2015.08.05

厚切りジェイソンも大まじめに参加!
4人のパネラーがイノベーションを起こす働き方を伝授

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 2015年7月23日(木)、チームスピリットは「TeamSpiritファン感謝Day2015」と題したユーザー会を東京・丸の内のJPタワーホール&カンファレンスで開催した。

冒頭の自己紹介で持ちネタを披露した「厚切りジェイソン」こと、テラスカイ グローバルアライアンス部長のジェイソン・ダニエルソン氏

 今回のイベントで実施したパネルディスカッションでは、TeamSpiritのユーザー企業から代表者4名がパネラーとして登場。「イノベーションを起こす働き方とは?」をテーマに、起業までの経緯や人材、組織などに対する考え方、今後のワークスタイルの変化などについてそれぞれの意見を語った。

 パネラーとして登壇したのは、Yahoo! JAPANのモバイルオンラインゲーム部門として独立したGameBank 代表取締役社長CEOの椎野真光氏、無料の法律相談や弁護士検索が可能なポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営する弁護士ドットコム 代表取締役社長兼CEOの元榮太一郎氏、クラウドソーシングサービスを提供するランサーズ 代表取締役社長の秋好陽介氏、テラスカイ グローバルアライアンス部長で芸人・厚切りジェイソンとしても有名なジェイソン・ダニエルソン氏の4人。モデレーターを日経BPコンピュータ・ネットワーク局教育事業部部長の大谷晃司氏が務めた。

GameBank 代表取締役社長CEO 椎野真光氏

起業するにあたって求めたものは?

 最初のテーマは「起業」。イノベーターでもある各パネラーに「どのような課題を解決するために起業に至ったのか?」を聞いた。

 GameBankの椎野氏がポイントとして挙げたのは「スピード感」。ゲーム業界ではデバイスが変わるとゲーム性が大きく変わるため、それをキャッチアップするにはスピード感が不可欠とのこと。「Yahoo! JAPANではそれを得ることは難しいため、GameBankを立ち上げた」と語った。さらに、大きい会社から事業を切り出すことでイノベーションを生み出そうと考えているという。

 弁護士ドットコムの元榮氏は、弁護士業界が「一見さんお断りで、価格もベールに包まれていた」ことに違和感を感じ、いままでにない「弁護士×IT」のサービスを立ち上げようと考えたのがきっかけ。弁護士ドットコムは弁護士の仕事をネット上で比較検討でき、誰でも簡単にコンタクトできる点がイノベーションであるが、弁護士側の意識変化が起きるまでには時間がかかったと話す。実際、起業から8期連続で赤字だったため、「社員のモチベーションを保ったり、じっと耐えたりすることも課題だった」と語った。

 ランサーズの秋好氏は、大学生のころから学生ベンチャーとしてフリーランス的な働き方をしていたほか、卒業後はIT系の大手企業に勤めて仕事を発注する立場にもあったとのこと。その経験をいかし、「個人のフリーランスと企業を上手く結び付けられたら世の中が変わる」と思ったことが契機だとした。その思いが、2008年4月の起業につながった。

弁護士ドットコム 代表取締役社長兼CEO 元榮太一郎氏

人材に対する取り組みや問題点

 2つ目のテーマはイノベーションを起こすうえで大切な「人材」について。椎野氏によれば、ゲーム開発においてはコミュニケーションの中核を担うようなクリエイターが重要であり、そのような人材を「どう培っていくかが課題としてある」と説明。人材育成に関しては、以前の会社では目が出そうな人を丁寧に社内で守りながら育てていたそうだ。

 秋好氏は、ランサーズにおける特徴的な人材採用を紹介した。「ランサーズを利用している会員がランサーズのことを一番理解している」という考え方から、同社では「会員の中から社員になってもらっているケースも多い」と語った。

 一方、テラスカイのジェイソン氏は、日本企業の団結力を認めつつも「その範囲外の人材にとっては働きにくい」という問題点を指摘。育児を抱える女性や外国人などを例に挙げ、日本が少子高齢化で働き手が少なくなっていることを考えれば、そういった人材が働けるような環境を作らないといずれは回らなくなる」との懸念を示した。

ランサーズ 代表取締役社長 秋好陽介氏

これからの組織に必要なものは「多様性」

 さまざまな人材を受け入れるには、組織のあり方や変化が重要なポイントになる。次に挙げられたテーマは「組織」。多様な人材が活躍するにはどのような組織が必要となるのか。

