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昨年12月14日(水)に開催されたSalesforce World Tour Tokyo 2016 ( SWTT 2016 )で、TeamSpiritは「働き方改革」のための新サービスを発表しました。今回のコラムでは「働き方改革」とは何か、またTeamSpiritの新サービスがどのように企業の「働き方改革」を実現していくのかについてご紹介したいと思います!

「働き方改革」プラットフォーム:TeamSpirit WSP (Workforce Success Platform)

この度、TeamSpiritは企業の「働き方改革」を支援する新たなクラウドソリューション"TeamSpirit WSP (Workforce Success Platform)"を発表しました。
これまでTeamSpiritは「ERPのフロントウェア」として「勤怠管理」・「経費精算」・「工数管理」・「申請・承認」などを一体化したクラウドソリューションを提供し、日々の煩雑な業務を削減することに貢献してきました。TeamSpirit WSPはそんな業務効率化からさらに一歩進化し、ビジネスパーソンがより生産性が高くクリエイティブな仕事ができるような環境を実現する「働き方改革」プラットフォームです。

「働き方改革」とは何か

大手広告代理店で起きた新入社員の過労自殺という悲惨な事件以降、「長時間労働の是正」や「働き方改革」という言葉をこれまで以上に頻繁に目にするようになりました。 「働き方改革」は安倍内閣の重点施策であり、労働基準法改正案や「働き方改革担当大臣」の新設など、政府もかなり積極的な取り組みを行ってきましたが、ここに来てさらにその熱が増している印象です。

「働き方改革」の背景には、深刻な人口減少があります。内閣府の「選択する未来」委員会の報告書(*1)では、

"労働力人口は、 出生率が回復し(2030年に合計特殊出生率が2.07まで上昇)、かつ女性がスウェーデン 並みに働き、高齢者が現在よりも5年長く働いたとしても、2060年には5,400万人程度まで減少"

と試算しています。

「保育園落ちた日本死ね」が流行語大賞に選ばれるような社会で10年後までに出生率がほぼ倍になり、共働きが当たり前となり、高齢者がみんな元気でたくさん働ける未来がやってくるのだろうか......と思ってしまいますが、これだけの条件が揃っても労働人口は減少するという大変厳しい状況に日本は陥っています。ちなみに同報告書によると現状維持ペースでは2060年には労働人口が3,795万人程度まで減少するそうです。
人口がどんどん減っていくなかで日本が国際的な競争力を維持するためには、一人ひとりが生み出す付加価値を大きくしていくしかありません。しかし、当然ながら「人口が減るなら一人当たりの労働時間を増やせばいい」という発想はもはや通用しません。企業には、長時間労働の是正、多様な働き方を可能にする環境づくり、一人ひとりの時間当たりの生産性の向上、これらを同時に実現させることが求められています。これこそがまさに「働き方改革」の意味するところです。「働き方改革」は、もはや無視することも先延ばしすることも許されない課題として企業に迫っているのです。

(*1)人口減少と未来の選択(「選択する未来」委員会の検討状況) 平成26年3月19日 内閣府
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/goudou/dai1/haihu2.pdf

「働き方改革」をめぐるジレンマ

さて先日、日経新聞が国内主要企業146社に実施した「長時間労働是正」に関するアンケートの記事を目にしました。

"是正の具体的な取り組み(複数回答)を聞いたところ、「ノー残業デーの設定」(77.6%)、「サービス残業の撤廃」(62.1%)などの回答が多かった。"

"最も回答が多かったのは「管理職の意識改革」だった。損害保険ジャパン日本興亜は今年、管理職向け研修に「生産性向上」を盛り込み、管理職の役割を再認識させた。"

(日本経済新聞 2016年12月8日朝刊)

「サービス残業の撤廃」が長時間労働是正への取り組みとして挙げられているのはどうかと思うのですが(サービス残業は存在している時点で法律違反です!)......。それはさておき、多くの企業が「現状のままではマズイ」という危機感を抱き、対策を講じ始めているようです。

ただ、当然ですが長時間労働をなくせば生産性が向上するわけでもありません。記事内にも"最も回答が多かったのは「管理職の意識改革」だった"とあるように、「22時消灯」、「ノー残業デー」などの制度を作っても、生産性の高い働き方をしない限り、労働時間の短縮は単なる付加価値の減少につながってしまいます。労働時間短縮の仕組みと生産性向上の仕組みの両方に同時に取り組まない限り「働き方改革」は実現されないのです。制度を作ろうと思えば比較的簡単にできますが、長年慣れ親しんできた働き方や企業風土を変えるということは、企業にとっては非常に難しい課題です。ここに働き方改革のジレンマがあるのではないでしょうか。 

