2016.03.08

いくつもの山を超えたドメイン獲得までの道のり
担当者が移転完了までのやり取りを全公開!

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エスクローサービスとは?

プライベートで「ヤフオク!」などのオークションサービスを利用したことがある人であれば、「受け取り後決済サービス」といった名称の方がなじみ深いかもしれません。エスクローサービスとは、 買い手が購入した商品が想定の内容であることを確認してから、売り手に支払いを行えるように、買い手が第三者に代金を預託し、商品の内容を確認してから売り手に代金を渡す仕組みを提供するサービスです。オークション取引のように口座情報を含む個人情報を取引先に知られないようにするという目的で利用する場合もありますが、もともとは、面識のない売り手と買い手が、商品と代金の授受を安全に確実に行なうためのもの。絵画やスポーツカー、宝飾品などの高額商品の取引だけでなく、企業買収でもエスクロー方式による資金のやり取りが一般的です。


エスクローサービス取引項目のトップに表示される「ドメイン名」

そんなエスクローサービスの取引項目のトップに表示されるのが、実はドメイン名だったりします。2012年に3回めの新gTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)の募集もあり、最近は「スクワッター(squatters)」といった単語もあまり目にしませんので、ドメイン名マーケットの盛況は過去のものかと思っていました。しかしドメイン名ビジネスはまだまだ底堅く大きなマーケットを形成しているようです。

そんな中、大木さんのコラムにあるように、われわれチームスピリットもグローバル展開の一環として、teamspirit.comを取得する決断をし、買付けとドメイン移転を行ないました。以下に出てくる仲介者のAndrewについては、大木さんのコラムを参照してください。ドメイン名買付けの取引にエスクローサービスを利用しましたので、その様子をドメイン移転のドタバタな様子と合わせてレポートしたいと思います。

具体的なエスクローサービスとドメイン移転の流れ

売買金額の交渉と平行して、裏ではエスクローサービスを調査していました。ざっといくつかのサービスを見比べて、2つのサービスに絞込み、最終的に手数料コストと取引の安全性を総合的に判断しEscrow.comを使うことに決めました。


エスクローサービスの比較表 ※表は2015年時点の情報です。

特に取引の安全性については、入念に調査しています。sedo.comは、ドメインに特化したエスクローサービスであり、ドメイン移転に必要なAuthCodeの有効性までの確認してくれます。とはいえ、手数料が高い。高すぎます。一方、今回の取引を仲介してくれたブローカーであるAndrewから提案されたエスクローサービスはEscrow.comでした。Andrewは、「Escrow.comが安くて使いやすい、これまでもEscrow.comを使ってビジネスを10年以上も行っている、信頼しろ」と言ってきましたが、こちらは初めての取引です。不安がないといえばウソになります。

そこで、まずはドメインの移転というプロセスが、そもそもどのような流れになるのか、エスクローの手続きがどのように関連するのか、という2点を確認することにしました。

まずはドメイン移転の流れです。


ドメイン移転の流れ

「AuthCode」がドメイン移転の鍵となるデータであり、今回の取引における事実上の商品に相当しますね。

続いて、エスクローの流れも確認します。ポイントは「Inspection Period」です。Inspection Periodとは、商品が到着してから商品に問題がないことを確認する期間で、「取引条件」に組み込まれます。例えば、Inspection Periodが2日間と設定された取引であれば、到着後48時間以内にAcceptかRejectを選択する必要があり、選択しないと自動的にfundに入金されたお金が売り手に渡ります。


エスクローの流れ

となると、Escrow.comの利用にあたって不安な点は、ドメイン名という形のないものをどうやって商品確認するのか 、という箇所になります。通常であれば、AuthCodeの正しさはドメインを実際に移転してみないと分からないはずです。もしそうだとすると、Inspection Periodの期間中にドメイン移転を完了させなければならなさそうです。1日や2日では移転完了させることは難しいでしょう。


ドメインを急ぐ?

この点についてブローカーのAndrewに質問すると、「心配ない、Inspection Periodをスタートする前に、ドメインの移転を完了させてしまうのだ」との回答が。


InspectionPeriodの確認

なるほど、AuthCodeはEscrow.comのプラットフォームでやりとりされるのではなく、メールで送られてくるのですね。それならば問題なさそうです。ちなみに、メールのやり取りに出てくる“Merchandise Receive”とは、商品到着のことです。Escrow.com上に表示される「Receive」ボタンを押すと、Inspection Periodが始まる、という流れになっています。しかしその前にドメイン移転が完了できるのであれば、Inspection Periodは1日でもよいでしょう。実際の取引の流れは、このような形になります。


移転を急がなくてもOK

これで安心してエスクローサービスを開始できます。Escrow.comにチームスピリットのIDを作成し、Andrewに取引(Transaction)を開始してもらいました。


Transactionが到着

最初は、売り手と買い手、ブローカー間の取引条件の確認です。先ほど話題になった「Inspection Period」は、ここに記載されます。


Review and agree to termsの画面

ドメイン移転完了後にInspection Periodがスタートするとのことでしたので、1日でも問題ありませんね。取引条件に合意すると、続いて、買い手がfundに入金することになります。入金手段はいくつか選択肢がある場合もあるようですが、今回は米国外からの送金ということで、選択の余地なく電信送金(Wire Transfer)になります。送金先口座は、画面上の「Wire Transfer Instructions」をクリックすると表示されます。


