2016.02.16

シンガポールの旧正月は?
みかん配布にお年玉、ビジネスでも残るユニークな習慣

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旧正月の名物「ローヘイ」。金運アップを込めた縁起物だ

オフィスロビーの飾り

中国人による爆買いがよく話題になるが、今年も旧正月の連休を利用した観光客が見られる頃だろうか。ここシンガポールでは、今年の旧正月は2月8日であったため、旧正月の1ヵ月前辺り、つまり、新年明けてすぐに旧正月の飾りがクリスマスツリーに取って代わり、街じゅうが赤と金の飾りで埋め尽くされた。爆買いする人たちでデパートもスーパーもごった返し、大変な活気に包まれた。

干支の飾り

シンガポールは人口の70%が中華系、一方で多民族国家でもあるということもあって、正月と旧正月の両方を祝う珍しい国である。1月1日は祝日となっており、カウントダウンに花火でお祝いする。ただ、日本と異なって特に1月1日に向けて飾り付けがされるわけではなく、欧米同様、クリスマスの飾り付けのまま、ホリデーシーズンの流れの中で祝う。旧正月は1月下旬~2月下旬であるため、新年が明け、長いホリデーから戻って仕事にエンジンがかかったころ、赤と金の飾りと干支の飾りで埋め尽くされ、中国っぽい歌があちらこちらで流れ始める。

どんな風に祝うのか?

一般的には、旧正月の前日、大晦日の夜にはリユニオンディナーといって家族や親戚が集まって食卓を囲み、新年を家族揃って迎える。旧正月を迎えるに当たって、洋服やインテリアを真新しくすることが多い。魔除けになると言われる赤を基調にしたTシャツやクッションを売る店が目立つ。Tシャツを家族、親戚分をまとめて購入する人が多いようだ。

また、縁起物のみかんも欠かせないアイテムである。みかんは、中国語で「金」と同じ発音だから縁起物なのだという説明を聞いたことがある。旧正月の時期となると、みかんを交換したり、配ったりする。オフィス街ではビルのエントランスに小さなみかんが鈴なりになっている鉢植えが両サイドに飾られる。郊外の園芸店では、旧正月前には無数のみかんの木の鉢植えが販売されている。スーパーでは、みかんが入った箱が積み上げられていて、2~3箱買っていくのが当たり前。ジュースやお茶も箱買いで、豪快に買っていく。旧正月明けは、お金を貯めるという意味から買い物は控えるのが一般的だそうで、逆に、旧正月前はいわゆる爆買いをする人が多い。日本と比較すると、家族や親戚の集まりや縁起物の交換など、昔から続く風習がしっかり残っているようだ。

部下にもお年玉?!

アンパオ

日本の正月と同じように、こちらでもお年玉の習慣がある。これは「アンパオ(紅包)」と呼ばれる。旧正月明けから半月の間は、子供達が集まる場所には、必ずアンパオを用意して持参し、あまり知らない子供達にも配る。縁起の良い数字をとって8ドルか、紙幣1枚という切りの良さをとって10ドルというのが、一般的な最低金額のようである。街中では旧正月1~2ヵ月前から各社が準備した無料のアンパオ用の袋が無料で配られる。小売店、病院、銀行など様々な団体が袋を作って配布するため、意識しなくても旧正月までに少なくとも40~50袋くらいは手元に準備できる。

そして驚くことに、オフィスでもアンパオを配るのが習慣となっている。上司から部下へは20ドル程度が最低金額のようだ。ビルの清掃人などには8~10ドル。直属の部下のみならず、事務担当などにも配るため、かなりの出費となる。こちらの上司は大変だ。ちなみに、部下から上司へ贈り物をする習慣はない。アンパオを配る場は、上司が、まるでメンバー全員の幸福を願いながら旧正月を祝う家長のような雰囲気で、家族的な感じが漂う。

ミーティングでみかん?!

先述のように旧正月の季節になると、みかんを交換したり配ったりするが、これはオフィスでも目の当たりにしたことがある。取引先にミーティングに伺うと、帰り際に、みかん箱からみかんが登場し、「持って帰ってくださ~い」と笑顔で手渡された。みかんを手渡された瞬間は、ぐっと心理的距離が縮まった気がするから不思議なものである。

ローヘイ、皆で混ぜて関係を深める?!

ローヘイ混ぜた後

旧正月明けのビジネスランチ、ビジネスディナーと言えば......「ローヘイ」である。ローヘイは、シンガポールとマレーシアの旧正月の代表的な料理で、各種千切り野菜の上にお刺身やナッツが大皿に盛り付けられた中華風刺身サラダのようなものだ。おせち料理のように各具材には縁起物としての意味があるのだが、縁起物の具材というだけではなく、食べ方にも作法がある。

まずは食べる前に、食卓を囲むメンバー全員が、皆一緒に祈願しながらお箸で具材をできるだけ高く持ち上げ、持ち上げた所からそのまま具材をお皿に落とす。それを何度も繰り返すうちに、サラダはぐちゃぐちゃに混ざる。十分に混ざったところで、いただく。これが、新年の儀式である。

お箸で具材を持ち上げる動作が大漁=金運アップを意味するそうで、高く持ち上げれば持ち上げるほど良いとされている。お皿からサラダが溢れて汚らしくなるわけだが、溢れるほどのお金が入ってくることを意味し、商売繁盛の祈願となるそうだ。旧正月明けには、チームや取引先とチャイニーズレストランへ行って、仲良く混ぜる。汚くなることも気にせずに笑顔で幸運を祈り、共に旧正月を祝うことで、これまたググッと親近感が沸く。

1年間の目標設定は、元日? それとも旧正月?

日本では、新たな1年を迎えるということで、1月1日に1年間の目標設定を行う人が多い。ここシンガポールでも、1月1日に目標設定を行う人が多い。学校の新年度の始まりが1月2日であり、子供たちの1ヵ月半に及ぶ冬休みに合わせて取っていた長期休暇の終了と相まって、気持ちを新たにする人が多いのだと思う。

一方、旧正月は、家族のリユニオンと金運アップの祈願を中心にしたお祭りの雰囲気だ。勤勉なタイプの人は、1月1日に立てた目標に向けての行動計画が実行できているかどうかを振り返る機会にしているようだ。

旧正月にまつわる風習は言うまでもなくアジア的であり、言い換えれば、日本人にとっては懐かしさや古き良き時代を感じさせるものである。昔ながらのお正月の過ごし方が薄らいできた私たちにとっては、家族的なやりとりがビジネスにもたらす好影響を学ぶいい機会となる。

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