毎日の業務に追われていると、いつの間にか疎かにしてしまう経費精算。

月末まで溜め込んでは最終営業日になってまとめて申請をあげるべく四苦八苦したり、いつの間にか申請期限切れになってしまった、という経験をお持ちの方もいらっしゃることだろう。

日ごろから業務の効率化が叫ばれる中、なぜか旧来型の方法で行われている経費精算。「今年こそは、手作業から解放されたい」と願う働くひとは多いだろうし、「今年こそは、もっとその後の作業がしやすいシステムを導入したい」と管理部門の悲願を達成すべくシステムの選定を始めた企業もあるかもしれない。

- 経費精算が遅れると管理部門が怒る理由

驚くべきことだが、これだけ働き方改革や業務の効率化、生産性の向上が掲げられる中、いまだに紙やエクセルで経費精算をおこなっている会社は多い。

経費精算の面倒なところは、スタッフが申請をあげるまでに、入力や領収書などをデジタル化しなければいけないといった事務作業に大いに時間を取れられるということだ。

しかし、本当に時間がかかるのはその先といえるだろう。上長や管理部門が経費発生時点までさかのぼって様々な情報(交通費なら、申請された経路は適切か? 備品購入なら、稟議は正しく出されたか? など)を調べ上げなくてはならないからだ。

月末まで業務量が見えず、決められた期日までにまったく自分があずかり知らないお金のやり取りを精査しなければならないことは、業務とはいえ、ときに「謎解きをしているようだ」と感じるかもしれないし、間違いが許されない心理的な負担も少なくない。

加えて、その数字をもとにして予実管理や経営計画が検討されるため、経営層などからは「数字はまだか!?」とせっつかれたりもする。

そうと知れば、月末ギリギリになって経費申請があがってくることやその精度が曖昧だった場合に管理部門が苛立ち、怒ることも少しは理解できるのではないだろうか。

- IT化は経費精算にまつわる様々な問題を解決する

経費精算のデータは、働くひとにとっても、会社にとっても非常に重要なものだ。これをよりスマートに行うにはどうすればいいのか? それを考えることも、「働き方改革」に繋がることだと言えるだろう。

たとえば、「経費精算」のうち、交通費精算が勤怠打刻と同じ動作で行えるなら、精算処理の手間を減らすことに繋がるだろう。そこまでいかなくとも、経費精算のシステムが「駅探」などの外部サービスと連携していれば、交通費の自動計算をより簡単に処理することができるかもしれない。

加えて、透明性に問題が出やすい出張費については、出張手配サービスと経費精算の仕組みが連携すれば、キャッシュバックやギフト券付き宿泊プランのようなビジネス利用に不適切なプランを選択できないよう水際で対策が可能となる。これだけでも働くひとの手間が省け、管理部門の業務はより簡単になるはずだ。

- 三方が得な経費精算のクラウドツールの条件とは?

前述のような「経費精算」の仕組みをITのチカラでスマートにすることに加え、「電子稟議」の機能とも組み合わせれば、稟議の情報を事前に管理部門にも共有することができ「上がってくる可能性のある申請の内容と数」を管理部門側が予め予測することができるようになるだけでなく、必ず決まった承認ルートになるためコンプライアンスの構築にも大いに貢献可能だ。

これなら、管理部門側も業務量の調整をしたり、申請を促すなどのアクションを起こせる芽が出てくるかもしれない。

また、作業実績と経費精算が組み合わされば、予実の管理にも貢献するだろう。

そう考えると、経費精算を行うためのクラウドツールを導入すると考えたときに、「その機能だけを使う」という考え方は十分ではないかもしれない。

経費精算に関連する電子稟議が連携していた方が先々の負担が軽くなるだろうし、工数や勤怠の情報も組み合わされていた方が、経営計画の策定といったより上位のレイヤーでも役立つ仕組みとなるだろう。

そうしたことが最終的に一体となって見られるようになれば「働き方の見える化」となり、「企業の見える化」にもつながっていく。

たとえば、勤怠管理/工数管理/経費精算/電子稟議/ダッシュボードの機能を一体化させた「TeamSpirit」のユーザーであるマーキュリープロジェクトオフィス株式会社では、導入前には月末に銀行の預金通帳を見て初めて「今月もやっていける」ということがわかっていた、というが、一体化させた同システムを使うことで「どんぶり勘定」から「リアルタイムの予実管理の実現」にシフトできたという。

マーキュリープロジェクトオフィス株式会社様事例はこちら
バックオフィス業務、プロジェクト原価管理について問題を抱えていた株式会社スカイアークもまた、「すべてが一体化している」ことで経営における意思決定を正しく行えるようになったという。

株式会社スカイアーク様事例はこちら
せっかくシステムを導入するなら、「経費精算をシステム化する」という一点にフォーカスするのではなく、全体のあり方をあらためて見ることが、結果的に働き方改革の実現に繋がると言えそうだ。

どのレイヤーにとっても最適な業務ツールを選ぶことは「欲張り」なことではないということだろう。

text:働き方改革研究所 編集部