2016.10.24

長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本(9)
~休暇制度 概要~

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重要な「休暇」の仕組みづくり

少子高齢化によって労働力不足が進むなか、労働者が長く活躍できる職場環境を整えることは企業にとって重要な経営課題となっています。特に育児や介護をしながら働くことが当たり前になりつつある今、「休暇」に関する仕組みづくりは最優先事項といっても過言ではないでしょう。

「休み方・働き方改革」はアベノミクスにおいても中心的役割を果たしています。厚生労働省が発表した「平成27年就労条件総合調査結果の概況(※1)」によると、平成 26年の1年間に企業が付与した年次有給休暇の取得率は47.6%。日数にしてわずか8.8日だったそうです。政府は今、「2020年までに有給休暇の取得率70%」を目標に掲げ、法律や制度を整えつつありますが(※2)、目標達成にはほど遠い状況です。

労働者がしっかりと休める環境を作るためには、休暇日数を増やすだけでは十分ではなく、休みを取りやすくする仕組みや社風を作るところに力を注がなくてはいけないのかもしれません。

ということで、今回は法律で定められている「休暇制度」の基本を整理するとともに、「休暇」に関する企業の取り組み事例などについてもご紹介したいと思います。

(※1)
厚生労働省 平成27年就労条件総合調査結果の概況 「労働時間制度」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf

(※2)
厚生労働省 2013年度の労働条件分科会における年度目標の評価
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000068186.pdf

「休暇」とは?

以前のコラムでも紹介しましたが、「休暇」とは「労働義務があるのに免除された日」を意味します。ちなみに法律上では「休暇」と「休業」という用語は明確に使い分けられてはいないようです。

さて、休暇には労働基準法で定められている「法定休暇」と、企業が任意に設定できる「法定外休暇」があります。

【法定休暇】

・年次有給休暇

労働者が心身のリフレッシュや自己啓発などを図れるように、賃金の支払いを受けながら休暇を取ることを認めた制度(詳しい内容については、次回のコラムでご紹介します)。

・産前産後休業

出産予定日の6週間前から(多胎妊娠の場合は14週間前から)、出産日の8週間後まで休むことができる制度。産前休暇は労働者からの請求によって取得するものですが、産後については請求の有無にかかわらず、出産翌日から8週間は就業することができません(ただし本人が請求し、医師が認めた場合には6週間経過後に就業することができます)。産前・産後の休業期間については法律上給料の支払い義務づけはなく、取り扱いは会社の判断に任されています。

・生理休暇

生理によって仕事をすることが困難なほど体調が悪化している場合に取得できる休暇。半日または時間単位での請求も認められています。休暇中の給料の支払いについては法律上の義務づけはなく、取り扱いは会社の判断に任されています。会社が生理休暇の日数を限定することは認められていませんが、有給で休める日数を決めることは認められています。「生理休暇は何日取得しても構わないが、2日間は有給、それ以降は無給」というように就業規則などで明確に定めておくことが重要です。

・育児休業

子を養育する労働者が申し出ることによって、一定期間、休業することができる制度です(詳しい内容については今後のコラムでご紹介します)。

・介護休業

労働者の申し出によって、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業を取ることができます(平成29年1月1日に法改正があります。詳しい内容については今後のコラムでご紹介します)。

・介護休暇

介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や病院への送迎などが必要な場合に、年に最大5日まで(対象となる家族が2人以上の場合は年に10日まで)の範囲で、休暇を取得ことができる制度です(平成29年1月1日に法改正があります。詳しい内容については今後のコラムでご紹介します)。

・子の看護休暇

小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年に5日まで(子供が1人であれば5日、2人以上であれば10日)、看護のための休暇を取得することができます。看護休暇中の賃金については法律上支払い義務づけはなく、取り扱いは会社の判断に任されています。

・時間外労働に関する代替休暇

1ヶ月60時間を超える時間外労働を行った場合、割増賃金の一部の支払いを有給休暇に代えることができる制度です。

詳しい内容についてはこちらをご参照ください。

厚生労働省 「改正労働基準法のポイント」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000uefi-img/2r9852000000ugqj.pdf

【法定外休暇】

疾病休暇、慶弔休暇、夏季休暇など、会社が任意に設定できる休暇です。


有給休暇・産前産後休暇・育児休暇などは取得する従業員も多いため、企業も仕組みを整えているかもしれません。しかし実はそれ以外にも法定休暇があり、有給か無給かについては企業に委ねられています。いざ従業員がそれらの休暇を取得しようとしたときに、企業は拒否することはできません。給与面などにおいてもトラブルにならないよう、事前に制度の内容を正しく把握し、就業規則を整えておくことが重要です。
また今後、育児や介護をしながら働く人が増えていきます。制度の内容もこまめに変更されることが予想されるので、常に最新の情報をチェックしておくことも必要です。

休暇制度への細かな配慮は採用の魅力づけにもなり、また離職率の低下にも大きく貢献します。次回は「有給休暇制度」について、詳しくご紹介したいと思います。



長時間労働を抑制する「勤怠管理」の基本

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