2015.03.02

「LinkedIn」が日本で流行らないそのワケは?

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米カリフォルニア州マウンテンビューに本社を構えるLinkedInは現在全世界に4000名の社員を抱えるグローバルカンパニーに成長した

 「日本では流行らない」と前評判では言われながらも、実際に上陸してみると日本が世界有数の市場となった製品やサービスは数多くある。たとえばFacebookはその顕著な例だろう。日本に登場したばかりのころは「実名制のSNSなんて日本で流行るわけがない」などという声も聞こえたが、いまや国内における月間アクティブユーザ数は2000万人を超えており、Facebookマーケティングを専門にするサービスすら存在する。実名/匿名などという些細な一面だけでソーシャルネットワークのポテンシャルをはかることはできないと示した好例だろう。

 Facebookにかぎらず、LINE、Twitter、Instagramなどさまざまなソーシャルネットワークが活況を呈している日本だが、とりわけ別の意味で注目すべきサービスが存在する。世界有数のビジネス特化型ソーシャルである「LinkedIn」がそれだ。なぜ注目すべきなのか? それはLinkedInがFacebookとは異なり、日本ではいっこうに流行る気配を見せないからだ。

 2002年にシリコンバレーで誕生したLinkedInは、学歴や職歴といった個人が培ってきたキャリア(プロファイル)をベースに、ビジネス上のつながりを拡げていくソーシャルネットワークとして瞬く間に世界中で普及した。現在、グローバルでのユーザ数は3億人を超えており、とくに米国ではビジネスパーソンでLinkedInのアカウントをもっていない人間はいないとまで言われている。ヘッドハンティングの現場やビジネスパートナーの検索において、彼らがLinkedInを"活用しない"ことなどは逆に考えにくい。いまや人材ビジネスにおけるグローバル標準のマストツールだと言っても過言ではない。

 筆者は昨年、米国のとあるITカンファレンスでLinkedInのエグゼクティブにインタビューする機会を得たが、その際、彼は「終身雇用制は崩れたといっても日本ではまだ主流であり、労働市場の流動化がなかなか進まないという点が大きい。転職がステップアップとして捉えられにくい社会であることが一因なのでは」と答えている。だが米国ほどではないにしろ、確実に終身雇用制が崩れつつある日本の労働市場で、それだけがLinkedInの普及を妨げているとも思えない。

 では逆に、なぜLinkedInはごく短期間で世界有数のソーシャルネットワーク企業に成長できたのだろうか。最大の理由は彼らのデータ分析力にある。

 LinkedInという企業はIT企業の聖地であるシリコンバレーにおいてもトップクラスの"データドリブン(data driven)"な企業として知られる。先日(2/5)、米ホワイトハウスで最初のチーフデータサイエンティストに就任したD.J.パティル(Patil)氏はLinkedIn出身だが、パティル氏のようなデータアナリティクスの専門家はもちろんのこと、営業やマーケティングに至る全従業員がデータの重要性を強く意識しながらサービスを作ってきた。とくに彼らが重視してきたのは、会員となる個人のプロファイルデータの蓄積よりも、会員どうしがつながっていくプロセスの分析だ。誰と誰が、いつ、何をきっかけに、どのようにつながっていくか、その後に彼らはどう行動するのか - この分析力がLinkedInを今の地位に押し上げたといえる。ただの転職マッチングサービスではないのだ。

 ひるがえって日本のキャリア市場を見たとき、LinkedInに代表されるような、個人と個人のつながり方までを分析する徹底したデータ重視のアプローチが取られているケースはそれほど多くないように思える。単に個人のプロファイルをベースに、相性の良さそうな企業を選んでいくだけでは、ダイナミックな人材の流動は起こらないだろう。プロフェッショナルとプロフェッショナルがあるタイイングでつながることで、思いもしなかった新たなビジネスの価値が生み出される、そうした人材×人材のイノベーションが生まれるようになったとき、日本でもLinkedInの真価が発揮されるようになるのかもしれない。

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