2015.09.07

1日10万食を世界でサーブする「Google Food」、その原動力はどこにある?

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Google Atomosphere Tokyo 2015に登壇した、Google アジア太平洋地域 フードサービスチーム責任者のマルコム・オーモンド氏

 Googleという会社はさまざまな分野でパイオニアとしての役割を果たしてきたが、それはテクノロジーの分野に限らない。同社はワークスタイルの変革においてもいくつもの先進的な取り組みを実践してきた。その代表例が世界50カ国/170カ所以上のGoogleオフィスで提供される無料の食事だ。全世界で1日に提供される食事の量はおよそ10万食、45社以上のケータリングパートナーと提携し、700を超えるマイクロキッチン(Googleオフィス内のミニスペース)が日々フル稼働をしている。

 だがその膨大な数字にもまして驚くべき事実は、この業務がGoogle内のわずか30人以下のチームで運営されているという点だ。少人数で大きなビジネスを効率的に回す――。まるでGoogleという会社そのものを体現しているような社内向けサービスだといえる。なおGoogleではこの食事提供をただの業務ではなく、社内グローバルビジネス「Google Food」として扱っているという。

無料の食事は企業理念に基づくサービス

 2015年6月18日に東京・六本木で行われたGoogle主催のイベント「Google Atmosphere Tokyo 2015」には、Google アジア太平洋地域 フードサービスチーム責任者 マルコム・オーモンド(Malcom Omond)氏が登壇している。オーモンド氏によればGoogle Foodの信条とは「食体験を通じて、今日、明日、そして未来にわたってベストな状態を維持するために、どうサポートできるか」というものだ。

 Googleは創立から16年しか経っていないが、これからもさらに長く事業を続けていくために、食という側面から社員と企業を支えていくことを明確にうたっている。「Google Foodが提供するものは3つある。目的を持った食事、不可能へのチャレンジ、コミュニティ創造の機会――これらを持続的に提供していくことが我々のチームの役割」とオーモンド氏は言う。決して話題作りや人気取りの施策ではなく、企業としての理念に基づいたサービスであることがうかがえる。

 ではGoogle Foodはいかにして50カ国/10万食の食事を日々提供しているのか。オーモンド氏はGoogle Foodが直面している課題として

・数多くの国々
・多様なパートナー会社
・幾万もの食体験
・異なるプラットフォーム
・食に携わる人はアナログ

 という点を挙げており、これらを解決するために自社のテクノロジーである「Google for Work」「Drive for Work」を活用していると説明する。

 「我々のチームは世界中にメンバーが散らばっている。私は日本で仕事をしているが、私の同僚はチューリッヒにおり、上司はマウンテンビュー(Google本社のあるシリコンバレーの市名)だ。今朝、打ち合わせをしたチームのメンバーはシドニーにいる。全員が同じ場所で顔を合わせるのは年に1回、それも2、3日程度だ」というオーモンド氏だが、これはGoogle Foodに限ったことではなく、Googleのほかのチームも同様だ。そして世界各地に分散しているチームメンバーがひとつの仕事を成し遂げるには誰もが使える共通のプラットフォームが欠かせない。それがGoogle for WorkでありDrive for Workだといえる。

 「朝起きたらまずGmailを確認し、シリコンバレーの上司とのスケジュールをGoogle Calendarで調整し、シンガポールのメンバーとはハングアウトを使ってビデオ会議、世界中のチームメンバーと今日の会議の資料をDriveで共有する。世界中の部下の仕事ぶりをすべてGoogleのテクノロジーで把握できる。これがGoogle Foodの毎日のワークスタイルだ」(オーモンド氏)

 「私の専門はコーヒーを入れたりランチを提供したりすることで、テクノロジーではない。そういうアナログな人間でも使えるプラットフォームがなければ世界を股にかけたコラボレーションはできない。我々のチームはテクノロジーの専門家ではないが、テクノロジーを使って会社を良くすることに貢献できていると自負している」とオーモンド氏は言う。テクノロジーがアナログを支え、アナログがテクノロジーを発展させていく、ダイバーシティが生み出すそのサイクルが企業と社員を成長させる原動力となる。

 ダイバーシティ(diversity:多様性)という単語をビジネスで見聞きする機会は増えてきたが、現実問題として人種や習慣の違いを受け入れることは簡単ではない。だが世界を相手にビジネスをする限り、ダイバーシティはどんな企業でも向き合わなければならない大きな壁だ。食体験という人間の原点ともいうべき側面からダイバーシティに挑み、誰でも使える最先端のテクノロジーを駆使して効率的にビジネスを拡大する――。Google Foodのチャレンジは「Googleという会社だからできること」では決してないはずだ。

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