2015.03.10

マイナンバーを正しく知っていますか?
社労士による徹底解説(前編)

このエントリーをはてなブックマークに追加

マイナンバー制度が10月から始まる

 昨年後半からよく耳にするようになった「マイナンバー制度」。自分に番号が割り振られるといった程度の知識はもちろんあるだろうが、その番号がいったい何の目的で、どのように運用されるのかについては、今ひとつピンと来ていない方が数多くいることだろう。

 実のところ、平成27年(2015年)10月、すなわちあと7ヵ月あまりでマイナンバーが付番され、各個人に通知が始まる。では、その通知後にどのような変化が起きるのか。

 ここでは、この2月にチームスピリットのセミナーとして開催された「新進気鋭の社会保険労務士が語る『マイナンバーの基礎』」を紹介する。マイナンバーの概要、企業に課される運用方法、さらには厳しい管理方法やそれに伴う罰則まで、「みらいコンサルティンググループ」の社労士、松元秀俊氏が講演した。

 ただし、マイナンバー制度は未だ整備段階にあるため、情報が随時アップデートされる可能性がある。ここに記したのは2015年2月17日段階の情報である。詳細な情報は、以下の内閣官房による特設ページも参考にしてみてほしい。

マイナンバー 社会保障・税番号制度

みらいコンサルティンググループ 社会保険労務士の松元秀俊氏

そもそもマイナンバーとは何か?

 まずはマイナンバー制度の導入趣旨をおさらいしておきましょう。そもそもマイナンバーとは行政の効率化、あるいは国民の利便性を高めて、公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)として導入されるものになります。

 では制度導入により、どのような効果を目指しているのでしょうか。まずは、より正確な所得の把握が可能になるという点が挙げられます。行政の観点では、社会保障や税に関わる行政事務の効率化が大きな柱になっています。

 当初は、3つの分野で導入を検討しています。1つめが社会保障分野、2つめが税分野、3つめが災害対策分野。まずはこの3分野に限定して本制度を導入する予定です。

 社会保障分野では年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用されます。さらには企業に勤務している方の雇用保険関係、資格関係、医療保険などの手続きにも適用します。

 税分野では、各種税金の法定調書に利用されます。災害対策分野は、東日本大震災や広島土砂災害などを受けて注力しようとなったもので、おもに被災者生活再建支援金の支給に関する事務の利用などを想定しています。これらに関連する分野において、各種自治体が条例で定める事務にもマイナンバー活用が決まっています。

 従って、この3分野以外、例えば民間サービスや他の行政サービスにマイナンバーが使用されるのは現時点では未検討段階になります。ただし、施行されて数年経った時点で制度検討の動きが出てくるかもしれません。

●マイナンバーの決まりごと

 マイナンバーの付番対象者は、住民票コードが住民票に記載される以下の全員となります。

1.日本の国籍を有する者

2.日本人ではないが、中長期在留者

3.特別永住者等の外国人

 マイナンバーの桁数は12桁を予定。番号は唯一無二性で、一人一番号で重複がないように付番されます。最新の基本4情報(氏名、住所、性別、生年月日)と関連付けられているのが特徴です。万が一番号が漏洩し、不正に用いられる恐れがあると認められるときは、本人の請求または職権(各自治体)により、従前の番号から変更可能となります。

 今説明したのは、個人番号の基準で住人一人ひとりに付番されるもの。この他にマイナンバー制度には会社に付番される法人番号があります。法人番号は現在のところ13桁を予定し、一度付番されたらその法人が清算または解散しない限り同じ番号を使い続けることになっています。

 補足として、海外赴任している日本人のケースを挙げておきます。恐らく赴任時に住民票を移動しているかと思われますが、その場合は施行時点ではマイナンバーは付番されません。日本に帰任して再度住民登録をした際にマイナンバーが付番される仕組みです。

 次に、マイナンバーの通知方法ついて。平成27年(2015年)10月頃から、住民登録をしている市区町村から「通知カード」が届き、そこで自分の番号を把握できるようになります。ただし、通知されるのは現住所ではなく、住民登録をしている市区町村なので注意が必要です。