「働き方改革」のジレンマを解決するTeamSpiritの方法論

働き方を変える、つまり生産性の高い働き方を実現するにあたっては、個人の努力だけでは限界があります。企業全体の戦略として、仕事のプロセスや文化を変革していくことが必要です。
TeamSpiritは、「見える化」が生産性向上の第一歩だと考えました。 製造業からサービス業へと産業構造が変化するなか、「生産性向上」を掲げたとしても、そもそも「仕事の生産量」を測定することが難しい時代となりました。ICTを活用して既存の業務を効率化することは大前提ですが、そこで生まれた余剰時間がちゃんと創造的で付加価値の高い活動に充てられているのか、そこが明確にならない限り、生産性が向上しているかどうかを測ることはできません。
シンプルに考えれば、生産性の向上とは「より少ない時間で今までと同じ仕事をする」、あるいは「今までと同じ時間でより付加価値の高い仕事をする」ということになります。単純な数値で成果を測定できない仕事であっても、まずはどれくらいの時間を使って、どのようなアウトプットをしているか、そのすべてを可視化することが生産性向上の第一歩となるのはないでしょうか。

そしてTeamSpirit WSPの基本コンセプトを表したのがこちらの図です。

「働き方改革」プラットフォーム

クラウドの最大のメリットはインターネットが繋がれば場所を選ばず仕事ができ、モバイル端末やIoTデバイスなどからあらゆるデータを取得できることです。いろいろな側面からデータを集めて分析すれば、これまで把握できなかった数値を客観的に認識することができます。仮説を立てるにも、まずは事実が必要です。組織の働き方の現実を知って初めて生産性向上に向けての仮説を立て、行動することができます。そしてそれを元にまた数値を分析して、コミュニケーションをして......という持続的なサイクルを生み出そうというのがTeamSpirit WSPの基本的な考え方です。

そしてTeamSpirit WSPを実現するのが、次の3つのソリューションです。

3つのソリューションとはこれまでTeamSpiritが実現してきた「オフィスワーク・オートメーション」、さまざまなシステムやアプリケーションと連携する「オープンプラットフォーム」、そして今回新たに生まれた、働き方改革のためのPDCAサイクルを実現する「ワークフォース・サクセス」です。

ワークフォース・サクセスとは

「ワークフォース・サクセス」の軸となるのがカレンダー機能です(TeamSpirit WSPでは『プランナー』と呼びます)
皆さん毎日何らかのカレンダーにスケジュールを入力し、社内で共有していると思います。TeamSpirit WSPでは毎日入力する「プランナー」が出張・残業・経費などの申請業務や経費清算・勤怠管理・工数管理と連動しています。日々の予定を入れるだけでその予定に紐付いたさまざまな業務を同時に実行することができるのです。
さらに、このプランナーは自分自身の日々のタイムマネジメントや目標管理のツールとしての機能も兼ね備えています。「日」別の予定には工数を示す棒グラフが連動しており、どのプロジェクトにどれくらいの時間を費やしたかを入力することができます。またどの目標についてどれくらい達成できたか、「重要・かつ緊急」、「重要だけど緊急ではない」・「緊急だけど重要ではない」・「緊急でも重要でもない」という4領域それぞれにどのくらいの時間を費やしたのかを見ることもができます。
そして日々の振り返りを元に、上司や仲間とコミュニケーションをとりながら翌日のスケジュールを設定することでPDCAサイクルを実現します。
自分の時間を生産性の高い業務に振り分ける「タイムマネジメント」と組織の力を最大限に引き出す「ピープルマネジメント」を同時に実現するのが、このプランナーの最大の役割なのです。

まずは「経費精算」からスタート!今後はさまざまなパートナーと連携し、「働き方改革」のナンバーワンプラットフォームへ。

Salesforce World Tour Tokyo 2016では、TeamSpirit WSPの第一弾として、プランナーと連動した経費精算の機能がこの春から順次リリースされることが発表されました。プランナーから出張申請や経費精算を行うことで申請業務も楽になるほか、プランナーと出張申請や経費申請が一体化しているため、カラ出張などの不正を防ぐこともできます。海外では勤怠管理よりも経費精算のニーズが高く、グローバルで活躍する企業などでブースは連日大盛況でした。

さらに今回、TeamSpiritとの製品連携プログラムである「TeamSpirit Connect」も発表。IoTの先進的企業であるACCESS社と連携し、Beaconによる位置情報を活用した業務管理ソリューションや、フレクト社のコネクテッド・カー アプリ「Cariot」を使った交通費精算・勤怠管理などのソリューションなどを紹介しました。

労働人口が減り続けるなかで日本企業がグローバル競争を勝ち抜いていくには、もはやICT導入による業務の効率化だけでは太刀打ちできません。既成概念を打ち破る発想で、従業員の創造性や生産性を高めない限り、企業が成長を続けることが非常に難しくなっています。クラウド・スマートデバイス・IoT・AIなど、働く環境を進化させる道具(テクノロジー)はそろいつつあります。あとは挑戦するかどうかだけ。働き方改革に向けて、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。