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2016.02.25

ワークスタイル変革は
"シンプル仕掛けで全員が使うインフラを"
トップの熱い思いと運用の仕組みが鍵

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 PhoneAppli(フォンアプリ)はビジネスにおけるコミュニケーションツールを提供するシスコシステムズのパートナー企業として、Web電話帳「Phone Appli Collaboration Directory」を軸にさまざまなソリューション・クラウドサービスを提供している。また、ワークスタイル変革に積極的に取り組んでいる企業としても知られ、「在宅勤務制度」や「フリーアドレス」「BYOD」など、新たな働き方をいち早く導入している。

 その旗振り役を務めているのが、クラウド事業・技術部統括の吉田順一氏。自ら「チーフワークスタイル変革オフィサー(CWO)」という肩書きを名乗り、さまざまなセミナー講演を通じてワークスタイル変革の啓蒙活動などもしている。

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 なぜそこまで積極的にワークスタイル変革を進めるのか。そこには「製品やサービスを提供するには、まず自分たちが使ってみて、良いと思うものだけを提供したい」という思いがあるからだという。また、シスコシステムズは米国の企業なので、古くからある日本企業の文化とは異なるため、日本の文化に則した仕組みと新しい働き方も一緒に広める必要があるという実情があるそうだ。

 「在宅勤務だけを見ると、既に米国などでは業績が悪くなったから禁止をしたという企業も出ているなど、多様な働き方には様々な考え方がありますが、本質的に働く環境というのは、企業文化の中で最も重要なDNAだと思っています。また企業の競争力という観点では意思決定が早く、社員自らが自走できる組織を作る自体が変化に対応できる組織を作ることが重要だと考えています。そのために、コミュニケーションツールを含めた仕組み作りは欠かせません。ツールはスマホや通信環境の進化によって日々変化していますので、その時代時代でどこまでできるか常にチャレンジしています」

 例えば社員にワークスタイルを変える新しいコミュニケーションツールとしてiPadを支給したとしても、経費精算や工数管理は今まで通りExcelで行っているなど、運用する仕組みが古いままでは機動力は上がらない。機動力を上げて成長をするためには、その仕組みを含めたワークスタイル変革が必要というわけだ。

 PhoneAppliでは吉田氏自身も在宅勤務を導入している。マネジメントを担う立場でも、在宅勤務がうまく機能するものなのか同氏に尋ねると、「在宅勤務はなかなかうまくいかないという企業が多いが、それは『モバイルで仕事ができます』とか、ツールだけが先行していて結局運用が回っていないからだと思います。弊社でも実際に運用しながら試行錯誤を繰り返しました」とのこと。

 在宅勤務の場合、離れた場所で仕事をしているので部下が何をしているのか分からない。リモートで仕事をできる環境はあるけれども、それに対する成果がまったく見られないので、経営効率が上がらない。むしろ下がっているのでは、という話になりがちだ。そこで、PhoneAppliが採用したのがクラウド型経営管理ツールの「TeamSpirit」。勤怠管理や工数管理などをこのツールで行うことで、業務の可視化を実現した。

 一方で在宅勤務や客先に常駐して勤務する場合、コミュニケーション不足が原因で業務に支障をきたすのでは、と不安に感じることもあるだろう。PhoneAppliでは、自社製品のスマホアプリ(PACD+)やシスコシステムズのIPフォン・ビデオ会議システムのほか、TeamSpiritが採用しているプラットフォームである米Salesforce.comの「Force.com」が提供するクラウド型社内SNSツール「Chatter」を併用することで、その問題を解決している。

 具体的には在宅勤務や客先常駐の場合でも、毎朝9時にはスマホやPCで勤怠の打刻、9時10分から始まる朝礼にはビデオ会議で参加し、その日にすることなどを確認した上で業務を進める。また、在宅勤務する社員は事前に直属の上司に申告するほか、Chatterのグループにも「明日在宅勤務します」と書き込む。例えば全社メールでこのような内容をいちいち送ると受け取る側もストレスになりやすいが、Chatter上であれば関係者が間接的に知ることができて、スマートに運用できる。

 「メール文化が残っていると何のワークスタイル変革にもなっていないという思いがある」と語る吉田氏。PhoneAppliでは社内の連絡はメールの使用を原則禁止。すべてChatterでするようにしている。ちなみにChatterには「Chatter メッセージ」という機能があり、個別に非公開の会話もできる。

