2015.03.02

Salesforceとの融合で生まれる新たなワークスタイル

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2015年1月21日、東京・京橋のチームスピリットにて「ワークスタイル変革セミナーEvernote Business × TeamSpiritが作る新しいワークスタイル」と題したセミナーが開催された。みぞれ混じりの雨が降る悪天候の中、会場は聴衆で満員となり、その様子は本セミナーに対する期待の高さを物語っていた。

セミナーに詰めかけた聴衆

Evernote、TeamSpiritともに、クラウド型CRM(顧客管理システム)のSalesforceを通じて連携するクラウドツール。そうした縁もあり、今回初めて共同でのセミナー開催に至った。まず最初にEvernote(Japan)General Managerの井上 健氏が登壇し、「Evernoteが作る新しいワークスペース 『Salesforceと組み合わせると何が起こるのか?』」との演題で講演した。

今回、井上氏が取り上げたのはEvernoteのビジネス版であるEvernote Business。「ワークスペースはひとつ」を合言葉に、クラウド上でチーム単位による社内コラボレーションを支援する。プライベート版からの容量アップはもとより、見やすい管理コンソール、マルチデバイスからのストレスのないアクセス、Evernote社によるサポート体制など、ビジネス利用に特化した機能強化を図った。

チャット形式で迅速に仕事が進む

冒頭、井上氏は「クラウドの長所は、多彩なツールの組み合わせができる点。そして、Salesforceを中核としてビジネス向けアプリは連携できるようになる。何も一つだけを使う必要はない」と語り、クラウドサービスの柔軟性をアピール。また、Evernoteの目指すところは「将来にわたって皆さんの仕事ないしは生活を支援すること」だと述べ、一過性の便利ツールにとどまらない意識の高さを示した。事実、Evernoteは"100年企業"を目標に掲げる。

Evernote(Japan)General Managerの井上 健氏Evernote(Japan)General Managerの井上 健氏

アンケート結果から、約7割の個人ユーザーがEvernoteを仕事に利用していることが判明したという。こうした結果を受け、およそ2年前にEvernote Businessの提供を開始。開始後20ヵ月で全世界の約1万6千社に導入され、日本はその中の約1割を占める。大企業ではNTTドコモ、コクヨ、GMOなどに導入実績があり、品川女子学院、フェリス女学院、東京女子医科大学といった文教分野にも積極的に展開している。

「Evernote Businessの特徴として、個人のアカウントを継続して利用できることが挙げられる。同じユーザーインタフェースで、個人アカウントから会社が所有しているようなデータにアクセスできるようになる。検索機能も同じため、個人/会社の両方に仕事関連のファイルがまたがっていたとしても、同じように検索できる。そのまま個人のアカウントを使用しながらビジネスの領域が別途広がるようなイメージだ。もちろん管理は別々で、会社の人間から個人のデータが見えるわけではない」

こうしたシームレスな仕組みにより、組織内データの継続的な蓄積を実現した。例えばこれまでは自分のパソコンに保存していたり、カメラの中に保存したままであまり共有されなかったような写真も、企業内で広く"共有知識"として活用できるようになった。チーム全員が共通のクラウドワークスペースを使い、蓄積・共有したデータをもとにチャットで連絡したり、企画書を作ったり、ブレインストーミングしたりと、フレキシブルなコラボレーションが可能になる。

Evernote Businessでの作業イメージ。複数人が同じワークスペースでリアルタイムでコラボレーション可能(Evernoteのサイトより)Evernote Businessでの作業イメージ。複数人が同じワークスペースでリアルタイムでコラボレーション可能(Evernoteのサイトより)

「コミュニケーション機能として、Evernoteの中で完結する『Work Chat』というコラボレーションツールを加えた。同一ノートを開いている場合、誰が閲覧しているのかが表示される。ここでWork Chatのアイコンをタップまたはクリックして、目当ての閲覧者にメッセージを送ることができ、チャットで簡単に意見交換が可能だ。

チャットはログとして記録されるため、他の社員も参照できる。例えばあるプロジェクトに詳しいメンバーが誰なのかがわかるようになる。こうしてEvernoteを離れずに各種プラットフォームからチャット形式で仕事が進められる」

井上氏は、組織デザインの面から見てもEvernote Businessは有効だと話す。

「Evernote Businessを利用していれば、その個人が辞めたとしても個人アカウント以外の会社業務に保存したデータはしっかり残る。引き継ぎの時、前任者が何をやっていたのかを把握するのは大変な作業。引き継ぎの資料を作るのにも時間がかかってしまう。しかし全てデータを共有できるため、人で検索したり、プロジェクト名で検索したりといった使い方ができる。Evernote Businessは、これら人の移動までを完全にデザインした形で設計している」