送金直前の画面

さて、ドキドキしながら送金を行ないましたが、その後、なかなか入金されたという連絡が届きません......。送金してから1週間後、ようやく入金確認のメールが届きました。続いて、AndrewからAuthCodeが送られてきました。


AuthCode送付のメール

このAuthCodeを使って、ドメイン移転を行ないます。ここまでくれば、あと少し(ドメイン移転)でミッションコンプリート、と思った瞬間でしたが、実はここに落とし穴が待っていました。

日米のスピード感と手続きの違いを肌で実感

ドメイン移転(レジストラーの変更)は、手順に沿って行なえば粛々と完了すると考え、今回取得するteamspirit.comドメインの管理も、既に所有しているteamspirit.co.jpと同じ日本の大手レジストラーに管理してもらうことにしました。Webの申請フォームを埋めていきながら、手順に掲載されている手続きに沿って対応していきます。


移転に必要な書類を郵送しなくてはならない

Webで会社情報や担当情報を入力したのに、別途登記簿謄本と社印の印鑑証明を郵送するとは、ずいぶんと念入りなチェックプロセスです。海外ではWebでドメイン移転の手続きが進むケースがほとんどですが、ここにきてまさかの「紙&郵送」手続きです。とはいえ、日本の大手レジストラーであれば、何かの間違いがあってはいけませんから、本人確認を入念に行ない、移転に10日くらい(書類到着から10日営業日程度)かかるのは致し方ないでしょう。

とはいえ、日本での手続きのスケジュール感をAndrewに伝えると、「まったく信じられない」という反応。なぜ10営業日もかかるのかをメールで説明します。他のドメインと同様に日本のレジストラーに一元化したいので待ってほしいと伝えると、不承不承ながら待ってくれると言ってくれました。少しでも待たせる期間を少なくすべく、急いで書類を揃えて郵送します。

しかし郵送後、レジストラーからなかな書類の受領通知が来ません、こちらから電話すると、申請が立て込んでおり確認しますのでお待ちくださいと返事をいただき、さらに丸一日。翌日、ようやく書類の到着が確認できたとの連絡がありました。この時点で、AuthCodeを受領してから3日が経過しています。

これでいよいよ移転作業開始かと思いきや、今度は、ドメインステータスがOKになっていないので上位のレジストラーに移転申請ができない、との連絡が。

ステータスOK? 上位のレジストラー?

話をよく聞いてみると、これまでteamspirit.co.jpを管理してくれていたレジストラーは、実はその上位のレジストラーへの仲介のような役割であるとのこと。その上位レジストラーに移転依頼をするにはルールを守らないといけない、とのことで、とにかく全てのフラグをクリアにし、ステータス=OK(status all green)にする必要があるということでした。

しかし、「clientTransferProhibited」フラグは既に解除されているので、すべてのフラグを解除せずとも移転はできるはず......。サポートの方に再度確認をお願いしてみましたが、社内のルールなのでStatus =OKになっていないと受け付けられないとの回答。


Domain Statusの画面

とはいえ、フラグを全部はずしてもらうには、Andrew経由で再度売り手に依頼をしなければならず、そうなると新たなAuthCodeを発行してもらって......とまた日数を要します。これまでのやり取りでも既に5日が経っています。Inspection Period前とは言え、海外では即日移転が当たり前の時代に、10日も15日もかけるというのは、さすがにスピード感にかけると言わざるを得ません。そうこうしているうちに、案の定、Andrewから催促のメールが送られてきます。

「まだ送金されないのか? 売り手はフラストレーションを感じている」

この状況で、Andrewに追い打ちをかけるように「売り主にStatus=OKにしたAuthCodeを再発行してもらえないか?」と頼むとさすがに怒られました。「取引を素早くクローズさせるから安くしろ、という交渉だったはずなのに、なぜこんなに時間がかかるのか? いったい何をやっているのか?」。ご指摘ごもっともです。

そこで我々は今後のスピードも重視して、別の海外レジストラーに管理を移転することにしました。Uniregistry.comというレジストラーです。期待通り、移転はあっという間、たったの数時間でした。

アカウントを作って、移転対象のドメイン名を登録し、AuthCodeを入力します。すると、すぐにドメイン所有移転のプッシュ通知のメールが飛んできます。


ドメイン移転承認画面

「受け入れますか?」。もちろん受け入れますので、メールをクリックすると管理画面に移動します。


ドメイン移転承認管理画面

「Accept」を押すと......移転が完了してしまいました。びっくりするほど早くて簡単でした。

登記簿謄本とか印鑑証明とか、郵送するなんて、あれは一体何だったのか、世界と日本の手続きの差に、改めて驚きます。

何はともあれ、晴れてteamspirit.comドメインがチームスピリットの所有となりました。

http://teamspirit.com

いろいろと予想外のことも起きましたが、これからのグローバル展開に向けて、コンテンツ発信基地となるteamspirit.comが取得できて、本当に良かったです。また、この記事が、これからドメイン名や(高級車の)フェラーリを取得しようと考えている企業のお役に立てれば幸いです。

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