 まず椎野氏は、ゲーム業界の現状を解説した。近年は優秀な人材がフリーランス的に小さな事務所をかまえることが増えたため、規模の大きい企業は「そういった人材を上手く取り込みながら、スケールの大きい開発をしなければならない状況も増えている」。これに加えて、「外部の優秀な人材を受け入れながら、クリエイティブの質を高めることも同時にやっていく必要がある」とのこと。完全に分業化されているハリウッドではさまざまなスペシャリストが集まって世界的なコンテンツを作っているが、「日本のゲーム業界にもそういった仕組みが徐々に入ってきている」との印象を語った。

 元榮氏は「多様性がイノベイティブな組織を作る」という持論を展開し、弁護士ドットコムにはさまざまな専門家が集結していることを紹介。また、最近では「LGBT(性的マイノリティ)も開放したい」と考えているほか、「国籍や人種も問わないような多様性を追求したい」との意欲を見せた。

 多様な人材と働き方を受け入れている点はランサーズも同様だが、秋好氏は一般的な企業がこのような環境を「福利厚生的に捉えている点」に疑問を投げかけた。秋好氏によれば、例えば「週4や週3での勤務も可能」といった多様な仕組みを用意することが、「採用のままならないベンチャーにとっては競争戦略上で有利になる。経営者はそこに早く気付くことがとても大事」と指摘した。さらに、2020年や2030年には「ダイバーシティが当たり前になる」とし、「いまやれば企業にとって有利に働くので、そこは積極的にやる方が良い」とアドバイスした。

 また、人材を受け入れるという点では、日本とアメリカでは大きな違いがある。例えば新卒の採用ひとつ取ってみても、ジェイソン氏は「日本はおかしい」と苦言を呈する。日本の学生は就職にあたって「やりたい仕事」ではなく「入りたい会社」を選ぶ傾向が強いため、入社してから仕事に必要な教育を改めて一から受けなおすのが一般的だ。ジェイソン氏はそれを「時間の無駄で効率も悪い」とする。

 人材を育てる点においても、入社してすぐに本格的な仕事を担当するアメリカの新入社員と比べて「スタート時点ですでに差があるため、例えば入社2年後の成長スピードや能力を比べても大きな差が出てしまう」と解説。さらに、アメリカでは「大学の勉学=職業訓練」といったイメージに近いことから、大学で学習したことを仕事にいかせないのであれば「大学に行く意味がない」と語った。

豊富な経験をもとにしたワークスタイル論、組織論は示唆に富んでいた

技術や環境の変化には素早い対応を

 クラウドソーシングやネットワーク/モバイル環境の整備などによってワークスタイルが変化している現在。秋好氏によれば「日本の市場は、独自の商慣習によって守られている側面はある」という。しかし、「グローバル化が進めば今後はそれを言い訳にできなくなる」とも語る。ジェイソン氏も、そういった日本の状況が「金額や時間のコスト増を招いている」とした。

 また、「制度などによる規制よりも、"前例がないからやらない"という日本企業のスタンスが変化を阻害している」と秋好氏が話すと、ジェイソン氏は「前例がないから怖いというのはあり得ない」と間髪入れずに発言。シリコンバレーの例を挙げ、アメリカでは「ベンチャー企業が、大手ですぐに使われるケースも多い」と語った。

 最後は、「ITやテクノロジーとの関係性や進歩」などについて話題が及んだ。椎野氏いわく、デバイスなどの仕組みが変わると、流通するコンテンツの質も大きく変わるため、コンテンツの質を変えることにギャップを感じる人はドロップアウトしやすいとのこと。逆に、新しいデバイスや仕組みが出たタイミングで素早く対応できる人材が「次の時代のコンテンツを作る」と感じるそうだ。

 元榮氏は「インターネットやスマートフォンが、弁護士の市場を拡大した」と語る。そもそも、弁護士に関する情報は知らないケースが多いうえに、以前は本などで調べるしかなかったからだ。しかし、現在はインターネットの登場で簡単に弁護士に関する情報を得られるようになった点は大きいとする。

 さらに、弁護士に頼むような内容は、誰にも知られずこっそり調べたい悩みが多い。パソコンでもいろいろ調べることは可能だが、よりパーソナルに利用できるスマートフォンが登場したことで「ユーザーアクセスはさらに増えた」と解説し、ITやテクノロジーの恩恵を受けていると語った。

text/photo:Toshinari Kondoh(Spool)

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