管理コンソールも充実させた。ノートの閲覧者、多様なデバイスからのアクセス分析などをはじめ、細かい編集権限の設定も可能。企業内では人事部だけで共有しなくてはいけない繊細な情報なども含まれるため、レイヤーに則した設定もポイントだという。

これから必要なのはエース営業マンではなくチームセリング

次世代のワークスタイルを説く井上氏次世代のワークスタイルを説く井上氏

Evernoteは先日、「SCANNABLE」という新アプリを公開した。コンセプトはシンプルで「どこでも手軽にスマホでスキャンする」というもの。名刺、レシート、メモ、書類、伝票類などをスキャンし、一瞬でデジタルデータ化する。Evernoteを保存先に選べば、画像内の文字も検索可能になる。その高い精度と高速取り込み能力が支持され、提供開始4日間で100万ダウンロードを記録した(2月前半段階ではiOS版のみ)。

SCANNABLEの例を持ち出しながら、井上氏は「非構造化データをいかに上手く活用するか」ということを強調した。非構造化データとは上に挙げた紙類や写真などを指す。

「大きく分けて、企業内のデジタルデータは2つに分かれる。1つが構造化データで、例えばSalesforceなどいろんなフィールドに律儀に入れていく情報。住所、メールアドレス、電話番号、あるいは営業の履歴などのことで、こちらは整理されているため検索も分析もたやすい。

対して雑多なメモ、写真、音声ファイル、名刺などの非構造化データ、これがEvernoteの得意領域になる。もちろん構造化してSalesforceに入力することも可能だが、なかなか面倒でそこまで完璧にできない会社が多いのが現実。あとはコストとベネフィットで考えて、そこまでやる必要はないという判断になる。ここでEvernoteを連携することによって、Salesforceの中で非構造化データを顧客と紐づけることができるようになる」

最後に、井上氏は今後のワークスタイルについて次のようにまとめた。

「これからのワークスタイルは、Salesforceを中心とした連携アプリによってチームセリングが軸になる。要するに、個人の力、我が社のエース営業マンといったような人に頼ることなく、チームで営業していくことが好ましい。そのためには、いろんなデータを活用する必要がある。

今後はコスト削減だけではなく、生産性を意識してほしい。とかくITはコスト削減の手段として見られがちだったが、"生産性を上げる"ことがコスト削減以上に重要な時代になってきている。加えてモバイルでの仕事の環境整備も必要。我々はSalesforce1 Platformでの連携も業務もモバイルで完結する。Evernoteもモバイルファーストを掲げ、モバイルでの快適な操作に注力している。こういった次世代のワークスタイルに、EvernoteとSalesforceの連携は合致するはずだ」

バイク用品企業の屋台骨となったEvernote Business

Evernote Business担当の増田良平氏Evernote Business担当の増田良平氏

続いて、担当者の増田良平氏がEvernote Businessの具体的な導入事例を紹介した。まずはSalesforceとEvernote Businessの連携例としてアイレット株式会社をピックアップ。同社はAWS(Amazon Web Service)コンサルティングの国内大手であり、当初はSalesforceのみの運用だったという。

「現在20名ほどで利用している。Salesforceだけを使った営業では、構造化データ、つまり顧客に関連するコンタクト情報はSalesforceに保存していた。しかし、顧客に関連する非構造化データ......紙、名刺、議事録のメモなどは個々で管理し、バラバラになっていた。そこで貯まってきたデータを効率的に運用できるように活用したいとの思いからEvernote Businessを導入した。

SalesforceとEvernoteビジネスを一緒に使うことで、構造化データと非構造化データを一つのページで閲覧できるようになる。名刺や納品書、個人のメモや覚え書きも単一のページで管理・検索できるため、Salesforceを見ながら机の上を探すといった手間がなくなる。そしてここから、ビジネスや新しい業務に関連するデータなどがどんどん出てくるというメリットがもたらされた」

以降はEvernote Businessの単独導入事例として、介護サービスの「航和」、総合災害設備の「能美防災」、バイク用品大手の「クシタニ」、動画配信の「U-NEXT」を紹介。全て業態が異なるだけに、介護現場でのノウハウ共有(航和)、特許管理部門での非構造化データ収集ツール(能美防災)、データ共有・公開による属人化の撤廃(U-NEXT)など、活用例も実にさまざまだ。

中でも、業務の屋台骨と言えるほど使い込んでいるのがクシタニだ。仕事の案件、業務連絡、報告書など、ほとんどのデータをEvernoteにアップし、外出先や自社ショップからもデータを参照できるようにした。最近の例では、清水のPA内にオープンしたショップ店員への遠隔指導を行なったり、箱根に立ち上げたバイカーズカフェのレシピ情報をマニュアルとして共有したりと、Evernote Businessを使いこなして業務効率化を図ったという。事例動画の中で社員が述べていた「Evernote Businessは、僕たちのワークスペースです」との言葉は、本心から出たものに違いない。

