2016.03.01

世界に打って出るための第一歩
熾烈なドメイン獲得の交渉術を生々しくレポート

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自分でビジネスを立ち上げたり、スタートアップでウェブ周りを担当しない限り、ドメインネームに関わることは通常あまりないかと思います。私が会社を立ち上げた際は、自社サイトのドメインネームを数百ドルで取得しました。会社名は「Serend」といいますが(偶然の発見をもたらす能力という意味のSerendipityから名付けました)、www.serend.comは既に取られていたので、www.serendinc.comで妥協した経緯があります。 

ドメインビジネス業界の今

ドメインネームがそういった造語・固有名詞であれば割と安価で取得できる場合が多いのですが、一般名詞のドメインネームをみてみると、語数が少なければ少ないほど途方もない価格になってきています。2015年度のドメインネーム販売リストをみると、第2位のWe.comなどは実に$8,000,000(約8億円)の高値で販売されています(http://www.dnjournal.com/archive/domainsales/2015/2015-top-100-sales-charts.htm)。それらはプレミアドメインと称され、その売買を専門に扱う業者が数多く存在し、その"ドメインビジネス業界"というのが近年ますます大きな規模にふくれあがっているのです。

ドメインネームの専門サイト「the Domains」の記事によると、2015年11月の3週間だけで3千2百万ものドメイン名が登録されたそう。また、特にここ2年ぐらいで中国の買い手が爆発的に増えており(ドメインネームでも爆買いが)、今現在676個の2文字のドメインネームの実に136個を所有しているとのこと。売買のボリューム・スピードがこれまでにない勢いで増しています。

これが実際のドメインネームの売買プロセスだ!

さて、そのような状況にあるプレミアドメインですが、今回「Teamspirit」によるteamspirit.comのドメイン取得の実体験を元に、プレミアドメインの購入プロセスをご紹介したいと思います。

1)情報収集

まずはドメインネーム、プレミアネームなどでググり、専門サイトをいくつかピックアップ。情報の量・質ともに秀でている以下のサイトを重点的にチェックしました。

・DN Journal: http://www.dnjournal.com/
・DomainSherpa: http://www.domainsherpa.com/
・The Domains: http://www.thedomains.com/

ここで、ドメインビジネスの業界規模、売買にはどういうプロセスが必要なのかなどを把握しました。

2) 直接交渉かブローカー経由か

ドメインネームを取得するには、自分で直接売り手とやり取りするか、ドメインブローカーを通してやり取りするか、の2つの方法があります。前述した私の会社名のような造語の場合は価格もそれほどではなく、そのドメインネームを欲しい企業・個人も限られているので、直接やり取りしてもさほど交渉に時間はかからないでしょう。

これがプレミアドメインとなると話が違ってきます。プレミアドメインを押さえている売り手は、海千山千の個人か、大手ドメイン会社の場合がほとんどで、どちらにしても一筋縄ではいかない場合が多いです。交渉によほどの自信があれば直接交渉もありですが、手数料を多少払ってもブローカーを通じてやり取りした方が結果的に時間・コストの節約になる場合が多いかと思います。今回のドメイン購入においては、ブローカーに依頼することにしました。

次に必要となるのが、ブローカーを探して発注することです。しかし、信頼できうるブローカーを捜すのがまた難しい。ブローカーは、個人で営業している者と、ドメイン会社に所属している者に大別されます。そのほとんどは直接会って話をすることは稀で、前述したようなドメイン専門サイト(Quara.comも専門情報収集には非常におすすめです。ここで数名のブローカーとも接触しました)から購入したいドメインの特性にあった取引を多くしているブローカーを見つけ出し、彼らにメールで連絡、返答のあったところから順次Skype、電話などで話をし、あたりをつけていく。経験値、仕事のスタイル、ブローカーフィーなどの情報を考慮して、最終的に一人まで絞っていきます。

それぞれのブローカーの特徴ですが、個人でドメインブローカー業をやっている人々は、なかなかに個性(アク)が強いローンレンジャー的な人が多い印象。ドメイン会社に所属したブローカーは、アクの強さはそれほどではないですが、アメリカの中古車セールスマンを彷彿させる、押しがやたら強い印象です。

のべ8名ほどメールでコンタクト、そのうち返事のあった5名とやり取りし、最終的に個人ブローカーを選びました(Andrewというブローカーです)。Andrewを選んだ決め手は、まずはドメイン専門サイトに多く記事を寄稿していたこと、経験値、最初の電話会議で今回のドメインネームの売り手をよく知っているという事実からです。ここでやっと購入のスターティングポイントに立ったわけです。

3)売り手との交渉

これ以降、Andrewと二人三脚で売り手との交渉に当たっていくことになりました。前述の通りAndrewは今回の売り手を良く知っており、どういう経歴か、どの程度ドメインネームを保有しているのか、どういう売買スタイルなのかなどを教えてくれました。そういった情報にドメインネームの市場価値を考慮して、交渉スタート。

ドメイン市場の活況を反映して、この時点での先方の提示価格が更に上がっていました。こちらが払える価格を提示、そのギャップを縮めていく交渉がAndrewを介して繰り返されます。「○○○ドルまでだったら譲歩してもいい」というオファーはあったものの、更に交渉。ちょうどクリスマス前ということで、年内に売り上げを確保したい向こうの心理をついて、クリスマス前に支払いを済ますのでもう一越えの値下げを交渉、それが結果的に通りました。

4)支払い処理・ドメインの移管

一旦交渉成立したら、支払いをスムーズに済ませる必要があります。ドメインの売買は今回のように一度もお互い会ったことのないもの同士が遠隔で高額商品をやり取りするので、安全性が確保されたプラットフォームが必要になります。それがエスクロー(Escrow)サービスです。今現在活用されている主なエスクローサービスは以下の2つです。
www.escrow.com
www.sedo.com

sedo.comの方が安全性が高いのですがその分フィーが高く、Escrow.comはその逆になります。現在はEscrow.comの方が多用されているという印象です。 支払いが売り手側で確認され次第、実際のドメインが買い手側に移転されることになりますが、それもこのエスクローシステム上で行われます。


以上がプレミアドメイン売買プロセスの概要ですが、ポイントは以下の通りです。

●事前の情報収集をしっかりすること
●交渉に不利になるので、最初のコンタクトの段階では自分の身元を明かさない(捨てメルアドなどでやりとりする)
●やりとりは迅速に、伝えたいことは明瞭・明確に(英語でのコミュニケーション)

ビジネスをグローバルで展開される場合、しかるべきドメインネームの取得は重要な第一ステップです。それを検討されている方にとって上記の情報が少しでも参考になればと思います。


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