2016.10.03

遊びの時間こそ、人工知能に勝てる道

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刻々と変わる現代社会

シリコンバレーのIT業界で長年働いてきて、自分はかなり変化耐性が鍛えられたと思っていますが、それでも特にここ5年来のIT業界は変化のスピードと複雑さが加速していると実感します。先端技術の進化の速さは言うまでもなく、ときどき誕生するメガ・スタートアップによるビジネスの地殻変動など、その変化の速さは今やドッグイヤーのペースを遥かにしのぐのではないでしょうか。

複雑さに関して言えば、オープンイノベーションや相当意外な企業同士のM&Aが増えており(異業種間/グローバル規模)、大手IT企業を中心に垂直統合戦略が進み、そのトレンドが全体に広がってきています。Googleが独自の半導体チップを作ったり、スターバックスがビデオクリップを作ったり......例をあげればキリがありません。また、グローバリゼーションによって一気に世界展開できるようになった反面、それぞれの地域の事情がビジネスによりダイレクト影響するようになってきていることも見逃せません。

会社の外に目を向けろ!

そうした変化の速さが意味することは、これまで以上に社外の動きに目を配る必要が出てきたということです。

顧客・市場の動向は言うまでもなく、それ以外のかなり広範囲な分野の動きを観察・変化の兆しを早い段階で嗅ぎ取り、そしてそれを自社の戦略、製品に素早く取り込んでいく――周りがどんどん変わっていくわけですから、自分も"変わって"いかない限り市場とのずれがどんどん大きくなって、しまいには他のだれかに"替わられて"しまうでしょう。

シリコンバレーの大手IT企業ならびにスタートアップで働いた自分の経験や、業界のローカルニュースから知る限り、ここでは環境変化に敏感で、外部の変化にあわせて自社をファインチューンしていくことが常に求められます(もともと企業の買収、再編が日常茶飯事で行われているために、そうしないと生き残っていけないところがシリコンバレーという場所)。以下に示すのは、こちらの企業が自社の組織やサービスの陳腐化を防ぐために配慮していると思われる項目です。

1)トップのリーダーシップ・コミュニケーション

こちらの有能なリーダーは、自分の言葉で自社の戦略や強みなどを伝える能力が高い。例えば、ほとんどの大手企業はタウンミーティングといって、世界にちらばる社員に対して定期的に対面での合同ミーティングを行います。トップと社員が直接コミュニケーションする場を設けることで、自分の会社がどうなっていくのか、また今自分がやっていることは会社全体でみてどういう意味があるのか、などが腹落ちしていきます。目指す方向が会社全体で認識されることで一体感が生まれ、組織がより効率よく回っていくのです。また、いざという時は強いリーダーシップでスピーディに意思決定して前に進めることも多いです。

日本ではプロの経営者を外から雇うことに今でも否定的な見解が多いかと思います。一定期間内に成果を出すために、組織をひっかきまわすだけひっかきまわしてだめだったら辞めてしまって終わり、というのはけしからんということだと思いますが、特に日本の大企業では、組織トップが生え抜きの人間が多かったり、かつ同じポジションにとどまる期間もとても長い傾向があって、それが企業の停滞化を生む一因であることは容易に考えられます。そういった際にトップから外部の血をとりいれて、組織を活性化するのは決して悪いアイディアではないはず。それが日本の企業文化にそぐわないというのであれば、欧米式の経営スタイルを日本式とのハイブリッドで取り入れるということも一案です。

2)外部のインサイトを提供する社外取締役

Alphabet (Google), Facebookなどのホームページの会社概要ページをみられたことはありますか?これらの企業のボードメンバー(社外取締役)は、シリコンバレーの超トップティアのVC(ベンチャーキャピタル)や政府要人、著名大学のトップ、異業種でのトップ企業のCEOなどのキラ星のメンバーの他に、同業種のエグゼクティブも含まれています(NetflixのCEO→Facebookなど)。下手するとコンペティター(競合企業)になりうるような企業名のトップもいるため、思わず機密保持は大丈夫なのかとシリコンバレー歴が長い私でも感じてしまうほどですが、その心配は必要ないのです。

その前提としてあるのは、やはり「変化の速さ」に対するトップ間での共通認識です。各企業ごとの競争も激しいですが、業界内だけの競争に固執していると、へたすると共倒れになりかねず、敵であり味方である、いわゆる「Frenemy(フレネミー:FriendとEnermy からできた造語)」状態を生みだします。そうして状況を見ながら協力できるところは協力していく。これら企業の取締役会議でも、各々の見識を惜しみなく提供し、核心について丁々発止の議論をしていることが容易に想像されます。

日本の方がアメリカ(シリコンバレー)に来て驚かれるのは、早い段階から会話がかなりオープンだということ。「そんなことまで外部の人に話してしまっていいんですか?」などと聞かれる方が多いのですが、そうすることで社外の人から思いもかけない情報やアイディアをもらえたり、新しい取引先につなげてもらえたりすることもよくあります。ずっと情報を囲っておいてもこれだけ環境変化が激しいと、じきに陳腐化していくだけなのです。

3)ユーザーコミュニティの醸成

こちらの企業では、ユーザーの声を迅速に製品に反映させるために、ユーザーコミュニティを醸成するコミュニティマネージャーの役割も年々重要視されてきています。ユーザーにとって何が不満で何を欲しているのかを迅速にすくい上げ、またユーザーに向けてこまめに情報発信していくことがもう当たり前になってきています。これは一般企業だけではなく、政界でも同じことが当てはまります。オバマ大統領や、カナダのトルドー首相などのオンライン・コミュニケーション戦略は非常に巧みで、それに対して相当なリソースを充てているのがよくわかります。

遊びの時間にヒントがある

以上、シリコンバレーの多くの会社がどのように変化に向き合って対応しているかを見てきました。一方、多くの日本企業を見て思うのは、社内の定型業務に忙殺されている方が多いのでは、ということです。忙殺されていると、何を本当にやらねばならないかにまで気が回らなくなる場合もあり、注意が必要です。

トップのコミットメントが前提ですが、まずは「前例がないので」などと言わずに、フレックスタイムの導入をふくめたワークフロー改善、ミーティングの短縮化、書類のデジタル化など、効率化できるところはどんどん効率化していく。これで相当のリソースを確保できるのは間違いありません。

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そうしてできた時間を、各社員が自律的に定型業務以外にあてるのです。例えば日頃接触のない他の部署のところにふらっと行って雑談するとか、退社後趣味の集まりに顔を出すとか。いつものルーティンから離れる時間を意識的に作り、そういった部外・社外の人との交流を持つように心がけてみてください。そうすると、そこでの何気ない会話から、思いもかけない知見が得られることがよくあります。

実直に与えられた仕事を高いクオリティでこなすのは、日本人のアドバンテージだと思います。しかしながら、人工知能もどんどん仕事の現場に導入されるようになると、ますます人間が定型作業をする必要がなくなっていきます。そしてこれだけ変化が早くなると、業務処理能力より、新しい発想を生み出すクリエイティビティがより重要になってくるのです。是非意識的にバッファーの時間を作り出して、外への視点を意識的に広げていっていただきたいと思います。

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