2015.03.30

いったん人材が流れ出せば日本でも!?
シリコンバレーの起業家が語る「LinkedIn」の魅力

このエントリーをはてなブックマークに追加
main_gomi_02_001.jpg

シリコンバレーで起業し日米でビッグデータビジネスを展開するFlyData 創業者の藤川幸一氏

 前回、LinkedInの"データドリブン"な企業体質について触れたところ、予想以上に多くの反応をいただいた。LinkedInに登録している国内ユーザはまだ少数派ではあるものの、LinkedInに対する興味/感心は決して低くはないことがうかがわれる。

 では実際に米国、それもLinkedIn発祥の地でもあるシリコンバレーでは、このビジネス特化型ソーシャルはどのように活用されているのだろうか。今回は、日本人ながらシリコンバレーでベンチャーとして起業し、現在は米カリフォルニア州・マウンテンビューに拠点を置きながら日米でビッグデータビジネスを展開するFlyData Inc.の創業者 藤川幸一氏に、シリコンバレーならではのLinkedIn活用スタイルを伺ってみた。

――FlyDataではよくスタッフを募集しているようですが、リクルーティングにLinkedInを使ったことはありますか。

藤川氏: 使ったことはあります。とくに営業系の人材を募集するとかなり応募がきますね。わりとハイレベルなキャリアをもつ方が応募してくることもあって、けっこう驚いたこともしばしばあります。

――エンジニア系の人材はどうでしょう? 営業系と同じような感じでしょうか。

藤川氏: うーん、やはりシリコンバレーという土地柄もあって優秀なエンジニアは引く手あまたなので、LinkedInで募集するだけではなかなか厳しいですね。(GoogleやFacebookのように)かなりのネームバリューがある企業じゃないとLinkedInだけで集めるのは難しいと思います。

――LinkedInは日本の一般的な転職サイトとどういう点が違うように思いますか。

藤川氏: 日本の転職サイトはあまり使ったことがないので、比較することは難しいんですが、LinkedInに関して言えば、企業側も応募者もお互いに知ることができる情報が多いという点が非常にすぐれていると感じます。互いにスクリーニングをかけられるというか、双方にとってフェア(平等)な感じが日本よりも強いんじゃないかな。日本だと、募集される側が「あまりその会社のことは知らないけれど、なんだか声をかけてくれたので、ちょっと面接を受けてみようかな」というケースが少なくないと思うんですが、会社の情報を事前に調べようと思っても難しい。でもLinkedInであれば、その会社にどんな人達が働いているのか、すぐに検索することができます。みんなLinkedInに登録していますからね。受け取る情報に差がないというのは大きなメリットだと思います。

――なるほど。では採用以外の側面ではどうでしょう? ビジネスの現場、たとえばキャリア形成やコネクションづくりにLinkedInの影響力を意識することはありますか。

藤川氏: 僕の場合、どんな相手でも重要な初めての方(取材相手やパートナー、投資家など)はLinkedInで検索します。今日もFlyDataのビジネスに問い合わせてきた方がいたので、相手の名前と会社名でLinkedInで検索し、どのようなプロフィールの持ち主かを事前に把握してから商談に臨みました。

――たしかに知らない人でもLinkedInでチェックすれば基本的なプロフィールは把握できますね。相手のことを知っているのと知らないのとでは、ビジネスのスピードに差が出そうな気がします。

藤川氏: あと、一度でも一緒に仕事をした人はその後もLinkedInでつながっているケースが多いですね。それがきっかけで別の機会に仕事をすることにもなるので。これは実話なんですが、昔ユーザインタビューである事業会社のプロダクトマネージャにLinkedIn経由で会ったことがありました。しばらくしてその人のLinkedInを見たら有力なベンチャーキャピタルのパートナーになっていたので、すぐに投資ピッチの申し込みをしたことがあります。

――LinkedInのつながりが思いもかけないチャンスに変わる好例ですね。最後、日米の両方でビジネスをしている藤川さんから見て、LinkedInが日本でも流行る可能性はあると思われるでしょうか。

藤川氏: 日本ではLinkedInが使われていない、と言われていましたけど、僕はあんまりそうは思っていなくて、たとえば日本にいるグローバル企業の人材のほとんどは米国同様にLinkedInを活用していますよ。実際、FlyDataでも日本のカントリーマネージャを募集した際、かなり多くの日本人がLinkedIn経由で応募してきましたから。

 日本でLinkedInが流行るようになるためのキーは人材の流動性、つまり個人の能力によって自由に会社を移れる環境じゃないでしょうか。そうした環境がある程度広い業界で実現できたら、きっと日本もLinkedInにとって特別な国ではなくなるはずです。

***

 募集側と応募側のフェアな情報スクリーニング、ビジネスでのコネクション、そして新たな人材と人材の出会いがもたらす思いがけないチャンス ――シリコンバレーでのLinkedInは想像以上に重要なビジネスインフラとして機能しているようだ。そしてそのベースにあるのは"優秀な能力"を備えた個人 - この個人の流動性をどう高めていくか、それはLinkedInの普及だけではなく、日本の労働市場にとって最大のチャレンジであると言えるだろう。

このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権はチームスピリット、またはその情報提供者に帰属します。掲載情報は、記事執筆時点のものです。

© 2016 TeamSpirit Inc., All Rights Reserved.

このサイトについてお問い合わせ