 希望者は「個人番号カード」の交付を申請可能です。これは顔写真付きのプラスチックカードで、健康保険証をイメージしてもらえればわかりやすいかと思います。個人番号カードには、住所、氏名、性別、生年月日と顔写真が掲載されるため、顔写真付きの身分証明書としても利用できます。

マイナンバーへの企業の対応

 マイナンバーが付番された後、企業はどのように対応すればよいのでしょうか。以下、大きく3つの括りに分けて紹介します。

1.番号取得、番号の真正性確認、本人確認

 番号取得に関する一連の流れが必要になります。企業に勤めている役員、正社員に限らず、パート、アルバイトなども取得対象です。派遣社員は自社での対応は不要になります。

2.源泉徴収票や法定調書への番号記載、税務署などへの提出

 平成28年1月から何らかの法定調書にマイナンバーの転記が必要になります。それぞれ、雇用保険は平成28年1月1日提出分から、源泉徴収票は平成28年1月1日以降の給与支払いに関する源泉徴収票から、扶養控除等申告書は平成28年1月1日以降提出分から、健康保険・厚生年金保険は平成29年1月1日提出分からが対象になります。

3.番号の適切な管理と運用・セキュリティ体制

 非常に重要な個人情報のため、外部漏洩がなきよう、自主的にシステム管理・構築をしなくてはいけません。

 これらを踏まえて、企業におけるマイナンバー取り扱いの制限について説明します。企業が取得したマイナンバーは何にでも使用してよいものではなく、各種方面で利用してもよい範囲が定められています。

 1つめが利用範囲の制限について。番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)で定められた範囲に関してのみ利用が可能になっています。例えば源泉徴収票の作成事務、健康保険・厚生年金保険届出事務などが該当します。すなわち、社会保障分野という導入趣旨に基づいた括りのため、これ以外の分野、省令等で規定がない分野では制限を受けることになります。企業にとっては、どの業務で利用できるか、または利用不可なのかを事前にしっかりと確認する必要が出てきます。

 2つめがマイナンバー取得時の本人確認の実施について。企業は番号取得の際に必ず本人確認が必要となります。

 3つめが特定個人情報の提供の制限。特定個人情報とは、従来の個人情報にマイナンバーが付加された情報のことで、つまり、住所、氏名、性別、生年月日マイナンバーを加えたものになります。特定個人情報は本人の同意があったとしても、第三者への提供は禁止されています。例えば転籍の場合、本人の同意があったとしても、転籍元企業から転籍先企業への番号提供はできません。あくまでも個人から転籍先企業へマイナンバーを提供する形になります。

 4つめが特定個人情報ファイルの作成制限。必要な利用範囲を超えて特定個人情報ファイルを作成することは禁止されています。

 このように、個人情報と比較するとかなり厳しい制約内容となっているため、事前の利用範囲確認が必要になってくるのです。

●法律違反時に適用される罰則

 万が一違反した場合の罰則について開設します。個人情報保護法、住民基本台帳法と比べると非常に厳しい罰則が設けられているのが特徴です。

 例えば、個人番号利用事務等に従事する者が、正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合、4年以下の懲役、または200万円以下の罰金、または併科となります。それだけ、企業に対してしっかりした運用をお願いしたいという行政側のメッセージが込められているのです。

●今後のロードマップ

 平成27年(2015年)2月段階では、まだ政省令等の整備段階にあります。場合によっては法律の中身が変わることもあります。今年の10月から交付した個人番号の通知を開始、あわせて法人番号の通知も同時期に予定されています。そして平成28年(2016年)1月以降から、正式にマイナンバー制度が施行されるというスケジュールになっています。

###

 後編では、人事・労務担当者がどのようにマイナンバー制度に対応すべきかを解説する。


マイナンバーを正しく知っていますか?社労士による徹底解説

text/photo:Masaki Koguchi(Spool)

このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権はチームスピリット、またはその情報提供者に帰属します。掲載情報は、記事執筆時点のものです。

© 2016 TeamSpirit Inc., All Rights Reserved.

このサイトについてお問い合わせ