに目を通し、(任意の)メッセージに何らかの意志が感じられたら、こちらからコミュニケーションを取るようにしています。この仕組みを導入してまだ1年ですが、この1年をしっかりと振り返り、データから浮かび上がってくるものを定量的に検証している最中です。弊社には『Data Science Lab』というデータ研究所もありますので、メッセージのテキストマイニングにも取り組んでいきたいと考えています」(近藤氏)

リアルを厚く、壁のない一体感こそ最大の強み

 近藤氏が「斜めの関係」と呼ぶ「サポーター制度」もユニークだ。これは他部署の上司との関係を築く試みだ。入社1年目の新卒者を5人から6人のグループに分け、それぞれのグループに他部署からサポーター、サブサポーターの2人を配置して飲み会などで交流を深める。「そこではオプトで働くことの意味だったり、仕事全般の相談だったりと、忌憚のないコミュニケーションを図ります。この取り組みで、全社的に壁をなくすようにしています」(近藤氏)。

 「いい会社プロジェクト」からも、社員間のコミュニケーション活性化を促す「ランチシャッフル制度」が生まれた。サポーター制度同様、他部署の人たち同士を4人1組のグループに分け、ランチをともにするという企画だ。組み合わせのロジックは「なるべく関係性が遠い人たち」(近藤氏)。こちらは希望者のみの任意参加だが、開始当初から人気が高い。

 こうしたリアルのコミュニケーション活性化の施策には、会社がきちんと補助金を出す。前編で近藤氏は「会社は社員が成長する機会を提供する」と語ったが、業務外でもこのように成長エンジンを育もうとしている。その最たるものが、半期に一度開催される「納会」である。

 同社では最も功績を残した社員を「MVP社員」として表彰するが、表彰の場と慰安を兼ねた場が納会だという。司会を前期のMVPが務め、MVPを中心とした社員が幹事を担当。前半は社員有志が集まって出し物をするエンターテインメントで、後半が今期MVPの表彰となる。

 「私は2002年入社ですが、そのときからあったイベントです。弊社の社員にとってはMVPを獲得することが大きなモチベーション。納会後には勝者を称える風土もあり、社の公式ブログでMVPの知見を公開したり、行動指針とともにポスターを制作したりしています。オプトにとって納会とは、一体感を生む大切な場なのです」(近藤氏)

 一般的には残業を減らして手厚く休暇や福利厚生を整え、"働きやすさ"をアピールすることが働き方改革と理解されるだろう。しかし、オプトの場合はそれと同時に"働きがい"が重要だとする。

 「弊社の社員はもともと動機づけが高い。採用時にも成長欲求があるかどうかをきちんと確かめています。だからこそ、いかに効果的に成長機会を与えていくべきかが大事なのです。ただし、昔から手を挙げたらすぐに何でもトライできる風通しの良い社風で、年功序列もありません。今後も、社員がやりたいと思ったことに挑戦していける環境を整備していきたいと思います」(近藤氏)

text:Masaki Koguchi pic:Takeshi Maehara

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