山手線ひと駅分の時間で煩雑な申請業務をこなすための「解」

チームスピリット執行役員の飛鋪武史氏チームスピリット執行役員の飛鋪武史氏

一旦休憩を挟み、後半戦はチームスピリット執行役員の飛鋪武史氏が「TeamSpiritで実現する新しいワークスタイル 『Salesforceのプラットフォームだからこそ出来ること』」とのテーマで講演した。

TeamSpiritは「ERP(統合基幹システム)のフロントウェア」を標榜するクラウドシステム。Salesforceプラットフォームと密に連携しながら、経費精算、勤怠管理、就業管理、工数管理などの自動化を実現する。

冒頭、飛鋪氏は山手線の写真をスライドに映し、「これが今日のキーフォト」と説明した(この真意は後に明らかになる)。次にTeamSpiritの利用シーンをまとめたムービーを見せながら、上記に示した経費精算や勤怠管理がいかに自動化されて楽になるかを力説した。

「例えば(日常業務で)阻害要因として大きなものに経費精算がある。最近では消費税アップに伴って電車賃も1円単位で細かくなり、なおかつ通勤定期の区間をきちんと除外して申請する必要がある。

しかしTeamSpiritなら、あらかじめ定期の区間を登録さえしておけば自動で計算して定期分を除いてくれるため、すぐに精算が可能だ。コーポレートカードで決済した場合、自動的に取り込んでチェックでき、PASMOを使った場合でも、改ざんしていないことがわかる。

生産性向上のためには、面倒くさいこと、本来やらなくてもいい業務を自動化して本来やるべき仕事に時間を費やしたほうがいい。TeamSpiritではこうした業務をできる限り自動化したい。先ほどEvernoteさんが挙げていた非構造化データを賢く使っていくことは、今後のビジネスの大きなポイントになるのではないか。皆さんの日々の業務を少しでも楽にするようなサービスを提供していきたい」

続けて飛鋪氏は一日の流れの中でTeamSpiritを使いこなす例を実際に示した。朝一でのスケジュール確認、出社の打刻、勤怠情報の承認申請、スマホのカメラで経費のレシートを撮影して経理に申請、プロジェクトの工数申請、ToDoなどタスク共有――これらの業務がワンパッケージの中で完結する仕組みだ。

今までは営業から帰ってきてデスクで行なっていた煩雑な申請業務が、TeamSpiritならば外出先のスマホやタブレット上から簡単にできる。これもSalesforceプラットフォームでシームレスに動くからこその恩恵だ。そこで冒頭の山手線に話がつながっていく。

「これまで説明したのは、コマ切れ時間を上手く使うための極意。ある統計では、スマートデバイスの一回あたりの平均使用時間は72秒で、山手線の平均のひと駅の区間とほぼ同じだ。そして今までのシミュレーションは全て2分以下でこなせるものとなっている」

TeamSpiritの利用イメージ(チームスピリットのサイトより)TeamSpiritの利用イメージ(チームスピリットのサイトより)

またTeamSpiritの中には、コミュニケーションツールとしてソーシャルサービス「Chatter」が組み込まれている。

「社内会議の議事録をChatterで流して、社内で共有することも可能。透明化によって今まで知らなかった情報にリーチできるため、周囲の人たちも能動的なアクションを起こしやすくなる。昔ながらの組織には、管理専門職がいた。日本人はとくに、マネージャーが『寂しいからミーティングやっちゃおうかな』みたいな空気もあった。しかし、それこそナンセンス。我々は、ソーシャルを上手く使いこなしましょうという提案をしている。

例えば客先で『こういうことができますか?』と聞かれたとする。そこですぐさまCTOに聞くと『もちろん大丈夫』といった回答が返ってくる。今まではその回答を会社に持ち帰っていた。これからは、こういったスピード感が大事になる」

TeamSpiritの導入企業は日本総研やセールスフォース・ドットコムなどの大きな企業から、伸び盛りのベンチャーであるクラウド名刺管理のSansanまで多岐にわたる。「ツリーからソーシャルへ」と前置きした上で、飛鋪氏は次のようにセミナーを締めくくった。

「ツリー型の組織は大きくなるほど階層が増え、中間管理職が多くなる。だが、管理だけを担当している人はあまり価値を生み出していないケースが多い。ソーシャル型のコミュニケーションならば、組織が大きくなればなるほど価値を生み出しやすくなる。その流れに乗ってきた企業が新しいツールをどんどん使いこなして、お客様に貢献している」

セミナー後はチームスピリット主催セミナーでは恒例だという情報交換会、通称"お茶会"が催され、受講した聴衆がEvernoteやチームスピリットのスタッフと熱心に話し込む姿が見受けられた。

セミナー後の交流会の様子セミナー後の交流会の様子

text:Masaki Koguchi(Spool) photo:Yasuhiko Sasaki

Evernote井上氏による講演ムービー

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