すれ違いのコミュニケーションを重視

 さらに、Chatterのポイントとして吉田氏はTeamSpiritと連携している点を挙げる。

 「勤怠管理用、経費精算用、チャット用など、ツールが散在すると、あるツールの掲示板は社員が誰も見ていないといったことになりがちです。TeamSpiritの良いところはChatterと勤怠管理などが同じSNS風のインタフェースで利用できるところ。特に勤怠管理は毎日欠かさずにアクセスする場所なので、さすがにそれだったら見るだろうと(笑)。例えばクリーニング屋さんも自宅から駅までの道のりにあれば頻繁に行くけど、駅の反対方向にあるとなかなか出しに行かないですよね。そんなイメージです。自分のコミュニケーションルートの中に勤怠管理があるというのがTeamSpiritに決めた一番の理由でもあります」

 2年ほど前、当時Webサイトの制作を依頼していたスカイアークが既にTeamSpiritを導入しており、代表の小林(晋也)氏が講演する動画を見てすぐに「これだ!」と思ったという。ITベンチャーなど小さな組織でも導入がしやすく、生産性を上げることができるのも一つのポイントだ。

 「我々のような小さなIT企業はオープンソースだったりとか、良く知られていない海外のツールだったりを使いがちなのですが、TeamSpiritは国内企業にも多くの採用実績があり、作り込みも既にされているので、余計な手間をかけずに運用できました」

 価格や目新しさだけで選び、管理したい内容ごとにバラバラのツールを導入し、結局あまり使われない機能があるという状況は、心当たりがある企業の担当者も多いのではないだろうか。

 今ではマネジメントをする立場として、社員に伝えたいメッセージや人事の通達なども、グループウエアの掲示板のようなものではなく、すべてChatterのグループに配信。すれ違いのコミュニケーションを大切にしている。

 とはいえ、このようなワークスタイル変革を進めるには、社員自身にも受け身ではなく意識して自発的に行動してもらう必要がある。実際、PhoneAppliでもTeamSpiritを導入してすぐに社員がChatterを積極的に使うようになったわけではないという。ではどうしたのか。導入してから最初の1年ほどはひたすら吉田氏だけがChatterのグループに「何のためにワークスタイル変革を進めるのか、会社の動きは今どうなっているのか、など毎日投稿し、勤怠管理の打刻のついでに続けて社員に目を通してもらう努力をしました」という。その結果、次第に社員が会社が目指す方向性や吉田氏の考え方を理解し、各社員が別のChatterのグループを作るなど、自主的に使うようになっていった。

 「『こうやって使えばいいんだ』という最初の1歩のシンプルな仕掛けで運用の仕組みが構築されると文化として浸透していきます」

浸透させるために社員を強制しない

 「非常に苦労した点は強制をしないということです。例えば最近の社内SNSにはFacebookのような『いいね!』機能が付いていますが、上司がそれを強要すると、"やらされている感"が満載で楽しくない。そして、一切運用に乗らないんですよね。社員に強制せずに回すことが社内に浸透させるための秘訣です」

 昨今は若者の活字離れを指摘する声も多い。社内SNSなどに投稿して社員にきちんとメッセージを読んでもらえるのか、心配な経営者、管理職もいるだろう。その点について吉田氏は「できるだけ写真や動画を付けたり、資料を共有したりしています」と工夫を紹介してくれた。Chatterには写真や動画、OfficeファイルやPDFなども投稿可能なため、文字だけにするのではなく、スクリーンショットを付けるなどできるだけ読みやすくしているという。また、Chatterはスマートフォンやタブレットでも読めるので、通勤や移動中などすき間時間を使って気軽に確認できるのも特徴といえるだろう。

 「『うちでもできますか』といった質問をされて、私もよくセミナーなどでお話をさせてもらうのですが、仕組みというかそういう所に関してはちゃんと経営陣が軌道に乗るまでやらないといけないということ。どの企業でもできるかというと、やはりそういう引っ張っていく人が必要かと思います。ワークスタイル変革については情報システム部とか総務部とかがコスト削減などでやることが多いのですが、『トップの意思決定が一番大事です』ということは常々お話させていただいています」

 ワークスタイル変革というと、真っ先にどういったソリューションを採用すればよいのか、といった話になりがちだが、長年積極的に取り組んできた吉田氏の発言からはトップの気持ち、そして運用するための仕組み作りがいかに大切かがよく分かる。

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